第4話 再会
ヨツバとアヤセのランキングを修正しました。
帰還してから1週間が経った。今日は土曜日だ。
シンジはカナタと一緒に五年ぶりに幼馴染の飯島アヤセと月島ヨツバと会う約束をしている。
どうでもいい話だが全員名字に「島」がつくことから一緒にいると「島国」とか呼ばれていた。
待ち合わせは近所のファミレスだ。アヤセは都内で一人暮らしをしているらしいが、ヨツバは実家暮らしとのこと。アヤセにこっちまで来てもらうことになった。
ちなみに、3人が住むのは横浜の「青葉台」駅近くだ。
シンジが着くと、アヤセとヨツバはすでに中に入って座っていた。
アヤセは少し癖っ毛の茶髪の青年。青いTシャツにジーンズのラフな格好だ。ヨツバは、いわゆるショートボブ。眼鏡をかけていて、柔らかい感じの目元が特徴だ。黄色のワンピースを着ている。
「シンジ!ほんとにシンジ?マジでシンジ?」
ヨツバが立ち上がって手を振る。
「いや俺のスマホからメッセージ送ってんだから俺だろ」
「あんまりにも突然だったし、最初は本気で乗っ取りを疑ったよ!」
「本当にシンジだ…」
やや呆然と呟くアヤセに、
「それ今ヨツバが言っただろ」
思わずつっこむ。
「本当にびっくりだよ!どこ行ってたんだよチクショー!しかもカナタも一緒だって…愛の逃避行!?」
「そんなんじゃねーのはお前らが一番わかってるだろ!」
男女二人ずつの幼馴染4人であるが、今のところ清々しいほど恋愛感情はない。もっとも5年経っているので確かなことは言えないが…。
「みんな!」
ここでカナタも合流した。
「カナター!本当に心配したよ!良かったぁ」
ヨツバがカナタに抱きつく。
「ヨツバ、久しぶり!また会えて嬉しいよー」
しかし四人があまりにもはしゃいでいるので、段々周りの目が集まってきた。
「そろそろ座ろうぜ」
シンジが声をかけ、シンジはアヤセの隣、カナタはヨツバの隣に座る。
そこからはまた積もる話だ。また同じ説明を繰り返す。二人はややうろんげだが、特につっこんではこなかった。
「でさ、二人は今どうしてるの?」
一番気になっていたことをカナタが尋ねる。
「私たちはダンジョンスクールに通ってるよ」
「…マジで!?」
意外な返答だ。二人は普通に大学に行ってるものだと思っていたが…
「そうなの!実はさ…ダンジョンバーストで、お父さん死んじゃったんだ」
「え…」
ダンジョンバーストとは、いわゆるスタンピードのことで、普段はダンジョンから出てこないモンスターたちがダンジョンから出てきて徘徊する現象の事だ。
今のところ日本では大惨事は起こっていないというが、被害がゼロというわけではない。
「たまたま出張で行った先でね…2年ちょっと前のことなんだけど。そういう事故、二度と起きてほしくなくて、何かできないかって思った時に探索人かなって…」
「その時、僕は高卒で働いてたんだけど。そこが超ブラックでさ。そのままそこで働いてても未来が見えなくて。それでいっそ僕も探索人になろうって思ったんだよね。ダンジョンスクールは今政府の援助がすごいからさ、無料で通えるし」
意外と二人が苦労していたことに驚くシンジとカナタ。
「そうだったんだ…」
「あ、でももう引きずってないから!」
「そっか…。えーと、ダンジョンスクールってどんな感じ?」
「うーん、普通の学校に比べたら圧倒的に実技が多いかな。ダンジョンに潜らないとレベルも上がらないしスキルも手に入らないし。演習でしょっちゅうダンジョンに潜ってるよ」
基本的にレベルを上げるにはモンスターを倒す必要がある。
そしてスキルは、自然に取得することもあるが基本的にはダンジョンから出るスキルスクロールを使って覚えるものだ。
いずれにしてもダンジョンに行かないことにはどうしようもない。
「スキルスクロールって、売ってないの?」
「下位のものならそれなりに売ってるけど、それでも結構なお値段するかな」
スキルは、下位、中位、上位、最上位、神話の五つのランクがあるのだ。
「なるほど…。それで、二人のジョブはなんなの?」
「私は『アーチャー』だよ!ウィンドウオープン」
【ステータス】
