プロローグ
読もうとしてくださった方、ありがとうございます
プロローグ
「レイリア…!」
荒れ狂う炎の中、綺麗な人が私の名を呼んだ。
その人を思い出すのに、少し時間がかかった。あの頃とは比べ物にならないほどに、美しく成長した。
「…センリ、か…」
彼の綺麗な漆黒の瞳が、濡れている…
「泣くなよ…。お前はもっと生きて、人のために生きるんだ…」
そして、私は一人で死ぬ。
これは報いだ。私は、存在そのものが悪なのだから…
沢山の人々を、地獄へ落とした、その報い。
私は、私そのものが不幸をもたらす存在というのを、考えもしなかった愚か者だ。
口角を上げ、彼の顔を見る。
もう、見れることはないだろうから。
「最後が…君で…」
良かった、その言葉は紡ぐことができずに、息が漏れる。
良かった。最後がこんなにも綺麗な景色で、こんなにも綺麗な人が私を見つけてくれて。そして、私の名を呼んでくれる…
『君を、一人になんかしないよ…』
微睡む意識の中、声が聞こえる。
僕も一緒に、
『逝こう』
彼が、センリが、私を静かに抱きしめた。
最後に感じたのは、センリの冷たい涙と、体温だった。
読んでくださりありがとうございました。他の方の素晴らしい作品を読んで、書いてみたくなって書きました。
エピローグの意味はのちのち明かされる予定です。
楽しんでいただけたら幸いです。