えっ、はじまりは突然。そして、、、
広い草原、木々は緑青くおおいしげり、鳥の鳴き声がメロディーを奏でている。この大草原の中、一人の青年が気を失い倒れていた。すぐに目覚める。
「う、、、うーん。あいたたた、酷い目にあった。最悪だよあれ、痛いってもんじゃない。」
目を覚ますと体に鈍痛、最悪だ。ゆっくりと起き上がる。
気持ちの良い風が頬をくすぐる。
おや、おやおやおや、おや?
お腹に長年付き合った友達の姿がない。
両手で確認しようとした時、右手に何かを掴んでいるのを感じた。
視線を移すと、そこには、、、
「ま、まじか!!!嘘だろ!リモさんじゃん!!!」
俺は歓喜の声を上げていた、って説明しないとわからないよね。
リモさんは、俺の小さい頃からの友達、テレビのリモコン!
テレビのリモコンって思っただろ?俺はテレビっ子だったからな、それは今も変わらない。
でもしっかし何故だろうここは異世界なのにまさかの現代機器のテレビのリモコンが(笑)
でも間違いなくこれは俺の相棒のリモさん、ステッカーが貼ってあって格好良くデコレーションしてある!
でも何故に?だって異世界だからテレビのリモコンなんて役に立たないじゃん(笑)嬉しいけどさ!
「しっかし、異世界にリモさんか、思いにもやらなかったな」
「その通りね(笑)」
ん?んん??なんか声が聞こえた!
辺りを見渡すが誰もいない。
だよね、誰もいないyoね!
「相変わらず司は現実逃避が多いのか、困ったちゃんだなぁ、、、こっちだよ、こっちこっち」
やっぱり誰かに呼ばれてる、えっこわい、こわいんだけど。これってあれかしら、真夏の夜によく出るヒュードロドロかしら、、、
誰もいないのに声が聞こえるなんてまじであの変態のせいかもしれない。
「だから、こっち見なよ。自分の手元!」
手元??
「手元って、、、」
手元を見るとな、何とリモさんに小さな手足が生えとるやないかーい!!!
マジでなんなのー、異世界なんでもありなのか!
「わーーー!リモさんに何か生えてる!!ってかリモさんが喋ってるー!」
「いちいち司はうるさいな、異世界に来てるんだからびっくりするほどの事でもないじゃん」
なんなーん、喋るリモコンとかマジなんなーん(笑)むしろこんなに喋るなんておかしい、、、俺が昔友達のように妄想しながら話しかけて返してくれた(一人二役)リモさんは硬派な男子で「うむ」、「よかろう」が口癖だった筈だ。
「司、勝手な妄想お疲れ様(笑)、いっぱい今まで話かけてくれてありがとねー。誠に残念なお知らせなんだけど、私の性別はこんな形だけど女よ(笑)」
ノーーーウ、俺のイケてるダンディなお友達リモ様が、、、女性ですと、レディですと、、、
な、なんて事だ、、、ステッカーとかでデコってたのに、、、
「司、悪いんだけれど積もる話はここを切り抜けてからにしよう。私もにぶちんだったわ。敵がすぐそこにいる」
「TEKI?」
な、なんですとーいきなり敵ですと!!普通あれだよね、ゴブリーンとか初っ端に出てくるようなお友達だよね?
「くるよ!!」
「ふふふ、美味しそうな獲物を見つけたわ」
上空から声が聞こえる、見上げるとそこには翼の生えた綺麗な女性が宙を舞っていた。