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第6話 引く手数多 (約7,500文字)

「あの解放者から誘いが来るなんて!」


界斗は夕暮れに染まる街並みを浮かれた気分で歩いていた。

ガリウスから貰った名刺をポケットから取り出し眺める。


「へ~、ハンタークランって正式名称は特殊軍事国際法人っていうんだ。まあ、皆クランって呼んでるからこれからもクランでいいか……」


 界斗は初めて知った事実に感動しながら名刺をポケットに大切にしまった。

 そして目の前に人がいることに気付けなかった。


「いた!」

「あぁ! テメェ、どこに目を付けて歩いてやがる!」


 界斗は人相の悪い高校生らしき男とぶつかった。


「す、すみません」


 そして会釈して行こうとしたがその男は界斗の肩を掴んだ。


「あ? なに済まして行こうとしてんだこのガキ?」


 ちょっと体躯の良いくすんだ金髪男にすごまれ界斗は怯んでしまったが、すぐに気を持ち直す。


(これからハンターになるんだ。いくら年上だからってこの程度の男の脅しにビビっちゃだめだ。いざとなったら火球で撃退だ……)


 界斗は右手に意識を集中していつでも火球を放てるようにする。


「前髪をこんなに長く垂らしやがって、面見せろ!」


 人相の悪い高校生らしき男の周囲にいた取り巻きの一人が界斗の前髪をかきあげた。


「ダンドン、貴様また問題を起こす気か?」


 その時、中年のスーツ姿の男性がやってきた。


「ち、うるせー先公がやってきたよ」

「まずいですよ、ダンドンさん。こんなガキは放っといて行きましょう?」


 ダンドンと呼ばれた男子高校生は取り巻きの学生達と行ってしまった。


「君、大丈夫かね? いやぁ、うちの生徒が迷惑かけた。申し訳ない」


 教師らしき男性も謝るとどこかへ行ってしまった。


「はぁ~、人がせっかくいい気分で帰ってたのに、なんであんな変な奴に絡まれるかな?」

「界斗、お帰り。遅かったじゃないか?」


 ぼやきながら玄関のドアをあけた界斗をアスランが迎えた。


「うん、ちょっとね。夕食の後で話すよ。院長先生や副院長先生にも話したいし」

「ふ~ん、なんだ、彼女が出来たとかじゃないんだ」


 夕食の後、他の子供たちは部屋に戻り食堂には界斗、アスラン、院長、副院長の4人が残った。


「で、話ってなんだ?」


 アスランが切り出した。


「実はハンタークランに誘われたんだ」

「まあ!」

「まじで! よかったじゃないか」


 院長、副院長は口に手を当てて驚き、アスランは界斗の肩をバンバン叩く。


「ちょっ、ちょっと、アスラン肩痛い……」

「あ、ああ、すまない、ついな……。で、どこなんだ? それなりに良いところか?」

「うん、解放者」

「ふ~ん、解放者ね……。中学生をスカウトに来そうな手頃なクランでそんな名前あったっけ? 世界的に有名なクランの解放者なら知ってるけど……って、まさかその解放者か!」

「そうなんだよ! その解放者の人が学校に会いに来たんだよ!」

「まあ、何てこと! 週末はお祝いにしないと!」

「いやいいよ、院長先生。そんな余裕はないでしょ」

「子供が気にすることではありません。とはいっても冷静に考えると子供の就職先の違いで差別するのはよくないわね。今まで卒業祝いと就職祝いは兼ねていたのだから界斗だけ贔屓するわけにもいかないわね……」

「うん、だからいいよ」

「ところで界斗は解放者の誰と会ったんだ? 知的な美人で有名な事務長さんか? それともカージフが得意で何でもそつなくこなす万能と言われるグラスロードさんか?」


 界斗は首を振る。


 ちなみにカージフとは楽器で10本の弦がありチェロの様に構え両手でギターの様に弦をはじき音を出す。音程は弦の上部につまみが付いていて、それをゼファレスによる物体操作でスライドさせて操る。両手とゼファレスで10本の弦を操作するという大変難易度が高い楽器である。だが抱えられる程小型で10和音が出せ、複雑な演奏が出来るという事でそれなりに愛好者がいる楽器でもある。


