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第60話 特訓

四人がシンジとカナタに弟子入りした翌月曜日。

シンジ、カナタ、ヨツバ、アヤセ、ヨウスケ、ユキナの六人は代々木にある「決闘のダンジョン」で集合していた。カナタとアランベルトが対決した場所で、ダンジョンではあるもののモンスターやトラップはない。特訓には打ってつけの場所である。


「今日からよろしくお願いします!」


ヨウスケとユキナが頭を下げる。二人は防具は身につけていないものの、それぞれ盾と剣を持っている。二人のジョブは盾使いと剣士。いつもの装備なのだろう。


「よろしくお願いします」


けじめなのか、ヨツバとアヤセも頭を下げた。


「うん、よろしくね。でも堅苦しくしたくないから慣れたら敬語はいらないから」


「うん、そうする」


カナタの言葉に、ヨウスケとユキナは視線を泳がせたが、ヨツバはすぐに頷いた。やはり幼馴染に敬語はやりづらいようだ。


「じゃあ早速だが、今日は四人に転職してもらおうと思う。今のジョブの上位ジョブでもいいんだが、別系統のジョブでも大丈夫だ。希望はあるか?」


「パーティーの基本は前衛、後衛、回復、斥候なんだよね?」


アヤセが確認する。パーティーバランスを考えているようだ。


「そうだな」


「僕は、回復か斥候に回ってもいいかな」


アヤセの現在のジョブは魔法使い。回復か斥候なら別系統のジョブがいいだろう。


「俺は前衛で戦って強くなりたいっす!」


「私もできれば戦闘職がいいです。前衛と後衛はどちらでも大丈夫ですが…」


「私も戦いたいかな!魔法使ってみたいな」


回復と斥候だからといって戦わないわけではないが…。とりあえず残り三人は戦闘職を希望するらしい。


「なるほど。それならアヤセが回復兼斥候だな。サポートマスターがいいか」


サポートマスターはサポーターの上位職で、ヘルプデスクの下位職だ。回復も斥候もこなせる。


「ヨウスケは前衛の魔法剣士にするか」


「かっけー!!」


ヨウスケのテンションがあがる。


「ヨツバは魔法を使うなら後衛の大魔法使いだな」


「憧れの魔法職!」


「ユキナはどうするか…剣士二人っていうのももったいないか?」


「槍の騎士はどう?」


「そうするか」


カナタの提案にシンジが頷く。


「みんなどうだ?」


全員が同意したのを確認して、アイテムボックスから必要な転職オーブを取り出す。全員一度転職先の下位職に転職しなければならないので、合計八つの転職オーブが必要だ。


それぞれに二つずつ転職オーブを配る。


「早速転職してくれ」


四人がそれぞれ下位の方から転職オーブを使う。使い方は実に簡単で、両手に持って「使う」と念じるだけだ。

四人の転職はすぐに完了した。ステータスはこうなった。


【ステータス】

名前/性別/年齢: 月島ヨツバ(女性、22)

レベル: 39

ジョブ: 大魔法使い(最上位)

ランキング: 326,500,238

適性: 魔法(最上位/火、風、水、土、雷、氷、闇)


【ステータス】

名前/性別/年齢: 飯島アヤセ(男性、22)

レベル: 43

ジョブ: サポートマスター(最上位)

ランキング: 321,667,001

適性: 魔法(最上位/光、無)、武具(中位)、薬学(最上位)、錬金(最上位)、鍛治(最上位)、生活(最上位)


【ステータス】

名前/性別/年齢: 小早川ヨウスケ(男性、19)

レベル: 41

ジョブ: 魔法剣士(最上位)

ランキング: 327,342,099

適性: 魔法(上位/火、風、水、土)、剣術(最上位)


【ステータス】

名前/性別/年齢: 引芝ユキナ(女性、21)

レベル: 40

ジョブ: 槍の騎士(最上位)

ランキング: 366,784,560

適性: 槍術(最上位)


