22話
その後、犯人は隆樹だったことが分かった。隆樹が、クラスの私と仲が良かった子達に声をかけてみんなでやってたんだって。
私に気づかれないように。夕菜ちゃんが遊んでくれなくなって楽しくなかったからとかいう理由だったらしい。
「隆樹くん。なんでこんなことしたの」
当時の私とっては、意味がわからないことだった。どうして私と遊びたいからって私に遊ぼうって言わずに麗華をいじめたのか。本人に言えばいいだけじゃないのか。私は、いつも人が寄ってきている側だったから、知らなかった。
「言わない。やめる気もない」
隆樹は仏頂面で答えた。
「やめる気はないって、なんで!」
やめてよ。私の大好きな麗華を、傷つけないでよ。これ以上言うと手が出てしまいそうで、私は何も言えなかった。
「じゃあ、夕菜が代わりになれよ」
「え……?」
「夕菜をいじめていいなら、麗華にやるのはやめてやる」
ニヤリと笑った。その不気味で歪んだ笑みは、今でも変わっていない。
「私に何か恨みでもあるの」
当時は隆樹と特に関わりもなくて、私も幼かったから本当に意味がわからなかった。
「全部持っててずるいから、全部壊してやる」
隆樹は、突然無表情になって私に言い放った。感情全てが抜け落ちたみたいなその表情が、すごく怖かった。




