告解の詩
掲載日:2026/07/26
Ⅰ、
若かつた日の暗い影のなかで
私は偽りの微笑みをかぶつて城に忍び込み
誰もゐない静かな時刻を狙ひ澄まして
言葉の毒を散らし その温もりを打ち砕いた
目を背けたくなるやうな悪名を名乗り
壊れた破片をながめて 嘲笑つてゐた愚かさよ
歳月は過ぎて いま重い悔恨の夕暮れに
私は己の行ひの最悪さに打ち震へてゐる
ニルヴァーナよ 近未来よ かつての友らよ
言葉もとどかぬ遠い雲の彼方に消えた名に
私は深く頭を垂れて 許しを乞ひたい
もしもいつか 街の片隅でめぐり逢へるなら
土に膝をつき あやまちを告白して
一杯の苦い酒を贈り あがないとしたいのだ
Ⅱ、
秋葉原の片隅から流れてきた古い響きを
私は浅はかにも ただの偽りと決めつけてゐた
単なるモノラルに揺れるエコーを重ねただけだと
自分の拙い曲と同列にならべ 高をくくつてゐた
けれどあなたが差し出した真実の音は
ふたつの響きが織りなす 本物の光であつた
その透明な波は国境を越えて世界を包み
私の小さく愚かな自尊を 静かに打ち砕いた
おお 真実を見抜く目のなかつた私の傲慢よ
世界を揺らした本物の旋律の前に
私は深く恥じ入り 心からの謝罪を捧げたい
過ちを包みこむやうに鳴りひびく音色よ
浅はかであつた私を どうか許しておくれ
ただ祈るやうに 私は静かに言葉を置くのだ




