表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/3

第二話

短めです。

かなり。

昔、猫を飼っていたことがあった。

両親が生きていたころ。

その猫と俺は出会った。

雨が降っていた。

傘を差していた。

段ボールの中で濡れていた。

性別はオスだと母親に聞いた。

彼とはよく遊んだ。

名前はリオ。

もちろん、俺が付けたものだ。


「........ん....」

息苦しさを感じる。

しかも、結構な重さを感じる。

顔に何かが被さっているようだ。

横にずらし、その姿を確認した時には驚きで言葉が出なかった。

「..........誰?」

それは小柄な女子生徒だった。

生徒であると思ったのは彼女が制服を着ているからであって、私服だったら小学生に間違えられるぐらい小柄だった。

良い夢でも見ているのであろう。

口からは今にも溢れそうな涎がたまっている。

幼い顔立ちのこの生徒とは面識もないはずなのだが、なぜか懐かしい気分になるのは何故だろうか?

「.......あ、起きたんですね」

「.....っ!」

後ろから声をかけられ、一瞬心臓が止まるかと思った。

「大丈夫ですか?」

「........あ、ああ」

彼女のことは知っている。

間宮綾子。

成績優秀、スポーツ万能、おまけに大金持ちのお嬢様。

そのくせ性格がよく、周りからかなり親しまれている学校のマドンナ。

それが間宮綾子だ。

「.........ま、間宮さんだよね」

声が裏返っているのは緊張のせいだろう。

なんせ、彼女の顔がすぐそこにあるのだから。

「は、はい。間宮綾子です。.......あの、隣のクラスの吉田君だよね?」

「あ、ああ。....吉田....蓮治」

間宮が頭を下げてきたので、反射的に俺も立ち上がって頭を下げて自己紹介。

俺のこと、知っているなんて。

もしかして、気があるのだろうか?

.........なんて昔の自分なら思えただろう。

学校のマドンナに顔を覚えてもらっているのは、別に嬉しいわけではないのだが。

知っているのは多分、俺が死神だからで。

みんなから恐れられているからだろう。

別に..........悲しくなんかないさ、今更だし。

「.......んんっ....綾?.....ここ何処?」

足元から声がする。

あの小柄な女子生徒が起きたようだった。

「..........!」

「あ、李音ちゃん!」

李音と呼ばれた彼女は俺を捕捉すると、まるでミサイルのように抱きついてきた。

「蓮ちゃーーーーーーーん!」

「うわ!」

「蓮ちゃん、蓮ちゃん、蓮ちゃん!」

「ぎ.......ギブ」

首に手を回され、呼吸が止めれれてしまう。

「李音ちゃん、早く、放さないと!」

間宮の慌てた声を聞きながら、俺は天に召されたのだった。

できれば、感想を。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