11話
「お、大川!?どこ行くのっ!?」
思ってたより足速い……!私は女子の中ではだいぶ速い方だけど、それでも追いつくのがやっと…。
「内緒!」
大川は、満面の笑みで走っている。私の手を絶対はなさず、ずっと楽しそうにグイグイ引っ張っていって、ついには校門も抜けた。
……登校していた人の視線が痛い……。まあ、そうだよね。何してんのこいつらって思うよね。
「はぁ、はぁ……っ!」
疲れた……!ほぼ全力で5分くらい?体感そのくらいの時間走ったあと、大川はスピードを緩めて立ち止まった。
「どう?暗い気持ち、スッキリした?」
私ににっこり微笑む大川は、全然息も切らしてなくて、余裕の笑み。今だけその頭に角が見えそう。……でも、確かに。
「……スッキリした、かも」
さっきの泣いたモヤモヤとか、過去をぐるぐる考えちゃうのとか。そーゆーのが取れて、きれいな空気が入ってきてる。
「俺もね、嫌になったら走ってたんだ」
大川は、少し下を向いてそう言った。いつも明るく話しかけてくれる大川だけど、大川にも悲しいこと、あったんだよね……。
それを感じさせないカラッとした笑顔を向けてくるから、ついついそのことに違和感を覚えてしまう。
「逃げてきちゃったけど、どこに行くの?」
ランドセル持ってどっか……って、見つかったら学校戻されると思うんだけど……。
「もう着いたよ!」
大川は、目の前にあるきれいな家を指さした。
「……えっ?」
意味がわからず混乱してる私に大川は言った。
「大川家へようこそ!」
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