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第一話

昔から、不死身になりたいとか思っていた。

ずっと誰かと、いや違うな。

自分の好きな人とかと。

そんな人と永遠にそこに生き続ける。

それが叶うことはないって知っているけど。

でも、俺は願う。

願った。

願うのか?

もう一度、あいつと共にありたいと。

いや、あいつらと......かな


「魔女って不死身なんですよ」

「.......そうなんだ。それは初耳だ」

そう言って彼女、自称魔女、間宮綾子は水筒片手に俺が座っているベンチに座ってくる。

ここんとこ毎日なので、今さら驚きはしないが........なんせ、心臓に悪い。

間宮は学校のマドンナだ。

そんな奴が俺なんかに.......

いや今、考えるのはやめておこう。

「不死身ですよ、あなたの大好きなふ・じ・み」

「........不死身か。なってみたいものだ」

いくら魔女でも、長生きするかもしれないが、さすがに不死身ということはないだろう。

いや、そんな薬を作れたりす.........

「ふふふ。そう言うと思って作ってきちゃいました。そして、これがその不死身ドリンクです」

「......え、えっと......」

明らかにのんだら死にそうな見た目。

泡がプクプクと浮き出てくる。

た、炭酸なのか?

なんか、湯気出てるし。

アニメなら紫で色付けされる感じだ。

これは茶色だが。

「......さあ、どうぞ。」

「......材料、何?」

「......聞かないほうがいいかと」

な、何入れたんだ?

なんか目輝かせてるから、飲まないという選択肢はなさそうだ。

「........飲むの?」

「是非に!」

勢いをつけて一気に飲み干す。

「ぐっ」

あれ........

な、なんかヤバい。

こう、ぼんやりしてきて.........

「力が.....抜け.....て」

「れ、蓮司さん!」

なんか舌が痺れ......て........

なんか柔らかいものに包まれて、俺の意識は途切れた。


みんなが俺に近づくことはない。

俺が死を呼んでいるのだから。

みんなは俺を嫌っている。

そう........思っていた。

俺の名前は吉田蓮治。

普通から、はずれた存在らしい。

初めは小学二年生の時だった。

クラスで飼っていたウサギが俺に抱えられながら死んだ。

次は五年生の時だった。

車にひかれそうになった俺を庇って、仲のよかった近所のお兄ちゃんが死んだ。

次は中学に入ってすぐだった。

押し入れに隠れていたら、目の前で両親が強盗に殺された。

他にもいろいろあり、いつしか俺はみんなから死神と呼ばれるようになった。

かっこいいじゃないかって?

そんな中二病みたいなこと思ったこともなかった。

実際、そういうこと言ってくれる友達なんていないしな。

今はじいちゃんと二人で暮らしている。

じいちゃんのおかげで高校にも通えている。

呼び名のせいで友達はいなくなった。

いや、最初からいなかったのかもしれない。

なんせ、この辺にいるヤクザでさえ、俺を見てびびって逃げるくらいだ。

いなくて当然だろう。

家ではじいちゃんがいてくれた。

俺は家の外では独りだったと思う。


「あ、ヤバい」

弁当箱を部屋に忘れたことに気づいたのは、四時間目が終わってすぐだった。

「今日はお金、持ってきてないのに........」

次は体育だ。

飯を食べてないと動けなくなるかも、とか考えながら飲みかけのペットボトルを持って教室をでる。

中には朝いれたお茶が入っていた。

いくつもの教室を通りすぎ、今は使われていない教室に入る。

教室には畳まれた布団や冷蔵庫に電子レンジなどがおいてあった。

ここは特別な人間しかこれないらしい。

先生さえも来ることができない部屋.......らしい。

今も俺以外部屋に来た形跡もないようだ。

ここは俺に興味があると言って知り合った、今は卒業した名前も知らない先輩が連れてきてもらった部屋だ。

この数年間、まともに話したのはじいちゃんとこの先輩だけだろう。

先輩はよくここでサボっていたらしい。

冷蔵庫を開けると一昨日買ったパンが数個入っていた........はずだった。

「な、ない」

パンがなくなっていた。

「そ.....んな」

ここには誰も入れないはず、鍵は閉まっていた。

その鍵も俺が持っている。

「......昼飯はなしか」

教室に戻っても寂しいだけ。

あ~あサボっちゃおうかな。

今更サボっても何も言われないだろう、ということで午後の授業はサボることにした。

「......寝るか」

布団を引き眠ることにする。

布団に入るとすぐに、眠気が襲ってきたのだった。


それから数分後、俺が眠りについた後だった。

ガラガラガラ

鍵を閉めていたはずのドアが開き、誰かが入ってくる。

俺はすっかり寝ていて気付かなかった。

いや、一人じゃない。

もう一人入ってくる。

「...........」

一人は布団で寝ている俺に気づくと、驚いたようにもう一人に伝えようとした。

しかし、振り返るとそこにいたはずなのに誰もいなかった。

一度顔を戻すとそこにはもう一人がいた。

いたには、いたのだが...........

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