名前/性別/年齢: 月島ヨツバ(女性、22)
レベル: 37
ジョブ: アーチャー(中位)
ランキング: 329,430,231
適性: 弓(中位)、魔法(中位/火、土)
アーチャーは弓を得意とする戦闘職だ。
「僕は『魔法使い』。ウィンドウオープン」
【ステータス】
名前/性別/年齢: 飯島アヤセ(男性、22)
レベル: 41
ジョブ: 魔法使い(中位)
ランキング: 323,621,392
適性: 魔法(中位/火、風、水、土)、盾(中位)
二人とも中位ランクのジョブだ。ジョブにもスキルと同じランクがあり、スキルは基本的に自分のジョブランク以下のものしかとれない。
ただし、ジョブは通常のランクの他に、「ユニーク」という世界で一人しか持つことのできないものもある。カナタや「勇者」やシンジの「ヘルプデスク」がそうだ。
(レベルは37と41か…)
ランキングが30億位くらいということは、人類の半数よりは上ということにはなるが。
「二人はー?」
「私は『勇士』。ウィンドウオープン」
【ステータス】
名前/性別/年齢: 厳島カナタ(女性、22)
レベル: 13
ジョブ: 勇士(上位)
ランキング: 6,945,055,232
適性: 魔法(上位/火、風、水、土、雷、氷)、武具(上位)
もちろん偽のステータスだ。こうなることを予想して「偽装」という無魔法で改竄されている。ちなみに無魔法はシンジにしか使えないのでシンジにやってもらった。
「じゃ、俺も。ウィンドウオープン」
【ステータス】
名前/性別/年齢: 夢島シンジ(男性、22)
レベル: 11
ジョブ: サポーター(上位)
ランキング: 7,332,648,934
適性: 魔法(上位/光、無)、武具(下位)、薬学(上位)
「ふ…二人ともすごいじゃん!あんまり聞いたことないジョブだけど、上位ジョブじゃん!初期レベルも二桁だし」
もう少し低いステータスに偽装しても良かったのかもしれないが、あまりに低いと今後自由に活動するのが難しくなるかもしれないのである程度無難にしておいたのだ。
「ありがと。でもまだ何もスキルないし」
「それでもすごいよー。最初から上位ジョブ、いいなぁ。二人もダンジョンスクール通って探索人になる?」
「うーん、どうかなー」
探索人にはなるつもりだが、今更ダンジョンスクールに通いたいとは思えない二人である。言葉を濁す。
「ダンジョンスクール、オススメだよ!まぁちょっと怪我したりいろいろあるけど」
「やっぱり怪我とかはあるんだ」
「そりゃダンジョン入るから…ゼロってわけにはね」
「どんな感じで潜っての?」
「大体四人でパーティー組んでかな。今は私と、アヤセと、盾使いの子と、剣士の子の四人でパーティー組んでて」
「そのメンツで斥候役は誰がやるの?回復は?」
「カナタ詳しいね!いや、できる人いないから、みんなで協力してなんとかやってる」
「え…それで大丈夫なの…?」
「うーん、正直大丈夫じゃない時もある。でも察知系や回復系のスキルってレアだし、なかなかねー」
おいおいおい!
(察知も回復もなしでダンジョン探索とか、向こうだとかなりアウトだぞ)
四人パーティーの基本は前衛、後衛、斥候、回復だ。
向こうではそれが常識だった。
(いや、中位くらいのダンジョンまでならありなのか?うーん)
「それは…なかなか大変そうだね」
なんとかコメントするカナタ。
「でもスクールの大半はこんな感じだよ。うちはそれでも前衛後衛のバランスはいいし、恵まれてる方かな」
それからまたあれこれダンジョンスクールの話をして、この日はお開きになった。
シンジは家に戻ると早速カナタに連絡する。
『ダンジョンスクール、どう思う?』
『学校で体系だって学べるのはいいと思うけど、結構危険な気がする。あの二人大丈夫かな』
『だよな…。ダンジョンスクール通うのはだるいけど、二人は気になる』
『ちょっとさ、今度様子見に行こうよ』
『でも俺たち部外者だぞ』
『そこはシンジのスキルがあればなんとでもなるでしょ』
『まぁ、そうだけど…』
そういうことになった。