「ま、まあ、中学生に会いに来るのは現実的に中堅メンバー辺りだよな……」

「それが違うんだよね。団長さんと副団長さんが来た……」

「へ~、それは凄いじゃん。うん? いや、ちょっと待て。団長さんて確かアウルフィード・クラリティーナ様だよな。超美人で雷光姫とか呼ばれてる……界斗、お前凄いなんてもんじゃないぞ」

「え、そうなの?」

「お前の事だから知らないだろうけど、あの人超有名だぜ。いつも任務か休むかしかしない。世界トップクラスのクランの団長なのに取材にも応じない。パーティーにも滅多に出ない。それに大手クランや協会の会議にも滅多に来ないらしい。ほとんど事務長任せ」

「そういえば対外対応とかしないから名刺無いって言ってた」

「だろ? そんな人がわざわざ学校に来るなんて、界斗お前相当気に入られているぞ」

「そ、そうなのかな?」

「で、どうだった? やっぱりすごい美人だったか?」

「まあ、凄い美人だったけど……」

「どうしたんだ? いいじゃないか解放者! 美人な団長! それにかわいい子も多いって噂だぞ」

「う~ん……副団長が超怖いおじさんだったんだよね。正直、死ぬほどしごかれそうで不安しかない……」


 界斗は応接室での事を余さず話した。


「まぁ、それは仕方ないじゃないか? 一歩間違えればすぐ死んじゃうんだし。むしろ厳しく鍛えてくれた方がありがたいだろ?」


 アスランはまじめな顔をしながらもどこか吹き出しそうだった。きっと校長の態度がツボにはまったのだろう。


「アスランの言う通りよ界斗。甘えた気持ちで生き残れるほど優しい仕事ではないわよ」

 副院長もアスランに同調する。大人な2人は笑わずに平然としていた。


「そうですね。2人の言う通りよ。せっかくのチャンスを厳しそうなんて理由だけで断るのはもったいないわ。条件次第だろうけどもちゃんと考えるのよ?」

「はい……院長先生」

「今日はこれぐらいにしましょう。今度書類が来たら見せなさい。界斗1人に判断させるのは心配だわ。私たちがちゃんと確認してあげるから」

「そうだな。界斗の人生だがせっかくのチャンスだ。変な判断しないように俺たちも採用条件を見てやるよ」




 界斗は次の日、教室に入ったとたんクラスメートに囲まれた。普段あまり接してこないクラスメートたちに囲まれ界斗はたじろいだ。


「真田、聞いたぜ。お前、解放者から誘われたんだってな~。うらやましいぜ。実は俺もハンター志望なんだよ。俺もお前ぐらいゼファレスが使えたらな~」

「アウルフィード・クラリティーナ様に会ったんでしょ? どんな人だった?」

「アウルフィード・クラリティーナ様が来ていたの?」

「そうそう、後輩達の間では超話題になっているわ。なんでも部活終わりに校舎の昇降口で見たって子が何人もいるんだって」

「くー、お前うらやましすぎるぞ、真田ぁぁぁ!」

「おいおい、お前らあまりしつこくして真田を怒らせるなよ。一昨日の件、もう忘れたのか?」


 だれかの一言で界斗を囲んでいた生徒達がすっと下がった。


「す、すまない、真田。調子に乗った」

「……ごめんね、真田君。今度良かったら教えてね」


 クラスメートたちが界斗に気を遣うように離れていく。


「いや、いいよ。よかったら担任も居たから担任から聞いて」


 界斗もあまり話したことのないクラスメート達と話す気にはならず対応を担任に押し付けた。


「あっ、そうなんだ。じゃあ、先生来たら話してもらおうよ」


 クラスメート達から界斗は解放された。

 それでもちらちらと見てくるクラスメートを気にしながら席に着く。

 そして担任が来てホームルームが終わると、大半のクラスメートが担任に群がっていた。




 その後、界斗は1週間特に何事もなくすごした。が、その翌週になると毎日の様に放課後職員室に呼び出された。その日から界斗へのスカウトラッシュが始まった。スカウトに来た人たちの対応で界斗はしばらくげっそりしていた。スカウトラッシュは2週間にも及び界斗は演習場でやらかした事をちょっと後悔していた。




