第7話 英雄としての第一歩
遺跡を後にして、ランドリアへ戻っている途中、モンスターたちの行動がおかしいのに気付く。
(どうなっているんだ?)
森林にいるモンスターたちが、徐々にランドリアがある方面に向かっている......。普通、こんなことはあり得ない。まず、モンスターたちが一緒に行動することが珍しいが、無いわけではない。それこそエルフの国とかが襲われたときがそうだ。
でも今回は、少し状況が違う。あの時は数百体程度のモンスターであったが、今回ランドリアへ向かっている数は最低1000体程いる。
(この数が一緒に行動しているってことは......)
頭に最悪な事態が思い浮かぶ。その時、ルーナが
「モンスターの数がすごくない?」
「そうね。あんな数見たことが無い」
「あぁ、俺もだ」
二人も異変に気付いているようで、あたり一面を警戒する。
(本当にどうなっているんだ......)
そこから数日間、モンスターの動向を確認しながらランドリアへ戻っていった。
★
ランドリアへ着いて、俺たちはまずギルドへ向かって今回の一件を説明する。すると受付嬢が頭を下げながら
「ありがとうございます。報酬はお支払いしたしますので」
金貨が入っている袋をテーブルに置かれる。
「ありがとうございます」
「いえ。こちらこそお礼を言うべきです。本当にありがとうございました」
「はい。後......」
俺はランドリアへ戻ってくるまでに、モンスターがこちらへ向かってきていることを説明する。すると、受付嬢は驚いた表情で
「少々お待ちください」
そう言って、来賓室へ向かって行った。そこから、数分経ってギルドマスターであるガイルさんがやってきて
「メイソンありがとう」
「はい」
「このことは後で連絡させてもらう」
「わ、分かりました」
ガイルさんと話が終わり、俺たちは一旦屋敷に戻った。すると、勢いよくワーズさんがこちらへやってきて
「この街にモンスターが押し寄せています! 早く逃げてください」
「え?」
モンスターが押し寄せているって。もしかして俺たちがガイルさんに報告したことと関係しているのか?
「ワーズ、それは本当ですか?」
「はい、同胞がランドリア周辺を偵察に行っている時、そのように申しておりました」
「......。そうですか」
それを聞いて、ルーナは俯く。流石にこれを聞いたら誰だってパニックに陥る。話だけなら数はわからないが、俺たちがランドリアへ戻ってくる時の数を見てしまったら......。
「ですので、ルーナ様にメイソン、クロエさんは逃げてください」
(逃げろだって?)
それを聞いて、俺は机を叩く。
「ふざけるな! ワーズさんや他にも助けたい人が居るのに逃げることなんてできるわけないだろ!」
「ですが、ルーナ様やクロエさんたちに何かあれば」
「......」
頭に血が上ってしまってこう言ってしまったが、ワーズさんの言う通りルーナやクロエが危険な目にあう可能性がある......。
(どうすれば)
俺の最優先は、ルーナやクロエを守ることだが、あの時決めたこと。それを遂行するにはここから離れるわけにはいかない。
ギルドマスターであるガイルさんには感謝仕切れないほどの恩があるし、受付嬢にだってここまで支えてくれた恩がある。それ以外にも道具屋の人や武器屋の人など、様々な人に助けられてきた。それなのに逃げるなんて......。するとルーナがクロエと一瞬見つめ合った後、言った。
「メイソン、私たちは大丈夫だよ? だから私たちで救お?」
「でも、そしたらルーナたちが」
クロエが机に手を置きながら立ち上がり
「そんなこと言っていたら、誰も救えないじゃない!」
「そうだけど」
クロエが言っているのは正しい。なんにでもリスクを負わない限り、救える人も救えない。だけど、ルーナやクロエと他の人を天秤にかけると少し考えが揺らいでしまう。
「メイソン、私たちが決めたこと覚えている? 私たちは、救える人を救う。そう話したじゃない!」
「......。そうだな」
そこで、クロエが俺の背中を叩いた。
「今やりたいことは何なの?」
「ランドリアを救いたい」
「だったら私たちを信用して。私たちが危なくなったらメイソンが助けてくれればいいし、メイソンが危なくなったら私たちが助ける。それが仲間でしょ?」
「あぁ」
こうして、ランドリアを救うために行動を始めた。
まず真っ先にギルドマスターであるガイルさんの元へ向かって、今回のことを報告する。そして、他の冒険者たちにも今回のことを説明して、一緒に戦ってもらうように促した。
だが、冒険者たちは報酬が出ないなら戦わないという人もいた。
(まあそうだよな)
冒険者とは、自分の利を考えて行動する。宮廷騎士などとは違う。でも、今回の戦いは俺だけじゃ何とかなるレベルじゃない。
俺が悩んでいると、ガイルさんがクエストボードに一枚の紙を貼った。
「今回参加してくれた冒険者たちには、ランクを一つ上げることを保証する。そして、報酬も払う。どうだお前たち!」
すると、冒険者たちはみるみるうちにクエストを受け始めた。
(よかった)
後は王宮に話をつけに行くことだけだと思い、ギルドを出ると、そこにはロンドたちが居た。




