表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

3/69

第3話 地球のダンジョン

翌日になった。

昨日はあのあと叔父から連絡があり、電話で話した。不在中のことは「どこか遠くにいた気がするけど、記憶に霞がかかってるようで覚えていない。気づいたら神社の境内にいた」という完全に無理のある説明をした。

でも他に話しようがない。異世界に行っていたというよりはまだマシな説明ではないだろうか?


ところが叔父は「そんなこともあるのか。とにかくダンジョンで死んだりしてなくて本当に良かった」と謎発言をした。


「ダンジョン?何のこと?」


本当に意味がわからず聞き返すと…驚きの事実が判明した。

なんと世界にダンジョンが誕生したらしい。意味がわからない?まさにその通りだ。


(意味わからん)


「あ、そうかお前はダンジョンが誕生する前に行方不明になったんだったな…本当に覚えていないんだな」


叔父は納得したように言うと、あれこれと世界の情勢を説明してくれた。


まずは、ダンジョンが誕生したこと。大事なことなのであえて二度目だ。


3年前のある日突然世界各国にダンジョンが誕生した。それから人類皆がウィンドウを開けるようになり、ステータスの確認が可能になった。


(いきなり異世界要素でてきたな)


ダンジョンがダンジョンだとわかったのは、単純に一歩踏み込むとウィンドウがポップアップし、ダンジョンのランクと名前が表示されるから。

ダンジョン内にはモンスターがうようよしていて、そいつらには通常の武器は全く効かない。

しかし素手だったりダンジョン内の武器は効くことがわかった。


それから紆余曲折あり、世界ダンジョン探索協会や日本ダンジョン探索協会というものが設立されたのが大体2年前。同時に日本では三年制のダンジョンスクールも設立された。

そして、ダンジョンを探索する探索人という仕事もできた。


…というわけである。


(うん、意味わからん)


しかし、異世界召喚があるのだから、ダンジョンが登場してもおかしかない…のかもしれない…。


「ダンジョンは危険だから近寄るなよ。といってもライセンスがないと中には入らないようになってるが。とにかく明日そっちに行くから、今日はゆっくり休むんだ」


という感じで昨日の電話は終わった。

夜、カナタに連絡したものの返事はなかった。お取り込み中なのだろう。


——


翌日の昼頃に叔父がやってきた。


「シンジ!よく無事だったな、本当に良かった」


積もる話をしつつ、今後について話し合う。


「まずは警察に届け出て…家はこのまま使っていいからな」


家はやはり、叔父が管理してくれていたらしい。


「それで、今後どうしたい?」


そう聞かれて、シンジは少し沈黙した。


シンジが召喚されたのは高校2年生の時だ。今はもう大学を卒業するくらいの年齢。しかも高校を卒業していない…フリーターならともかく、普通に働くのはかなりハードルが高い。


しかし、唯一ハードルが高くなさそうな職業がある。


もちろん、探索人だ。

シンジには異世界で魔王まで倒したレベルとスキルが残っている。こちらの世界の平均的なダンジョンのレベルなどはまだわからないが、通用しないということはないだろう。


(でも、反対されるだろうな…)


そう思い、とりあえず口には出さない。


「うーん、まだ貯金はあるし、少し考えてみます。正直まずは今の世の中に慣れたいですし」


「そうだな、それがいい」


そんな感じで、話し合いは終わった。


——


夜になって、ようやくカナタから返信がきた。


『とりあえず家族はなんとか誤魔化した…それより、ダンジョンの話聞いた?』


『聞いた聞いた。びっくりだよな』


『それで、どうする?私もう探索人になるしかないと思ってるんだけど』


『奇遇だな、俺も。普通の仕事とか今からはかなり厳しいと思ってたし。逆にちょうど良かったって思った』


『そうだよね…そしたら、明日からはダンジョン関係の情報収集かな』


『あっちでは散々ダンジョン潜ったけど、同じとは限らないしな。レベル帯も知りたいし』


そういうことになった。


——


翌日、ダンジョン関係について調べてみると、基本的には向こうの世界のダンジョンと同じような感じだということがわかった。


ダンジョンのランクは最下位、下位、中位、上位、最上位、神話の6段階。


ダンジョンはドロップ制で、モンスターは倒すと消えて、運が良ければドロップ品を残す。それとは別に宝箱からもアイテムを入手可能。

アイテムは様々で、ポーションや素材、武器防具などなど。

ダンジョンボスがいて、ダンジョンコアがある。

そして、ダンジョンに入るとダンジョンランクとダンジョン名がウィンドウに表示される。


(向こうとほぼ同じだな。オーソドックスな感じ。というか似すぎ?)


そして、ダンジョンを探索してモンスターを間引いたり、アイテムを入手する人を探索人と呼ぶ。探索人は18歳以上なら誰でも登録さえすればなれる。

ただし、できればダンジョンスクールに通うことが推奨される。

ダンジョン探索で得たものは基本的に探索人に所有権があるが、その分ダンジョン内の全てのことは自己責任。通常の生命保険もおりない。


(向こうの冒険者に近いな)


ただし、冒険者はダンジョン探索だけでなく様々な依頼もこなしていたが。


合わせて、ステータスやジョブについても調べた。


一番驚きだったのは「ランキング」だ。ステータスにはランキングがあり、全世界で今、レベルが何位かが表示されるという。


試しにウィンドウを開いてみると…


【ステータス】

名前/性別/年齢: 夢島シンジ(男性、22)

レベル: 124,056

ジョブ: ヘルプデスク(ユニーク)

ランキング: 1

適性: 魔法(神話/光、空間魔法、無)、武具(上位)、薬学(神話)、錬金(神話)、鍛治(神話)、魔物(神話)、生活(神話)、予言(神話)


確かにランキングが加わっていた。


(1??一位…?)


ランキングについて調べてみると、上位のいわゆるランカーは大体どこの国の誰であるのかが公表されている模様。しかし、一位二位は誰なのかが判明していないとのこと。


(え?ということは、俺らが帰ってくる前から俺たちはランキングに組み入れられてたってことか??どういうことなんだ?でもあっちのステータスにはランキングなんてなかった…)


ちなみに三位は「英雄」ジョブを持つアメリカ人でレベルは一万超えとか。


(え、一万?低っ。魔王の四天王の副官にも勝てないじゃん)


しかしよく考えてみると、ダンジョンが登場してまだ三年だ。


(いやいやでも俺たちは5年で10万だぞ。あっちとこっちではレベルの上がり方が違うとか?いな、そうじゃないか、勇者召喚された俺たちが特別なのか…)


いずれにしても、シンジがランキング一位で、しかも三位とは10倍以上の差があることがわかった。


(カナは確かレベル10万ちょい。二位決定だな。しかしヘルプデスクの俺が勇者よりレベル高いって…)


いいのか?と思うシンジであった。


(でもなー、一位か。これって知られたら結構、というかかなり面倒だよな?どうやってそのレベルになったんだって話になるし)


どう考えても厄介なことにしかなりそうもない。


(帰ってきてようやく平穏な生活…と思ってたんだけどなー。ダンジョンできてるし、一位だし…いや、でも俺は平穏な生活を目指す!!)



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