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2:はじまり

 俺が前世の記憶を戻してから3年後、俺は5歳になった。この3年でわかったことはこの世界は地球であって地球ではない異世界だということだった。まず科学、文明的には前世と違いはないもののこの世界には「魔法」というものが存在する。そして、この「魔法」がこの世界において重要な役目を果たしているということ。もう1つは地図は全く前世の地図と一緒なのに国の名が「日本」という州以外、別の名前だという事だ。

 俺が2度目の人生として生まれた所はバスラ帝国ラプラス州にある帝都ラプラス、前世の世界地図で言うとアメリカ、カリフォルニア州にあたる場所だ。そのラプラスにあるヴェール伯爵家、その長男として生まれた。俺の新しい名前は「ナギサ・ヴェール」、日本風の名前は母親が日本出身という事で名付けられたのであろう。

 俺の家族を簡単に整理すると、父親の「セイ」は伯爵家現当主として軍務についており、階級は定かではないが現在バスラ帝国日本基地に所属して、たまにしか家には戻って来ない。日本出身で日本で父と知り合い結婚し俺達を産んでくれた母親の「アスカ」、最後に俺が3歳の時に産まれた妹の「アヤカ」。くしくも家族の名前は俺の前世の家族の名前と一緒だ・・・。


 1年後


 日本で軍務についていた父親が日本独立派のテロによって死んだ・・・。










 9年後


 2016年4月、身長175センチ細身筋肉質、髪は茶色がまじる黒色に黒い瞳、比較的に整った容姿をした一人の青年は白く広く大きな建物の前に立ち、建物の上につけられている、8時59分を指している大きな時計見上げ。


「「バスラ帝国立日本第一魔法高等学校」か・・・名前長いな」


 バスラ帝国における魔法高校学校とは一般的な高校とは魔法士を養成するという点で大きく違う。また、軍の士官学校の側面が強く反映されており、卒業後は魔法士官として帝国軍へと配属される。魔法高等学校とは別に帝国軍士官高等学校も各地にある。魔法士官と普通の士官では同じ階級でも、魔法士官の方が上官になるという事が大きな違いである。簡単に言うとただの大将より、魔法大将の方が偉いという事である。

 いつ戦争が起こるとも限らない、この世界の状況化では軍人という職業の社会的地位は高く、魔法高等学校や士官高等学校を受験する者は男女問わず多く、士官高等学校入に入学するだけでもエリートと呼ばれる。日本の軍学校において特に優秀な者だけが入学を許されるのが「バスラ帝国立日本第一魔法高等学校」である。

 

 時計型が9時をさし、大きなチャイムがなる。

 青年は急いで、白く大きな門を抜け、受付へと向かう。受付には何列かの長い列が出来ており、最後列に並んで順番を待つ。しばらく順番を待っていると、後ろから肩をトントンと叩かれる。


「なぁなぁ、この列って受付だよな?」

 振り返ると、身長180センチほどで黒髪短髪の青年の姿が目に入ってくる。

「恐らくそうだと思いますよ」

「良かったー、間に合ったぜ。お前も新入生?」

「そうですけど」

「そりゃそうだよな、受付に並んでるんだしな。・・・あっすまん、俺の名前は赤岩鉄(アカイワ テツ)、テツって読んでくれ」

「赤岩・・・鉄・・・」

「・・・」

「・・・まぁ一応、五色家のひとつ赤岩家の者だけど、5人兄弟の末っ子で継承順位は5番目だから、ほぼ一般人だよ」


 バスラ帝国日本において、代々優秀な魔法士を排出する家が7つあり、五色家と呼ばれ政治的、軍事的に大きな権力を持ち代々七色家が日本の首長を務めている。軍事的にも優秀な魔法士を輩出するという点で自然と階級も高く、ゆえに力を持っている。一応、貴族階級は伯爵であり日本地区では一番上の階級を持っている。しかし、貴族は政治的、社会的な力はあるものの、必ず軍部の中枢に入れるとは限らない。また、政治的な力を持っているとはいえ、軍事国家の面が大きい帝国では軍部の意向には逆らえない。実際、軍の中では飾りのように扱われている。日本の五色家に関して言えば、魔法士同士の婚姻を繰り返す事で、優秀な魔法士を輩出し政治、社会、軍にも力を持っている。ちなみに五色家の現当主は軍での階級は全員、日本将官クラスである。


「それでお前の名前は?」

「俺は、逢沢渚。何でも好きに読んでくれたらいいですよ」

「逢沢渚か・・・じゃぁ普通にナギサって呼ばしてもらうぜ。それと同じ新入生なんだから敬語は無しで行こうぜ」

「わかったよテツ」

「渚、知ってたか?例年通りだと今日、入学するのは全部で150人、それが1クラス30人づつで5クラスに分けられる。どのクラスになるかは入学式の後にあるくじ引きで決定するんだと。ちなみにクラスが決まると卒業するまで同じクラスだ」

「知らなかったよ。よくそんな事知ってるな」

「上の兄貴2人も第一卒業だからな」

「なるほどな、だからよく知ってるのか」

「まぁな、おっナギサの番がきたぞ」

「あぁわかってる」

「また、会場で会おうぜって言ってもこの人数でどこにいるかも分かんねーか。まぁ同じクラスになってもならなくても、よろしくな」

「そうだな、よろしく」


 渚はテツと笑顔で別れ受付をすますと入学式会場に行き、名前が書かれている椅子へと座る。その後、滞りなく校長、来賓、軍部の佐官級の挨拶等があり式は終わる。




 

「では、毎年新入生はクラスわけのためにくじを引いてもらう。クラスが決まると3年間は同じクラスとなる。今から順に名前を呼ぶので呼ばれたものはくじを引いて教員と確認後、クラス名が書かれてある札の場所に2列で整列をしておくこと。ここまでで質問があるものは挙手をしろ・・・・・・・よしっ!質問ないようなのでくじ引きを始めるぞ!」

