第40話 アグラティア
ルーナが瞬時に俺たち全員に守護をかけて、防御態勢を取る。俺も同時に限定解除を使い、最大限力を出せるようにしつつ身体強化(大)を使う。
そして、アグラティア様が攻撃してきたのを受け止める。だが、二発目、三発目と連続で攻撃を仕掛けてきて、それを受け止めることが出来ず徐々にダメージが蓄積していく。
(はやい......)
エルフ特有の風魔法と組み合わせてレイピアの攻撃を仕掛けてくる。今俺ができる最大限の力でも受け止めることが出来ず、防戦一方になる。
そんな攻防が数分続いていたが、誰もこの戦闘に参加することが出来なかった。なんせ、限定解除と身体強化(大)を使った状況でも、アグラティア様が攻撃してくる速度に追いつくのがやっとであったのだから。
そんな状況を見ているクロエとアミエルさんが無理して加勢しようとしてきたので、それを止める。もし、ここに入ってこられた、逆に足手まといになってしまう。だから
「クロエとアミエルさんは援護をアルゲに注意を払ってください」
「でもそれだとメイソンが......」
「そうですよ。今のままだと」
「それでもです」
俺がそう言うと、二人とも頷きながら敵意をアルゲに向ける。すると、アルゲはニヤッと笑いながら
「やっぱりメイソンすごいね。仲間にほしい。ここにいる人たちを殺したら諦めてくれるよね?」
そう言って、アルゲは全方位に魔方陣を放ち、続々と名の知れている騎士や魔法使いを召喚し始めた。
(やばい......)
アグラティア様ほど強い人が現れるとは思えないが、クロエとアミエルさん一緒に戦った人たちレベルの人たちが現れるのは目に見えてわかった。
「こっちは大丈夫だから、メイソンはアグラティア様との戦闘に集中して」
「でも」
「そうです。クロエさんが言う通り、こっちは私たちに任せてください」
俺は頷きながらアグラティア様との戦闘に集中し始める。だが集中といっても、結局は防戦一方であった。レイピアで攻撃を仕掛けてくるのに対処するのでやっとであり、それに加えてアグラティア様が風魔法を使った時はギリギリのところで避けるのが精いっぱい。
(どうすればいいんだ)
すると、アグラティア様が俺に攻撃を仕掛けている最中に
「メイソンくんだっけ? 君には頼みたいことがある」
「なんですか?」
「アルゲの弱点は、自身がそこまで強いというわけではないんだ」
「え?」
そこまで強くないだって? でも、あいつから感じる殺気は紛れもなく俺が今まで受けた中で一番強力なものだったのだが......。
「簡単に言えば、あいつは魔法使いであり召喚士だ。だから私たちみたいに戦士が接近戦に持ち込めば勝てるはずだ」
「でも、あいつに近づくには......」
「わかっている。だから早く私を殺してくれ」
「......」
アグラティア様を簡単に殺せるならそうしているさ。でも、今の俺一人でどうにかなるレベルじゃない。
俺はクロエの真似をして、戦闘中に地面へ魔法を設置する。そして、アグラティア様がその場所へ立った際、左下からは風切、右下からは火玉を撃つ。
だが、いともたやすくアグラティア様はそれを回避する。
(これでもダメなのか......)
次に重力(小)を自信とアグラティア様に使って、俺は体を軽く、アグラティア様には重くする。そして、高速移動を使って背後を取って斬りかかる。すると、一瞬だが背中に切り傷を与える。
「その調子だ」
その後も同じ方法で攻撃を仕掛けるが、二回目は通用せず避けられてしまう。
(やるしかない)
「ルーナ!!」
「わかった」
俺は頭上に炎星を放ち、死体の人たちやアグラティア様に攻撃をする。それと同時にルーナは俺たちに完全守護を放ち守る。
この一瞬を俺は見逃さず、アグラティア様の背後を取るように空間転移(小)を使用する。そして、略奪を使用する。だが、それすらもギリギリのところで避けられてしまう。
(どうすれば......)
そう考えこんでいた時、アルゲが更に死体を召喚して、クロエたちの形成が変わる。その後、十分ほどアグラティア様と戦いを続けると、徐々にエルフの方々たちが倒れていった。そして、クロエも膝を落とした時、死体に斬られそうになる。
「クロエ!!」
誰でもいい。助けてくれ。頼む......。俺はなんでいつも助けたいと思う人すら助けられないんだ......。
そう思った時、空から光が差し込んできて、一斉にアルゲが召喚した死体を倒して行った。
(もしかして......)
「メイソンくん、遅れてごめん」
「いえ。本当にありがとうございます」
ミカエル様たちがここにきて俺が、一瞬ホッとした瞬間、クロエとルーナが
「「メイソン!!」」
「え?」
後ろを向くと、アグラティア様が俺の首を斬り落とそうとしていた。その時、誰かがそれを防いでくれる。
「大丈夫か? メイソン」
「え? ロンド......?」
煙の中から出てきたのは、俺が今までパーティを組んでいた勇者、ロンドであった。




