エピローグ
結局のところ河瀬には自首させた。通報して自白を録音したデータを警察に提出すると言ったらすんなり自首に応じた。
河瀬は終身刑になった。これで緋奈に関わることももうないだろう。
以前聞いた『緋奈がアンドロイドを開発しなくなるか、河瀬との出会い、結婚が訪れないことが確定したら、その時点でもう未来からアンドロイドがくることはなくなると思う』との通り、以降僕を狙うアンドロイドが現れることはなくなった。
僕は現在、大学生として文学部に通っている。緋奈は違う大学の工学部だ。もちろん、交際は続いている。二葉は高校卒業後、自分が生まれた世界を見たいと言って、日本一周、世界一周の旅に出かけた。その旅の中で、運命的な出会いがあったらいいなと言っていたので、僕もそれは叶うといいなと思った。
二葉は現在、沖縄にいるようで、首里城を背景に二葉がピースしてる写真画像が送られてきた。こんな感じで旅が進むごとに写真画像が送られてくるのであった。
「私たちも旅行、行きたいね」
横に座って一緒に画像を見ていた緋奈が柔らかな笑みを浮かべた。
「そうだな」
スマートフォンが着信画面に切り替わる。
「うおっと」
僕は一瞬動揺したが深呼吸して電話に出る。
「はい。……分かりました。はい。失礼します」
電話を切って天井を見上げた。
「どうだった?」
緋奈が訝しげに僕に聞いた。
「獲ったよ。大賞」
緋奈は僕の手を取って腕を胸の前に持ってくる。
「やったー! やったね彰!」
僕は文学賞に小説を応募していて、この度めでたく受賞したのであった。
「お祝いに本当に旅行行っちゃう?」
「うーん。……行っちゃうか」
僕と緋奈は顔を見合わせてはにかんだ。
未来の僕はおそらく作家として成功したのだろう。だから、二葉に四億円もの電子マネーを渡せた。
だから、これから僕は作家として成功していく……とは限らない。既存の未来とはもうオサラバしているからだ。僕と緋奈は交際し、河瀬は塀の中。
仮定だが、緋奈と交際していない孤独な環境の方が良い小説を書いていたかもしれない。でも今の僕だから書ける物語もあるはずだ。
とにかく、精一杯頑張ろう。人生を。
未来は、可能性に溢れているんだ。




