第35話 少年
魔物に向かって、空から魔法の嵐が降り始めて、目視できる範囲でも相当な数が殺されているとわかる。
(これなら......)
そこから数十分にわかって、俺を含める魔法使いの攻撃が魔物へ無慈悲に降り注ぎ、ある程度の魔物が倒された。だが、それでも徐々に魔物が近寄ってきたので
「皆さん、後方で支援をお願いします」
俺がそう言うと、エルフの方々が徐々に後退して行って、その代わりに騎士の方々が前線に来てくれて、合図と同時に全員が魔物たちのところへ向かって戦闘を始めた。
俺たち四人も最前線に向かい、魔物と対面して俺とアミエルさんが徐々に魔物を倒し始める。まず俺が魔物に斬りかかると、それを援護するようにアミエルさんが後に続く。そして、クロエとルーナは後方へ逃した魔物を倒す。
数分程経った時、真横からゴブリンが俺に攻撃を仕掛けてくると、すぐさまアミエルさんが光の矢で援護してくれた。
「アミエルさんありがとう」
「いえいえ」
俺が危ない状況に陥ると、すぐさまアミエルさんがカバーを入れてくれる。はっきり言ってここまでやりやすいとは思ってもいなかった。クロエがカバーを入れてくれるのはわかる。それだけ一緒に居るから。
でも、アミエルさんと一緒に共闘するのは今回が初めてだったため、ここまで俺が欲しいタイミングで援護してくれることに驚きを隠しきれなかった。
その後も、俺とアミエルさんを主軸にしながら魔物を倒して行くが、たまに俺たちも魔物の攻撃を受けるが、ルーナの魔法によって回復を入れてくれて、スムーズに戦闘を進めることが出来た。
そこから数十分ほど戦ったところでふと思う。
(あれ? 数が減っていない?)
もう数えきれないほどの魔物を倒した。それなのに、目の前にいる魔物が減っている様子が無かった。
(おかしくないか?)
そう。流石にこの一帯で魔物を一掃していたら、数が減るはずだ。それに加えて、最初に魔法使いの方々が魔物を倒してくれていた。それなのに一向に減っている気配がない。
「......。アメリアさん。何かおかしくないですか?」
「そうね......。数が多い」
(本当に数が多いのか?)
アメリアさんの言う通り、数が多いだけならまだいい。だけど、何かが引っ掛かる。
「クロエ、少しだけ俺の位置で戦ってくれないか?」
「わかった。でもなんで?」
「ちょっと調べたいことがある」
俺はそう言って、あたり一面をじっくりと観察し始めた。
(おかしなところなんて......)
アメリアさんやクロエが魔物を倒すと、その死体はそこらへんに転がっているし、どこもおかしな点なんて無い。
(俺の気のせいか?)
そう思い、クロエと場所を変わろうと思った時、先程戦ったところで転がっていた死体が徐々にだが、無くなっていた。
「え?」
どうなっているんだ? なんで死体が無くなっているんだ......。もしかして。俺はそう思いながら、もう一度あたり一面をじっくりと観察すると、奥の方でゴブリンが死体を運んでいた。
(は!?)
なんで魔物が死体を運んでいるんだよ......。そんな魔物今まで見たことない......。どうなっているんだよ。でも、もしかしたらそこにはと思い
「アメリアさん、少しだけここを一人で任せられますか?」
「え? いいわよ」
「じゃあ、クロエ一緒に来てくれ」
「わ、わかった」
俺は、先程怪しげな行動をしていたゴブリンが居た場所へ向かう。だが、魔物の数が多すぎて先に進めなかったので、右手に火玉、左手に風切を使い、ここら辺にいた魔物を一掃する。そして、やっとたどり着いた。
すると、そこには一人の少年が立っていた。
「え? 君は......?」
「た、助けて......」
「わかった。今そっちに向かう!!」
俺はそう言って少年に近寄ろうとした時、クロエに止められる。
「メイソン、その子は多分敵......」
「は? いや、でも......」
「私を信じて!!」
「わ、分かった」
クロエのことを信じ、一旦距離を取ると、少年が少し残念そうな表情をしたが、すぐに笑い始めて
「な~んだ、ダメだったか。ならいいや。出てきていいよ」
少年の合図と同時に、地中から続々と死んだはずの魔物が出てきた。するとあっという間に、あたり一面が魔物に方位されてしまった。
(使いたくはなかったけど、やるしかないよな)
俺は小声でクロエに
「クロエ、今から魔法を放つから俺から離れるな」
「わかった」
俺は炎星を放ち、ここら辺にいる魔物を一掃する。案の定、あたり一面にある草木は焼け焦げてしまい、そこから舞い上がる煙から死臭も香ってくる。
(やったか?)
そう思いながら、煙の方向を凝視していると、少年の影がこちらへ近寄ってきた。そして、俺たちのことを見ると、怒り狂った表情で
「お前、俺の傑作をいとも簡単に!!」
「......」
「もういい。少しは遊んでやろうと思っていたけど、あいつを使おう」
少年が何かの魔法を使った。すると、魔法陣の中から死神が現れた。




