7話
さっきは気が付かなかったけれど、そういえば来た時間が少し早いせいか人がほとんどいない。いつもはあんなに賑やかな廊下も、シンと静まり返っている。朝の静かな空気が気持ちよくって、大きく深呼吸をする。
「朝の空気が気持ちいね」
大きく伸びをすると、大川も真似をして
「そうだね」
と言った。
教室に行っても誰もいなくて、なんとなく沈黙が気まずい。何度か口を開こうとはしたけれど、言いたいことがあるわけじゃなくって閉じるを繰り返してる。
「夕菜はさ」
「なーに」
振り返ると、大川は想像以上に真剣な顔をしていた。今まで見たことないような硬い表情に、何となくドキッとする。
大川は一瞬ためらったあと私のことをまっすぐに見つめて言った。
「夕菜は、どうしていじめられてるの」
頭を鈍器で殴られたような衝撃だった。なぜ、なんて考えたこともなかった。無意識に考えないようにしていたのかもしれないけれど。
私は、こうやって無意識のうちにいじめから逃げていたのかな。
私がいじめられる理由。そんなのは、きっととっくにわかっていた。同仕様もなかった。自分では、何もできなかった。人間関係は、脆い。たった一つの言動や行動でも壊れてしまう。この理由を告げて、嫌われるのは怖かった。
「私のこと、嫌にならない?」
自分が思っていたよりも、弱々しくてすがりつくような声だった。
「ねえ、夕菜、俺はね……」
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