表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/69

第7話 ニュース

ブックマークしてくださっている方がいる...!! それも複数名...!! 感激で泣きそう。ありがとうございますm(_ _)m

探索人登録の翌日、シンジがテレビのニュース番組を見ていると、ダンジョン攻略の特集番組の宣伝がされていた。アメリカの有名クランのインタビューもあるそうだ。


(アメリカかー。ダンジョン先進国らしいな。三位もアメリカ人って話だし)


興味が湧き、その晩、番組を見ることにする。「クローズアップナウ」という一時間の特集番組だ。


昼間はいろいろ雑事を片付ける。


夜になってテレビの前に座る。番組は8時スタートだ。


「ダンジョンが出現して3年が経ちました。今なお実態が謎に包まれているダンジョン。今回はダンジョン攻略の最先端を行くアメリカを取材しました」


そんなナレーションで番組は始まった。


「今回取材したのはボストンに拠点を置く官民で共同設立されたクラン、『ザ・ファースト・ワン』です。世界ランキング三位のローランド・アランベルト氏も所属しています」


(三位の人、ローランド・アランベルトっていうのか。そういえば名前聞くのは初めてだな)


そこからは、ダンジョンの簡単な解説や「ザ・ファースト・ワン」のメンバーインタビューなどで番組が進んでいった。


「『ザ・ファースト・ワン』は現在ボストンの上位ダンジョンを攻略中ということですね」


「ああ、そうだ。上位ダンジョンの踏破適正はレベル一万。うちにはレベル一万超えはローランドしかいない。といっても残る一万超えは謎の一位二位しかいないが。ローランドを中心になんとか進めて、今は67階層まで進んでいる」


白人のマッチョなおじさまがコメントしている。日本語は全てテロップだ。


(上位ダンジョンは大体70階層くらいだから、もうすぐ踏破じゃん)


などとシンジが思っていると、


「あと何階層くらいありそうでしょうか?」


「わからん。なんせ上位ダンジョンはまだ誰も踏破したことがないからな。中位ダンジョンが平均50階層と考えると、100くらいあったも不思議じゃないな」


(え?上位ダンジョンってまだクリアされたことないのか!?)


そこが驚きである。


「世界でもまだまだ挑戦者の少ない上位ダンジョンですが、どのようなアイテムが出るのでしょうか?」


「お宝はザクザクだな。特に上位転職オーブとスキルスクロールがおいしい。今はうちの連中もなんとか上位ジョブに転職させようとしているところだ」


「日本ではようやく中位ダンジョンを安定的に踏破できるようになったばかりです」


(中位って…適正レベル千だろ?アメリカとはそんなに差があるのか)


もちろん「安定的に踏破」と言っているからには2000-3000レベルくらいの人はいるのだろうが…。


「ザ・ファースト・ワン」のインタビューの次は、ダンジョン研究の専門家のインタビューだった。


日本のT大で新しくできた「ダンジョン学」という分野の第一人者だという鈴木マコト氏だ。


「えー、ダンジョンというものがなぜ突如発生したのか?その原点を我々は研究しています。もちろん実社会ではそれはそういうものとして進めるしかありませんけれども、研究というのは物事の根本を深掘りすることが大事でして…」


早い話がダンジョンの起源の研究というわけだ。

確かに、それは興味があると言えばある。3年前になぜダンジョンが突如として現れたのか?異世界召喚並の謎である。


「えー、ダンジョンはご存じの通り、現実空間とは別の場所に存在しています。これは自明ですね。ダンジョンの入り口の裏には何もないのですから。ではそれがどこなのか?これがわかれば、ダンジョンの発生原因も類推可能なのではないかと我々は考えています」


(ダンジョンがどこにあるか、か…。考えたことなかったな。あっちではそれどころじゃなかったし、異世界召喚がファンタジー過ぎて他のことは気にならなかったしな)


そんな感じで識者インタビューも終わり、最後に日本のダンジョン攻略についての話とトップランカーの紹介があった。


それによると、日本で現在発見されているダンジョンは74。なぜか人口密度が高いところに集中しているという。


(選挙の議席かよ)


しかし言われてみると何らかの恣意性を感じるような気もする。


日本のトップランカー10名は現在1000-3000レベル付近で、トップの関根アカネが世界ランキング19位だという。


(うーん、低い!でも、19位に食い込んでるってことはこちら的には低くないんだろうな)


番組を観たことでなんとなく世界と日本のダンジョン情勢が見えてきた。


(って言ってもなー。俺、表向きは俺レベル11だしなー。どうするかなー)


——


アメリカのホワイトハウス。言わずと知れた大統領府である。

その一室で、現大統領のダニエル・ヘイゼルクラウンとローランド・アランベルトが面会していた。


「やあローランド。よく来たね」


「やあ大統領。お招きどうも」


もちろん英語である。


「それで、今回はどういった要件で?」


「単刀直入に言おう。ランキング一位と二位のことだよ」


ローランドの目が少し鋭くなる。


「何かわかったのか?」


「これは不確定情報だが、日本にいるかもしれないとのことだ」


「日本〜?本当かよ。あそこはトップがまだレベル3000ちょっとだぜ」


「だから不確定と言っているだろう」


「どこ情報だ?」


「CIA所属の『見通す者』情報だ」


「『見通す者』か…」


「見通す者」はかなり珍しい「予言」適性を持つ上位ジョブだ。今のところ「予言」適性を持つジョブは他にほとんど見つかっていない。唯一見つかっているのが「ラッキーマン」という下位ジョブだ。


「『見通す者』に『対象察知』スキルでランキング一位と二位を探してもらったんだが、両方とも日本エリアだというんだよ。まぁ多少ズレて韓国とかもあり得るかもしれないが」


「なるほどな。で、そいつらを探してこいってか」


「そうだ。正直相手の実力は完全に未知数。だがなんとしてもアメリカに引き込みたい」


それが大統領の思惑のようだ。

ダンジョン発生以来、世界は様変わりした。今ではさまざまなことがダンジョンを中心に回っている。特にダンジョン産の特殊鉱物「マナストーン」はクリーンなエネルギー源になることが判明してから各国がこぞって採掘している。その採掘量によってエネルギーの貿易量も変わってくるからどこも必死だ。

その中で、重要になるのが高レベルの探索人だ。

ダンジョンは奥に行けば行くほど、そして高位であればあるほど貴重なアイテムを産出する。

だからどの国も高レベルの探索人を求めているのだ。


「オーケーボス。とりあえず行ってみるぜ。俺よりも高いレベルの奴には興味あるからな。まぁ表に出てきてないってことは運良く上位ジョブをあててどこかのダンジョンに引きこもってるんだろうが。『見通す者』からの追加情報あれば頼むぜ」


ローランドは大統領に軽く手を振ると、ホワイトハウスを後にした。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