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魔法の世界に勇者が召喚されました!  作者: どりあん
第一章:魔法の世界に勇者が召喚されました!
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勇者さんはことの成り行きを語ってくれました。

「私が、召喚されるはめになったのにはいくつかの理由があるのですが...まあ、そのすべての原因となるものは、私は大魔王に挑んで敗れたということです。」


「へー、魔王か、それはすご...大魔王っ!!」


そう、秋葉は間違えなくそう言った。

魔王に挑むとは、かなりの強者だ。

それに、大魔王とまでなると...

大魔王というのはこの世界にも4体しかいない、魔王共のリーダー格だ。

けれど、どうして敗れたからってここに召喚されたのだろう。


「えっと、それで、勝算はある戦いだったの?」


「はい、一応勝算はありました。」


あ、この子今すごいこと言った。

もし、本当に魔王を倒すことができたならば、英雄とかじゃすまない。


「じゃあ、どうして敗れたのか聞いてもいい?」


「あ、はい。それはですね、仲間の死を目の当たりにして、恐怖のあまり、捨て身で突撃しちゃった、といいますか...」


秋葉が言っていたことをまとめると、秋葉の率いる隊は、無事魔王の部屋まで到達した。

そして、魔王と戦っている途中に、味方が死んだ。

それだけなら別に勇者としての運命だから仕方がないと思う。

だが、その死んだ勇者は秋葉のすぐ隣にいて、守ろうと思えば守ることができた。

それにその勇者は、秋葉と何年も組んでいたパートナーだった。

目の前でパートナーの死を目撃し、秋葉は我を忘れ、独断で魔王に攻撃を仕掛けた。

そして死んでしまった。

ということらしい。

ん?まてよ、


「秋葉、死んだって言ってなかった?」


そうなのだ。

死んだと確かに秋葉は言った。

なら、ここで今俺と会話しているこの子は誰なんだ?


「あ、そのことまだ言ってませんでしたっけ?このお札、マジックアイテムなんですけど、死んだら自分と一番親しかった人の家に召喚されるんです」


それはすごいマジックアイテムだ。

そんなものがあれば、いくらでも無謀な挑戦ができるではないか。


「じゃあ、もう戦場に戻るの?」


「いえ、このお札には副作用のような効果があるので、まだ戻れないんです。」


「ちなみに、その効果は?」


「はい、魔力の蓄積量がその、初期状態に戻ってしまうんです。」


それは痛手だ。

この世界の魔法は、自分の魔力を使い、魔法を生成、そして発射。

という流れなのだ。

つまり、魔力蓄積量が初期状態に戻るということは、大規模な魔法が使えなくなるということだ。


「じゃあどうする?自然に治るまで待つ?」


「いえ、それだと何十年かかるか分からないので、」


あ、何十年単位の時間が必要なのか。


「じゃあ、どうやって回復するつもり?」


「はい、蓄積量を増やすには、悪魔を倒せばいいので、少し悪魔を倒してきます。 」


「へー。一人で大丈夫なの?」


秋葉はなぜか顔を赤らめてから言った。


「その...よろしければついて来ていただきたいのですが...私の魔力じゃワーム一匹倒せるかどうかなので、集団で襲われると...」


不覚にも、ワームの群れに秋葉が秋葉が襲われているところを想像してしまった。


「あ、うん、そうだね。じゃあ、明日あたり行ってみようか。」


「あ、あと、も、もう一つお願いしたいことがあるのですがっ」


今度はさっきよりも真っ赤になっている。

どうしたんだろう。

具合でも悪いのかな?


「あ、あのっ、本当によろしければでいいのですが、この家に居候させていただけないでしょうか?」


「なんだ、そんなこと?全然大丈夫だけど...」


と、ここまで言って気が付いた。

今、家には自分と秋葉しかいないということに。


「で、でもいいの?家には俺しかいないけど...」


秋葉は五秒硬直して顔を真っ赤にし、あ、うあ、と、謎の声(?)を出していた。


「あ、でも何日かすれば妹も帰ってくるしそれまで我慢してくれたら...今は俺一人だけど...。」


「あ、いえ、泊めていただけるだけでありがたいので、お言葉に甘えさせていただきます。」


「そうか、じゃあこれからよろしくな。」


「はい、よろしくお願いします。」


こうして、俺と勇者さんの同棲生活が始まった。

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