第38話 死者との戦闘
すぐさまルーナが俺たちのあたり一帯を完全守護で守り、攻撃を防ぐ。だが、その瞬間、騎士の一人が俺たちの目の前に来て、完全守護を打ち破ってしまう。
(は、そんなにいともたやすく?)
俺だってそんな簡単に完全守護を打ち破ることは出来ない。それほど、完全守護は硬いはずなのに......。そう思っていた時、騎士が俺たちに向かって
「殺してくれ......。俺はお前たちを殺したくないんだ」
それに続くように死体である魔法使いの人や騎士の人たちも殺してほしいと懇願してきた。
(やっぱりバカルさんと同じパターンか......)
あの時のバカルさんも同じことを言っていた。そう考えてしまうと、どれだけクソな魔法なのかが分かる。
(本当に誰なんだよ)
魔族が使っているのはわかる。だけどこんな非人道的な魔法を使うなんて。そう考えるだけで胸糞が悪くなる。
「わかりました。もう少しだけ待っていてください」
俺はすぐさまルーナにもう一度、完全守護を使うように言う。すると、すぐさまルーナが完全守護を使い、攻撃魔法や打撃攻撃を防ぐ。
この時間で、俺はクロエとアミエルさんに援護をするように伝える。すると、二人とも頷いた。
「良し。じゃあ最初はさっき言っていた騎士からやろう」
「「わかったわ」」
「ルーナは後方援護かつ負傷者を援護してくれ」
「うん」
本当なら、魔法使いから駆除していきたいが、騎士が目の前にいる時点で、そこまで行くことが出来ないだろう。だから、まずは騎士からやらなくてはいけない。
俺は高速移動を使い、まず騎士に攻撃を仕掛ける。だが、あっさりと受け流されてしまう。
(は?)
この速さでかつ魔剣の重さもあるんだぞ!? それをこんな簡単に......。その時、騎士二人が俺に向かって攻撃を仕掛けて来たが、クロエとアミエルさんが援護してくれる。
(これなら!!)
ふとそう思い、魔法使いの真横に転移魔法(小)を使い、移動した。すると、魔法使いの人が驚いた表情をしていた。俺はすぐ略奪を使用して
・爆発
・火玉
・突風
を会得して、魔法使いの心臓をを突き刺した。すると、徐々に消え去りながら笑顔で
「殺してくれてありがとう」
「いえ。こちらこそ救えなくてすみません」
「あなたは私を救ってくれたわ。私たちは殺したくもない人を手に殺めたくないから殺してほしかったの。だからありがとう。英雄」
そう言ってこの場から消え去って行った。
(クソ)
なんでこんな気持ちにならなくちゃいけないんだよ。なんで、なんで俺ばっかり......。俺は英雄なんて器じゃない。ただ、できることをやっているだけなんだから。そう思いながらも、すぐさまクロエとアミエルさんの元へ行き援護し始める。
すると、騎士の一人が俺に向かって
「あいつを助けてくれてありがとう。俺たちも頼む」
「わかっています」
おれが二人の援護をしながら騎士と数分戦っていると、クロエが斬られそうな状況に陥る。
「クロエ後ろに下がれ!!」
指示を出すと、クロエは迷いなく俺がいる方向へ下がり、場所を入れ替わる。そして、騎士が俺に向かって攻撃を仕掛けて来たのを受け流しながら、クロエとアイコンタクトを送りもう一度スイッチする。
(これで、ギリギリ俺たちの方が有利)
よくクロエはこの人と一対一で戦えていたなと感心しながら攻防をしていると、クロエが騎士の胸元に剣を突き刺した。その瞬間騎士が怯み、俺はそれを見逃さず略奪を使用する。
・身体強化(大)
・突き刺し
を会得する。そしてスキルを奪ったことにより、身体強化(大)が無くなり、一気に弱りかけた騎士の首を斬り落とそうとした瞬間
「本当にありがとう」
その一言を聞きながら俺は首を斬り落とした。
(クソ......)
そう思いながらも、アミエルさんの援護に入る。三対一の状況に陥っているため、俺とクロエが援護しつつアミエルさんがとどめを刺す。
「ありがとう」
「いえ」
「多分もうそろそろここに到着すると思うが、少女には気を付けろ」
「え、それってどう言う意味ですか?」
俺がそう言った瞬間、目の前にいる騎士も、先程の二人同様消え去って行った。目の前の光景を見て三人ともホッとする。そして、俺たち三人が見合わせながら
「終わったんですよね?」
「あぁ。でも最後......」
「うん。少女って誰?」
「わからない。でも元凶には違いない」
騎士が今そう言ったってことは、元凶は少女に間違いない。
(だけど、少女って誰なんだ?)
そう考えてながら、ルーナと合流して負傷しているエルフの治療に専念する。そして、ある程度治療が終わり、この場から撤退しようと思った時、森林の奥部から今まで感じた中で一番の殺気を感じる。
(これは......)
この殺気......。俺は知っている。殺気を感じる方を凝視していると、そこには騎士が言っていた少女が現れて
「あ! 君この前会ったね」
「......」
案の定、予想していた通り、ルッツを助けた時に出会った少女であった。