 やたらガタイの良い担当教員の言葉で新入生は順々にくじを引いていく。ナギサもくじを引き「E」と書かれたカードを引き「E」の列へと並ぶ。


「ナギサぁ!」

 後ろから声を掛けられ振り返ると静かな会場の中で大きな声を出し他の生徒の注目をあび、しまったと言わんばかりの表情をしたテツがいた。テツは表情を戻すと小さな声で話しかけてくる。

「お前もEクラスかー、よろしく頼むな」

「よろしく、今日でお前によろしくって言うの2回目だからな」

「まぁ気にすんなって、三年間一緒のクラスなんだし仲良くやろうぜ」

「そうだな」

と渚は笑顔で答える。しばらく静かに話をしていると、くじ引きが終わったのか担当の教員が前に出てくる。

「注目っ!!これでクラス分けのくじ引きは終了だ!これから、各クラスの担任が君たち、引率して教室まで行き、今後についての説明がある。以上だ!」


 各クラスは担任となる教員の引率され教室へと入っていく。ちなみにEクラスの担任はやたらガタイの良いくじ引き担当教員である。


「Eクラスになった新入生諸君、まずはじめに入学おめでとう。これから3年間このクラスを担任する「猪鹿蝶イノシカ チョウだ。よろしく頼む。後でお前たちにも自己紹介をしてもらうが、はじめにお前たちに説明することがある。知っているやつがほとんどだと思うが説明する決まりがあるのでな。・・・では、この学校は魔法士官を養成する為の学校だ。管轄はバスラ帝国日本軍になり、教員等も軍の者がが務めることとなる。お前たちも入学と同時に「日本二等兵」の階級となり軍の中に入ったことになる。戦争やその他非常事態の際には出兵をしてもらうこともある。また、学校といえど軍の一部の為、階級は絶対だ。胸の階級章を確認しながら上官には敬礼をするように。それと余談だが卒業時にはほとんどの者が「日本伍長」以上の階級まで行き、卒業している。俺もこの学校の卒業生だが「日本曹長」で卒業だ。まぁ俺からの話しは以上だ。何か質問があるやつはいるか?」

 テツが手を挙げ

「ハイ!」

「えーっとお前は・・・」

「赤岩鉄です」

「よし、テツなんだ?」

「先生、教官、上官、イノシカさん、チョウさん、どれでお呼びすれば良いですか?」

「学校では先生、学校以外の場所では名字と階級で呼ぶようにとの事だ」

「ありがとうございます。では、最後に・・・」

「もう一個あるのか?まぁ良い言ってみろ」

「先生の現在の階級を教えてもらえますか」

「はー、階級章を見ろと先ほど言ったばかりだろう・・・」

「すいません・・・種類が多く中々、見分けがつかないもので・・・」

「そう難しくかんがえるな。これは明日の一番の授業で習うことなんだが・・・まぁいいか、簡単に説明しよう。階級章は襟と胸、左上につけられている」

 イノシカはホワイトボードに階級章と階級を書いていく。



四位日本大将   黒地に帝国獅子紋、その下に白3本線

五位日本中将   黒地に帝国獅子紋、その下に白2本線

六位日本少将   黒地に帝国獅子紋、その下に白1本線

七位日本大佐   赤地に帝国獅子紋、その下に白3本線

八位日本中佐   赤地に帝国獅子紋、その下に白2本線

九位日本少佐   赤地に帝国獅子紋、その下に白1本線

十位日本大尉   赤地に白3本線 

十一位日本中尉  赤地に白2本線

十三位日本少尉  赤地に白1本線

十四位日本曹長  青地に白3本線

十五位日本軍曹  青地に白2本線

十六位日本伍長  青地に白1本線

十七位日本一等兵 緑地に白3本線

十八位日本二等兵 緑地に白2本線

十九位日本三等兵 緑地に白1本線


「まぁこんな感じだ。三位以降はまた、教えてやろう。ちなみにこれは州軍の階級章であって、これとは別に帝国本軍の階級章もあるんだが、線の色が金色になるだけだ。だが、階級は帝国伍長でも日本少尉と同級になる。つまり3級上になるから、もし会った際には注意をしろよ。他にもあるが、それはおいおい教えていく・・・・・おい、テツまさか寝てるんじゃないだろうな・・・・」

「・・・・・・・・すぴー・・・・・・すぴー・・・・・・・」

「・・・・・・・・・プチ・・・・・・」

 スタスタスタ・・・・ゴンっ!!!

「・・・・・・・・・・・・痛っー!すいませんでした!!!!!」

「反応遅いだろ!!!痛いと言われても寝ていたお前が悪い、戦場なら拳骨ではなく魔法が飛んで今日がお前の命日になっていただろう・・・まぁ他の者にとっても勉強になっただろうから許してやろう。よし、まじめな話はここまでにして、自己紹介タイムだ。寝ていた罰だ、テツお前からやれ」

「ハイ、わかりましたよ。赤岩鉄です。3年間、よろしくお願いします」


 小一時間ほどで自己紹介も終わるとイノシカが明日の登校時間と予定を言い、敬礼をして解散する。まだ仲良くなれていない人もおり、各々教室を出て帰っていく。ナギサはイノシカから明日使う資料を運ぶのを手伝えと言われ、テツにわかれをつげてイノシカとともに資料室に向かう。

 資料室の中に入りドアがしまると、前を向いていたイノシカは振り返りナギサに対して最敬礼をとる。


「お待ちしておりました。ナギサ大尉」


 

不定期連載ですが頑張って行きます。。。

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