3週間たった頃、界斗は職員室に呼び出された。


「真田、これが送られてきた採用通知書だ」


 界斗は書類が入った封筒の束をみて嫌気がさした。


「これ全部で幾つあるんですか?」

「解放者はもちろん、その他23か所からオファーが来ている。問い合わせがあった所には昨日までを書類の送付期限として通知したから多分これ以上はこないぞ。もし来たとしても期日を守らず卒業間近に来るような常識が無い所はやめた方がいい。もうこの中から選んでいいぞ」

「全部で24か所ですか……。いつぐらいまでに返事をすればいいんでしょうか?」

「相手としては来月中旬ぐらいまでは大丈夫だろうが……。学校としてはできれば1週間以内がいいな。真田が書類を提出して終わりというわけにもいかないのだよ。学校でも生徒がきちんと受け入れられるように確認したり成績などの書類を送ったりしないとならないからな。来月中旬からは学校側も新入生対応でみな忙しくなる」

「わかりました。持ち帰って検討します」

「そうだな。一人で確認するのは大変だろうから院長先生達に手伝ってもらうといい」

「はい。それでは失礼いたします」


 書類の束を袋に入れてもらい、界斗は孤児院へと帰宅した。




「ただいま」

「あ、界斗兄ちゃんおかえり!」


 子供たちに挨拶をすると、界斗はそのまま食堂に行く。

 院長と副院長がお茶を飲んでいた。


「おかえりなさい、界斗」

「ただいま。その、忙しいのは分かっているんだけど、手伝ってほしいことが……」

「その袋に入っている封筒の事?」

「はい……」

「まさかのまさか、それ全部スカウト先から?」

「そうです……。全部で24箇所です」

「そ、そんなに……。幸いまだ3時ね。夕食まではだいぶ時間があるわ。食堂のテーブルを使って一気に確認してしまいましょう。アスランも呼んでらっしゃい」




 そしてアスランを含めた界斗達4人は手分けして確認作業を始めた。


「界斗、お前うらやましすぎるぞ。24箇所何て普通の学生には来ない数だぞ」

「ははは、俺もびっくりしちゃったよ」


 4人で封を開け次々と見ていく。


「界斗は外国でもいいのか?」

「え? 外国? そういえばそんなところからも来てたっけ……」

「ああ、隣国のオスファールの首都防衛部隊からきている」

「いや、軍よりもまずはハンタークランかな」


「これはちょっと遠い国のお抱えのクランからよ。魔獣が大量に生息する森が近くにあるから結構な頻度で討伐に出撃する必要がある代わりに給料がものすごくいいわ。基本給月40万ゾルスに出来高払いですって」

