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第33話 情報

誤字報告、ありがとうございます!

カナタがアランベルトに電話すると、ワンコールも終わらないうちにアランベルトは電話に出た。

ちなみに番号は以前電話がかかってきたのを一応登録してあったのですぐにわかった。


「一位じゃねぇか!」


「いや、二位の方よ」


「ついに俺を弟子にしてくれる気になったか!?」


「いや、なってないから」


無駄にテンションの高い男である。


「聞きたいことがあるのよ」


「またポーションを売ってくれるか!?」


「何かいい情報があれば売るわよ」


「オーケーオーケー!で、聞きたいことはなんだ?」


「石碑のあるダンジョンを探してるんだけど何か知らない?ボス部屋にボスがいなくて石碑があるダンジョン」


「なんだそんなことか。そういうダンジョンなら攻略したことがあるぜ」


意外にも当たりを引いたようだ。


「石碑になんて書いてあったか覚えてる?」


「《太陽の光が ——Quiz》だったな」


「ダンジョンのランクは?」


「中位だ。【謎の入り口ダンジョン】ってところだな。フロリダにある」


初の中位石碑ダンジョンだ。


「他にはそういうダンジョン知ってる?」


「カナダの奴がなんか似たようなダンジョンに行ったって言ってたな。石碑の内容までは聞いてねぇが」


さすがアランベルト。他国の探索者とも繋がりがあるようだ。


「内容聞いてもらえない?」


「それぐらい構わねぇが…なぁ弟子にしてくれよ」


「いやそれは無理だから」


「頼むぜ!強くなりてぇんだよ」


なるほど。こちらとしても、アランベルトにはぜひ強くなってもらいたい。


「強くなりたいなら弟子じゃなくても方法あるわよ?」


「お!なんだ?」


「いいスキルスクロールあげるから自分で強くなって」


「……スキルスクロール!?!?」


よほど驚いたようだ。


「譲ってくれるのか?ポーションとはわけが違うぜ?下位はともかく、ランクの高いスキルスクロールはほとんど出回ってねぇ」


「問題ないわね。腐るほどあるし」


「腐るほど!?一体どんな世界で生きてたんだよ…」


異世界である。


「いくらだ?」


「そういえば値段はまだ決めてなかったわね」


さすがに誰でも彼でもタダで渡すわけにはいかない。


「金に糸目はつけねぇぜ!」


さすが世界ランク三位。お金は持っているようだ。


「ちょっと佐藤と相談するわ」


「誰だ?」


「一位よ。偽名だけど。私は山田ね。とりあえず、スキルスクロールを見繕うから適性を教えてくれる?」


「いいぜ!どうせ公開されてるしな!」


適性については、隠している場合も多いが、アランベルトはオープンにしているようだ。


「魔法が全部神話級で火、風、水、土、雷、氷、闇、重力、武具も神話だぜ」


「…なるほど」


カナタと全く同じ適性だった。勇者と英雄。確かに似ていても不思議ではない。


「驚かなねぇんだな」


「驚いてはいるわよ」


「普通はビビるんだけどな」


「それはないわね」


「まぁ、そうだろうな」


「で?どんなスキルスクロールを譲ってくれるんだ?闇とか重力とか憧れてるんだけどな!!」


厨二的なのが良いのかもしれない…。


「闇と重力ね。あとは武具も何か見繕うわ」


「武器は剣希望だな!」


「わかったわ。用意できたらまた連絡するから。カナダの石碑ダンジョンの件、よろしく。他にも情報あったらお願い」


「オーケーオーケー!」


———


「一位と二位はまだ見つからないのか!」


とある事務所で、高級そうな椅子に腰掛けた初老の男が目の前に立つ男に問いかけた。

立っているのは若い男だ。金髪で、耳にはたくさんのピアスをつけている。いかにもチャラそうな雰囲気だ。

初老の男の隣には、こちらも似たような年代の男が一人立っている。そして、部屋の隅には、スーツに身を包んだ護衛らしき男が二人控えている。


「まだっすね〜。大臣と『冥界の果て』の泉田、それとダンジョン探索協会横浜支部の宮間支部長が繋がってるのはわかってるんすけどね〜」


どこか緩い声で答える若い男。


「それだけわかっていればすぐだろうが!」


初老の男の方はイライラしているようだ。


「ガードが結構固いんすよね〜。まぁでももうすぐ捕まりますよ」


「お前には金をかけてるんだからな。見つからなかったらわかってるだろうな!」


「はいはい、大丈夫っすよ〜。こういうの得意っすから。ご存知でしょ?」


「だからお前に依頼してるんだろうが!」


いちいち怒鳴らないと気が済まないようだ。


「数日以内にはご連絡しますから〜」


怒鳴られているのもどこ吹く風である。金髪の男は颯爽と去って行った。


「ふざけた男だ…!」


初老の男が吐き捨てる。


「しかし、あれでも凄腕の情報屋ですから…」


隣の男が宥める。


「わかってる!でなければ誰があんな男に依頼するか!」


「まぁ果報は寝て待てと言います。きっと良い情報を持ってきてくれるでしょうとも」


「そうでなければ困るわ!」


結局、金髪の男から連絡があったのはその三日後だった。

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