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魔法の世界に勇者が召喚されました!  作者: どりあん
第一章:魔法の世界に勇者が召喚されました!
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魔法の世界に勇者が召喚されました!

皆さんはこんな経験があるだろうか。

朝起き、朝食を食べ、学校で平凡な一日を過ごし、家に帰ると、

なぜかものすごく物が散乱している部屋の中にボロボロの服を着た美少女が瀕死の状態で横たわっていた、ということを。




この世界は、今私たちが生きている世界の裏側。

つまり、パラドックスの世界。

私たちの生きている世界で「刀」が産み出されたとき、この世界では「魔法」が生み出された。

そして、この世界には、悪魔が存在する。

これは、魔法が生み出されたことによる、最大の難点である。遥か昔、ヨーロッパの魔導師が王を殺すために創造したものだ。

悪魔の力により王を殺すことはできたが、その魔導師も悪魔に殺された。

そして悪魔は民を殺し、人々を恐怖させた。

その恐怖に耐えられなかった魔導師は、次々に悪魔を創造し、その悪魔を殺そうとした。

しかし創造された悪魔は、魔導師の言うことは聞かなかった。

まず聞こうともしなかった。

創造された悪魔は、生まれた瞬間に魔導師を殺してしまった。

悪魔は殺しあうことはなかった。

悪魔たちは上下関係を大切にし、力が上の者には逆らうことができない、殺されないように自分を守りはするが自分から攻撃はしない、という暗黙の了解が存在していて、力の強い悪魔が、自分より弱い悪魔を束ねるようになった。

人々は、その悪魔のことを「魔王」と呼んだ。

 そして、この世界には、勇者というものが存在する。

勇者は、魔法を操り、悪魔を討伐する為の職業のようなものだ。

勇者は悪魔が町に降りてくると転移魔法で召喚される。

その光景を間近に見た人からは、勇者は命知らずで、血に飢えているとよく言われている。


では、この少女はどうだろう。

たぶんこの少女は勇者だ。

少女の体の下に映されている魔法陣、転移魔法を使用するときに起こる小規模爆発の跡。

しかし、どうしてここに召喚されたのか。


「まさか、この家に悪魔が現れたっていうことじゃ...。」


しかし、そうだとすると、どうしてここで倒れているのか。

悪魔と対峙して敗れてしまったのか。

少女の状態を見ればそう察するのが妥当である。

しかし、部屋はそこまで壊滅的ではない。

ここで重大なことに気が付いた。

この子は今、瀕死の状態なのだ。

早く治癒魔法を使わなくてはいけない。

今の少女の状態を確認する。


「うわ、これは...」


観察眼だけでも分かる。

派手にやられていた。

体のほとんどの骨が折れているかヒビが入っている。

この物語の主人公、赤城友也は、あまり治癒系の魔術が得意ではない。

かといって戦闘向きでもない。

ただ、魔力の最大蓄積が異常に多く、長けている分野が無い分、様々な分野の魔術を使いこなせるため応用が利き、複雑な魔法を組むことができる。つまり、


「うん、これは俺の治癒魔法じゃ治癒できないや。」


という結論に至った。

しかし、このまま放置しておくわけにもいかない。

救急車を呼んでももう手遅れだろう。

じゃあどうする。見捨てる?

そんなことはできない。

ではどうする?

それを考えなくては。


「ステップディレイ」


自分の魔力を一定範囲に大量に放出し、空間の密度を高め、時の流れを遅らせるオリジナル技。

放出する魔力と、魔力を一定範囲にとどめるために使う魔力の消費が大きすぎるため、常人にはまず不可能な技。

この魔法で時間を稼いでる内に考えなくては。


「ヒビの入ってるところは、魔力で補強するとして...」


問題は複雑骨折をしているところだ。

これは、とてもじゃないけど補強だけじゃすまない。


「あまりしたくは無かったけど...」


やはり、手術をしなければならない。

これは、専門家、つまり医師にしか使用することができない魔法で、皮膚をめくり、そこから直接治癒魔法を流し込むという大胆な方法だ。

これなら俺でもできるし、確実だ。

しかし、本人から許可も取らずに行い、失敗して死んでしまったらどうしようか、という問題に頭を悩まされる。

しかも、俺の切開魔法は、自分で編み出したもので、皮膚をめくるのではなく、切る感じだ。

なので、血管などを傷つけてしまう恐れがある。


「けど、何もしないでも死ぬなら、できるところまでやってから死ぬ方がいい、かな...」


そう自分に言い聞かせた。


「では、手術を開始する。フィングメス」


指の先をメスのように切れ味をよくする魔法。

この世界には、切るという概念がないので、多分これは俺しか使えない技だと思う。

右腕の肩から手の甲までまっすぐに切っていく。

そして皮膚を広げる。時を遅そめているので、大量出血で死ぬことはないが、とてもグロい。

骨がボキボキに折れている。


「ヒール」


これは、誰でも使えるような超小規模魔法だ。

子供が切り傷ややけどをしてしまったときに、お母さんが使うようなやつだ。けれど、骨に直接流し込めば、なかなかの効果がある。

ほんの数秒で骨はくっついた。


「あ、意外とすぐ終わるんだ。えっと、じゃあ、マイクロソーイング」


針と糸を魔力で具現化する魔術。

これで、皮膚の細胞をひとつひとつ縫い合わせていく。

きれいに切ったので、噛み合わないことはない。

そして、縫い終ったあとにもう一度皮膚にヒールをする。

そのあとに糸を抜く。すると、切れた跡がきれいにくっつく。

これが一連の流れだ。

これを体中行う。


すべて終わるのに一時間かからなかった。

思ったよりも治癒魔法が効くのが速かったのが計算外だったが、それ以外はたぶん自分の計画通りにできたと思う。。

できる限りのことはした。

あとのことは、この子が目を覚ましてから考えよう。

と、俺は少女を俺のベッドに横にさせてから、学習机の椅子の上で寝ることにした。

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