「中学卒に月40万? おいおい聞いたことがねえぞ界斗、俺の牧場は住み込み、放課後勤務で月8万なのに……」

「何言ってるのよ、アスラン。放課後勤務っていても3時間でしょ? それに日曜は休み。それで月8万貰えるのは凄い方よ」

「はは、院長先生分かっているよ」


「これは凄いところから来ているわ。ゴサム法術大学付属高校の最上級特待生ですって。授業料免除、寮費免除、雑費月5万支給ですって」

「どこにあるの?」

「別の大陸の国よ。というか有名じゃない、この大学。世界トップクラスのゼファレス法術専門大学よ」

「は~、そんな遠い国の奴らがどうやって知ったんだ?」

「きっとそこら中に情報網があるのよ……」

「いやはや怖い怖い」


「解放者以外でこの国のクランとかからは無いの?」

「えーと、どうだろう? これは違う、これも違う」

「あったわ。隣の港湾都市の海軍からよ」

「なるほど、いざというとき陸よりも海の方がゼファレスは重要だからな。界斗に目を付けたか」

「う~ん、海はどうだろう? とりあえず陸の方が良いかな?」

「空からも来ているぞ。空挺機攻師団、外国だけど」

「ここにもあったわ、ここの魔甲士団からよ」

「校長先生がらみかな?」

「ああ、確かあの校長そこの出身だよな……」

「あの人何やってんだろう? 応接室であれほど解放者の人に媚びていたのに……」

「別に界斗が気にする必要ないぞ。お前が行きたいところに行けばいい」


「特務術師団からは来てない?」

「あるかなぁ? 一通り確認したけど俺の所にはなかった」

「私の所にもないわ」

「そうね、私の所にもないわ」

「じゃ、彼らは送ってこなかったんだ」

「演習場で直接見てた隊員がビビったんじゃね?」

「ははは」


 界斗は乾いた笑い声をあげた。


「さて、まずは近隣から内容を確認していきましょう。解放者、魔甲士団、港都海軍、アラミード共和国第2の都市オースクの直属軍、さらにはこの国に本拠を置くハンタークランが解放者の他5か所あるわ」

「う~ん、まずはハンタークランからかな」

「そうね、こういった時は本命の解放者は一番最後がいいわ」

「なぜ?」

「最初に見てしまい条件がそれなりに良かったら、ここで良いかなと思ってしまってその他の所について正しい判断ができなくなるからよ」


「では見ていくわよ……月給20万、月平均20日勤務、寮費無料、次は月給23万、月給22万……どれも普通ね。月20日勤務で月給20万ちょっとは中学生にしては高いけど、わざわざスカウトする程なのにちょっと色を付けただけってのはね」

「え? そうなんだ……」


 月給20万と聞いて界斗は結構ウハウハな気になってしまった。魔獣を狩って月に20万ももらえるなんて……最高って思ってた。

「確かに経験のない界斗を指導しながら20万払うとなるといい様に見えるけどな……けど界斗次第だけど2、3年後には経験を積んで高位の魔獣を沢山狩ったとする」

「うん……」

「界斗のゼファレスなら30万か40万ぐらいの仕事は出来るかもな。そうすると奴らは丸儲けだ」

「な、成程。けど昇給するでしょ?」

「大抵1年ごとな。それに最初にクランで固定給で仕事してしまうと、もしフリーで協会の依頼をこなしたり、高位の魔獣の素材を売ったとき自分がいくら稼げるかについてわからないままだ。つまりクランはそこを突いてなるべく儲けを出そうとするはずだ。良心的なクランならいいが、最初に誠意を感じられない所はその後の昇給も値切られるかもな」


「次は魔甲士団をみてみるわね。給料は25万、週5日勤務、夜勤シフト在、寮費無料、上級士官付下級士官見習い。これは結構待遇良いわね」

「そうなんだ」

「まずは下級士官見習いのスタートだけど上級士官付ということはある程度たったら上級士官へ推挙される可能性が高いのよ。ただお付きの上級士官とウマが合わないと辛くなるわね」

「なるほど」


「次は海軍よ。給料月30万? 30万ですって。本部付上級兵……」

「院長先生、本部付き上級兵って?」

「本部付きとは海軍本部の建物内に勤務するってことよ。良家の子供たちが箔をつけるために所属したりするわ。それ以外はエリートの参謀コースの子たちよ。けど中学生を参謀コースに入れるわけないし……。頭のいいアスランなら万が一にも有えるかもしれないけど、界斗はね……」


 4人でうんうんと唸りながら悩む。


「あ、わかったかも」


 アスランが声を上げた。


「結局、魔骨石充填員じゃないか? 何かあったら沈んでしまう船に界斗をのせて1隻だけ強化するよりも、本部で魔骨石充填員として使って魔骨石の消費率か経費削減をした方がいいと思ったんじゃね?」

