13話
「えっ……ほんとに遊星の彼女じゃないの!?照れ隠しとかでもなく!?」
「ち、違いますよ!私と大川、釣り合いません」
私はいつも後ろを向いちゃうけど、大川はいつだって前を向いてる。今を生きてる感じがする。私みたいに過去にウジウジするんじゃなくて、過去に見切りをつけて今を精一杯進める人だ。
そんな大川と私じゃ、釣り合う訳もない。
「たしかに……」
私と大川を交互にまじまじと見たあと、ため息混じりに大川のお母さんは言った。
「母さんっっっっ!!!」
真っ赤になった大川がなんだか面白くて、つい笑ってしまう。
大川と出会う前の私は、いつも笑っていたけど。それは、張り付けた笑顔で。いつだって心は笑っていなかった。
大川のおかげなのかな。今の私がちゃんと笑えてるのは。
「夕菜ちゃん、うちにいて親御さん心配しない?大丈夫?」
大川のお母さんが心配そうに聞いてくれた。そっ……か。普通は、学校行ってないって分かったら心配するの……かな。
「大丈夫、です。多分学校行ってないのも伝わってないんじゃないかな」
心配させまいと、私は微笑んでみせる。
両親はいわゆる芸能人で、昔から家に帰ってくることは少なかった。甘え方も親との関わり方も上手に分からない私に、お手伝いさん達も積極的に関わろうとはしなかった。
忙しい両親には、きっと学校からの連絡もまともに伝わっていないだろう。
「そっか。じゃあ、うちでゆっくりしていきな」
「俺のことも忘れるな?」
ハッとして隣を見るとムスッとした大川の顔があって。そういえば忘れてたな……と思って。
「ごめんね」
私、大川に謝ってるはずなのに、お腹の底から笑みがこぼれて。つい笑っちゃった。変なの。
感想、リアクションなんでもwelcomeです




