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第28話 夢

スウェーデンのストックホルム→イギリスのロンドンに修正しました。

シンジは夢を見ていた。


「予知夢か…久しぶりだな」


予知夢は、数少ない意識しなくても常時発動している『予言』系列のパッシブスキルだ。自分でコントロールすることはできず、ある日唐突に予知夢を見るのだ。


そこはどこかのダンジョンのようだった。

天井が異常に高い、土の壁の広い部屋の中心に、石碑のようなものが立っている。


近づいて文字を読もうとするが、読めない。


諦めて周りを見回す。背後に大きなドアがあるが、閉まっている。ふと、影が差した。上を見ると、ドラゴンがいた。


「レインボードラゴンか。珍しいな」


文字通り虹色のドラゴンだ。知能の高いドラゴンで、人間とも意思疎通が可能である。しかし夢だからか、通じる気配はない。


やがて、部屋もドラゴンもかき消えて、シンジは闇の中に取り残された。

何も見えない。ただ深淵が広がっていた。


唐突にウィンドウがポップアップした。

そこにはこう書かれていた。


【最上位 闇の入り口ダンジョン】


そこで、目が覚めた。


時計を見るとまだ午前一時だ。しかし目が冴えている。夢の意味はまだわからないが、予知夢を見るということは必ず意味がある。


「闇の入り口ダンジョンか…調べてみるか」


スマホで「闇の入り口 ダンジョン」で検索してみる。ヒットしない。英語で検索してみる。「entrance darkness dungeon」。すると、ヒットした。「The entrance to darkness dungeon」。これだろう。


場所を見ると…イギリスのロンドンにあるようだ。

行ったことはない。


しかし、行くしかないだろう。

最上位ダンジョンなら一人でもなんとかはなるだろうが、カナタがいた方が助かる。


(明日…というよりもう今日か。連絡してみるか)


———


朝になってから、LINUでカナタに連絡する。


『久しぶりに予知夢を見た』


『えー珍しい!何か重要なことがあるってことだよね?』


『おそらく。【最上位 闇の入り口ダンジョン】っていうところの夢で、謎の石碑があったんだよな。読めなかったけど』


『現地に行って読んでこいってこと?』


『おそらく…あとレインボードラゴンがいた』


『「世界の番人」かぁ。なんか意味ありげだね』


レインボードラゴンは世界の番人ーー人ではないがーーと呼ばれていた。呼ばれていた、というより自分たちでそう名乗ってるらしいのだが、二人は実際に遭遇したことはないので、「らしい」というだけだ。そしてなぜそう名乗っているかも定かではない。

ただ、意味ありげではある。


『行ってみるしかないかぁ。場所はわかってるんだよね?』


『ああ。イギリスのロンドンだった』


『遠っ』


転移がある二人からしたら距離は特に関係ないが。


『最上位ダンジョンなら階層は100くらいだよね。魔王の城に比べたら敵も弱いし一週間もあれば攻略できるかな』


『数日で終わらせたいところだけど。どんなダンジョンかにもよるな』


単純に敵を倒して前に進むだけならサクサク進むだろうが、迷路タイプなど、どうしても多少時間がかかるダンジョンもある。


『そうだね。いつ行く?』


『いつ行ける?明日にでも行こうと思ってるけど』


『明日で大丈夫』


『じゃ、明日で。泉田さんたちには一応連絡いれとくか』


———


「佐藤と山田が不在にするらしいですね」


二人から連絡を受けた泉田は支倉と電話していた。


「そうらしいな。どこに行くのやら…」


二人は、『俺たちは一週間ほど不在にする。連絡はつかないかもしれないがご心配なく』と簡潔な連絡をいれていた。


「連絡がつかないとか、絶対ダンジョンですよね?」


「そうだろうな。問題はどこのダンジョンに何の用か、だ。戻ってこなかったら大事だぞ」


普通の探索者ならそこまで気にしないが、二人の場合はポーションの件がある。今、二人がいなくなればポーションの供給ができなくなる。一度大々的に始めたポーション事業を畳んだら、信頼も失墜するし、暴動なども起こるかもしれない。

その上、二人は日本の最高戦力である。失うわけにはいかない。


「まぁレベル五万のドラゴンを瞬殺する二人に何かあるとは思えませんが」


「だが二人とて人間だろう。万一ということもある」


「といっても、二人が行くようなダンジョンに他の人間がついて行けるとは思えませんな。…そもそも国内かもわからないですよね?」


「……」


指摘されて、支倉は押し黙った。確かに、そうだ。二人は『転移』という反則級の移動手段がある。距離の制限があるかなど、詳細は不明であるが、海外に行くのも簡単なのかもしれない。

しかしその場合、どうやってダンジョンに入るつもりだろうか。

通常、海外のダンジョンに入るには国際ライセンスが必要だ。

そこまで考えて、支倉は一つの疑問にたどり着いた。


「そもそも二人はどうやってダンジョンに入っているんだ?」


二人は探索者ライセンスを持っていない。…はずだ。それなら、入り口でひっかかるのではないか?


「ダンジョンの中に転移できるということか…?」


「どうなんですかね?でもそれなら、魔王の城もそこまで脅威に感じないのでは?ボスのところに転移して倒せばいいという話になるのでは」


「魔王がものすごく強いのではないか?うーむ」


結局答えはわからず、心配だけが募った。

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