「だったら魔骨石充填員ってちゃんと書きなさよ!」


 食堂の扉から声が聞こえた。

 そこには金髪の快活そうな女の子が立っていた。


「セリア、おかえりなさい」

「ただいま帰りました、院長先生、副院長、それにアスランと界斗も」

「うん、お帰り、セリア」

「界斗の就職先?」

「そう」

「全部でいくつあるの?」

「24」

「す、すごい……。まあ、確かに演習場のあれは凄かったもんね。それぐらい当然といえば当然か……」


 セリアが通学鞄をテーブルの上に置いた。


「けど海軍の30万って凄いじゃない」

「え? いつから聞いていたの?」

「魔甲士団あたりからよ」

「そうなんだ、全然気が付かなかった」

「それよりも30万よ、私なんて18万なのに……」

「レストランだっけ」

「そう。中央大聖堂近くにあるレストラン、レ グラールガルエ」

「え? 超高級店じゃん?」

「あれ? どこの店か界斗には言ってなかったっけ?」

「今、聞いた」

「あははは、ごめん。で、次は?」


 セリアも席に座ると再び院長が確認を始めた。


「次はオースクの直属軍隊ね。給料は月に27万中隊長補佐官ですって……これもなんだか怪しいわね。中学生をいきなり補佐官だなんて」


 5人で再び悩みだす。


「というか悩む必要なくない? これだけあるんだから怪しいのは除いていけばいいのよ」

「確かにそうだな。ま、なんとなく理由は推測出来るけど、推測の域を出ることはできないから無難なのから選んだ方がいい」

「そうね、アスランの言う通りだわ。それにまだ解放者を見てないわ」

「噂の解放者ね。界斗の就職だけど、どんな条件なのか楽しみだわ」

「そうね。では読みましょう」


 院長が封筒から書類を取り出し読み始める。


「どれどれ……給料は2万……」

「え? たった2万?……」

「まって、ちゃんと最後まで読むわ。日給2万、追加勤務手当、魔獣討伐出来高手当、基本勤務毎週末1日、自由追加勤務可能、シスダール学院高等部入学、待遇は幹部養成コース、準正職員、寮費無料……」

「え? 2万って聞いたときはがっかりしたけど本当に一日で2万貰えるの?」


 セリアが驚きに目を見開いた。


「そう書いてあるわ」

「す、凄すぎじゃない。しかもあのシスダールに入学まで出来るのよ」


 セリアが界斗を羨ましそうな瞳で見る。


「うん、そうだね……」


 当の界斗は素っ気ない返事をした。


「界斗、あんま乗り気じゃないだろ」


 アスランが界斗を非難がましい目で見る。


「うん。正直、高校行くよりも魔獣討伐をしていたい」

「まって、何か手紙の様なものが入っているわ。……これは? 界斗、あなたが自分で読みなさい」


 界斗は院長から手渡された手紙に目を通し始めた。


『真田界斗君、多分あなたは学校に通うよりもハンター活動を優先したいそう考えているでしょう。けど担任の先生から聞きました。あなたは一度も学校をさぼったことが無いそうですね。根はまじめだとそう感じました。ここで提案です。高校生活を送ってみませんか?シスダールは優秀な学校です。君の人生を豊かにしてくれるでしょう。良き出会いもあるかもしれません。君が彼の者達への復讐心にとらわれることなく高校生としてハンター活動を両立させて充実した生活を送ってほしいと思っています』


 それはクラリティーナの直筆だった。女性らしい綺麗で柔らかく流れるような美しい字で書かれていた。


(彼の者達……アウルフィードさんはゾルタリウスを知っているんだ……)


 界斗は手紙をゆっくりと折りたたむとそっとテーブルの上に置いた。

 そして自分の考えを見透かされた事など露ほども気にしなかった。

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