1:プロローグ
2話同時投稿します。。。
バスラ帝国、領土は世界の5分の1を占める大国である。日本は1906年にそんな大国に喧嘩を売った・・・それに呼応して世界、各地で戦争が始まった。俗にいう「第2次世界魔法大戦」である。日本は最後まで戦ったが、1916年全面降伏しバスラ帝国に併合され「日本」という国の名前は消えた。また、世界は大きく3つの大国に分かれ、軍備増強を図りお互いにお互いを牽制しあっている。軍備増強、その中の一つが優秀な魔法士の養成である。魔法士とはSS、S、A、B、C、D、Eにランク付けされており魔法高等学校を卒業し、使える魔法を基準に総合的に判断され国際魔法委員会IMCよりライセンスが発行される。優秀な魔法士は戦局を左右するとも言われ、各国が優秀な魔法士の養成に力を入れている。この世界の魔法とは、自身の中にある魔力をアビスと呼ばれる魔具へ流し込み様々な魔法へと変換させ使用する。また、魔法の威力によって魔法士と同じようにランク付されている。
2016年4月、バスラ帝国立日本第一魔法高等学校・・・現在のバスラ帝国日本州における魔法士養成を行っている学校は3つあり、その中のひとつだ。魔法士養成学校とはいえ、管轄はバスラ帝国日本軍となり軍の魔法士官の養成を行うという目的が大部分を占めている。とりわけ第一高等学校はエリートが集まる学校として有名であり、試験も最難関を極める。そこへ一人の青年が入学をする。
彼の名前は逢沢渚、異世界から来た者である。
さかのぼる事、16年前渚は平和な日本の高校生だった。
「おーい、渚ぁー今日、ゲーセン寄って帰らねーか?」
「俺、今日用事があって早く帰らないといけないんだ」
「ん・・・デートかぁ?」
友人のたかしがにやにやしながら聞いてくる。
「んなわけあるかって、今日はばーちゃんの手伝いだよ。蔵の片付けするからって手伝ってほしいんだってよ」
「デートみたいなもんだな」
「デートではないだろ!」
「まぁそれならしょうがないな、まぁまた遊ぼうぜ」
「おう、じゃぁな」
渚はたかしに別れを告げ、家に向け歩いていると目の前を小さな女の子が前をボールを追いかけて渚の前を通り過ぎる。渚はその女の子の姿を見て、死んだ妹の姿と重なって見え、もう会う事の出来ない妹、そして両親の事を一瞬思い出す。
自衛隊員であった父親は渚が6歳の冬、海外活動中に起こった自爆テロにより死亡、父親の死後わずか4ヶ月後には優しかった母と妹は交通事故い巻き込まれで亡くしている。両親を亡くした渚は父方の祖父母に引き取られ、厳しくも優しく育てられていた。
一瞬家族の姿を思い出し目を再び女の子へと向けると、ボールに追いつき笑顔を見せている姿とその子に向って走る大型トラックが見えた。普通の人なら戸惑い、驚き、何もできないまま女の子が大型トラックにひかれる様子を見ているだけだっただろう。だが渚は反射的に女の子を救うべく駆け出していた・・・それは渚自身の父を亡くし、母と妹を交通事故でなくしていたからに他ならないだろう。渚の意識は女の子の背中を押したところで意識がなくなった。
2年後、渚の姿は豪華なインテリアが置いてある、大きな部屋の小さなベッドの上にいた。その姿は16歳の青年の姿ではなく、2歳ほどの子どもの姿だった。そして自我の発達と共に前世の記憶を戻していた。
『あの子、助かったのかな・・・』
渚が記憶を記憶を戻して一番に思った事だった。そして、次に思ったことは
『みんな・・・ごめん・・・』だった。