「すげー!!ランカーと比べても遜色ないステータスだぜ!!」


「レベル以外ね…でも、すごい」


興奮気味のヨウスケに対してユキナは冷静な様子だ。


「続いてスキルだな」


いくら転職して適性が増えても、スキルがないと戦えない。以前覚えていたスキルも、今適性がないものは失われている。もっとも、武器系スキルは多少動きは覚えていたりするのだが、スキルという形では残っていない。


シンジはそれぞれに3〜10個のスキルを配る。

数に差があるのは、単純に必要数が違うからだ。「槍の騎士」であれば極論「槍術(最上位)スキル」さえあれば充分だが、魔法系統はそうもいかない。いろいろな魔法スキルが必要になるのである。


「みんなスキルは覚えたか?そしたら、特訓だな!」


せっかく覚えたスキルも使いこなせないと宝の持ち腐れである。

そこからは、実際にスキルを発動させながらの特訓だ。

戦闘系はまとめてカナタが面倒を見、サポートのアヤセをシンジが見る。


「とりあえず回復だな」


言いながら、取り出したナイフで自分の腕をざくっと切るシンジ。


「え!!」


アヤセが動揺する。


「じゃあ、回復魔法をよろしく」


血がぼたぼた垂れる腕を差し出すシンジ。


「え、痛くないの…?」


あまりにも平然としているシンジにアヤセはやや引いている。


「痛いけど。まぁ、大丈夫だ」


「全然大丈夫じゃないよ!『ヒール』」


アヤセが唱えると、シンジの腕に光が収束し、傷が完全に癒えた。


「すごい!」


自分で魔法をかけておきながら、驚くアヤセ。

ちなみに、通常は『光よ、ヒール』と唱える必要があるが、『ショートカット』スキルで前半は飛ばしている。このスキルは魔法を使う全員に配布済みだ。


「うん、大丈夫そうだな。次は斥候系なんだが…」


そこから、『探知』などの斥候関連スキルの練習を始める。


一方、カナタたちはいきなり三対一の模擬戦をしていた。

カナタは殺す気でかかってきてと言ったが、三人は最初は遠慮がちだった。ところが、どんな攻撃もかすりもしないとわかるとだんだんヒートアップしてきた。しかしどんなにヒートアップして本気になっても全く相手にならない。


「カナタ、本当に二位なんだね…」


ヨツバが呟く。今更だが、実力を目の当たりにして実感が湧いたようである。


「うん。これで実力差はわかったと思うからその調子で遠慮しないでね。じゃあ一回三人で作戦会議してみて」


言われて、三人か話し合いを始める。とにかく攻撃を一発当てたい。その手段を話し合う。

しかしその後、日が暮れるまであれやこれや試したものの、結局攻撃が当たることはなかった。


「疲れたー!」


特訓が終わるとヨツバはその場で座り込んだ。よほど疲れたらしい。といっても途中でもちょこちょこ休憩を挟んでいたのだが。


「初日にしては悪くないけど、体力不足かな」


カナタが指摘する。


「いやいやカナタたちがすごすぎるんだよ…でも、頑張るよ…」


やはり疲れた様子のアヤセが応える。


「俺らも…頑張りまっす…」


「次は木曜日な。上位ダンジョンでパワーレベリングするから」


次回の予定を告げて解散する。

シンジは帰宅するとカナタにLINUで連絡した。


『どう思う?』


『悪くないと思う。みんな意外とセンスとやる気があったから』


そう、四人ともセンスは悪くなかったのだ。いくら強力なスキルがあってもセンスがなくて全く使いこなせい場合もある。その場合でもパワーレベリングで誤魔化そうと思っていたが、やってみたら全員、筋は悪くなかった。

もちろん現段階の実力はさっぱりであるが。


『そうだよな!このまま鍛えれば結構いい線いくんじゃないか?』


『そう思う』


幼馴染が強くなりそうというのは素直に嬉しい。


『じゃあ木曜日も続けてよろしく』


『オーケー』

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