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この作品には 〔ガールズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

姉妹の隠し事

作者: 秋田リリ

 私と妹は仲が悪い。

 やれ楽しみにしていたお菓子を食べられただの自分の服を勝手に着られただのと些細な喧嘩が後を絶たない。

 そして今日もまた。


「お姉! また私のプリン食べたでしょ!」


「知らな~い」


「知らないわけないじゃん! テーブルにプリンの容器があったんだから!」


 テスト勉強で疲れた頭を癒すため、プリンを食べて幸せにソファでお昼寝していたのに、帰宅してきた妹の日向にたたき起こされた。


「いつもいつも……お姉は私の楽しみを……!」


「プリンなんてまた買えばいいじゃん」


「あのプリンは今日のために、休日に朝早く並んで買ったすっごい人気のプリンなの!」


「へぇ~」


 プリンなんてコンビニやスーパーで売ってるんだからそこで買えばいいのに。

 わざわざ、朝早くから並んで買うなんて大変だなぁ~。


「お姉……! 今日という今日は許さないよ!」


「ひゃあ! ちょ、ちょっと日向!」


 日向は寝ていた私に覆いかぶさって、脇の下、脇腹をくすぐってきた。


「あっはは、ごめん!ごめんって」


「ダメ! 許さない!」


「だからって、くすぐるのは反則!」


「お姉が悪い!」


 いつもは口喧嘩だけで終わるのに……。

 これはかなり怒っていると見た。

 だけど、やられてばかりのお姉ちゃんではないのだ!


「ちょっ! お姉、やり返すのはずるい!」


 私は日向のやられたように、脇の下、脇腹を重点的にくすぐる。


「ふっふ、やられたらやり返す!」


 それが、私のモットー!


「あっはは、お姉、そこだめぇ!」

「はっはっは、ど、どうだぁ!」


 私たちはソファから転げ落ちて、交互にマウントポジションを取ったり、ソファにぶつかったりしてお互いの体をまさぐり合い騒いでいた。


 すると……。


「静かにしなさい!」


「「はい」」


 お母さんに怒られた。


 私は自室に戻って、スマホでワンちゃんネコちゃんの動画を見て癒されてるといつの間にか外はすっかり暗くなってしまった。


 お風呂に入り、今日一日疲れた心と体を癒して寝ようとしたら。

 

 コンコンっとドアがノックされた。

 この時間帯に私の部屋にくる人物が誰なのか分かり切っているので、ノックに対する返事もせずにドアを開ける。

 案の定、日向が部屋の前にいた。

 私は日向を部屋に入れて同じベッドに潜り込む。


「お姉、また私のプリン食べたでしょ……」


「うぅ、ごめんなさい」


「まぁ、いいけどさ。次は許さないよ」


 日向は頬を膨らませてそっぽを向く。

 私は日向の頭を撫でてあげると、目を細めて嬉しそうにしてくれた。


 なんで昼間喧嘩していた姉妹が仲良くベッドで寝ているのかというと、私と日向は姉妹でありながら付き合っている。

 恋人同士だ。


 付き合うようになったキッカケは、両親が出かけていたある日のこと。

 私はいつものように洗面所で日向の洗濯前のパンツの匂いを嗅いでいた。

 日向のパンツはとてもとてもいい甘い匂いがした。

 そして十分にパンツの匂いを堪能して、洗面所から出ようとしたら。


『はぁ~お姉、好き好き大好き』


 私のパンツをクンカクンカし、更には自身の手を下半身に突っ込んで自家発電している日向がいた。

 お互いにお互いのパンツの匂いに夢中で自分以外の人がいることに気づかなかった。

 日向が自家発電している現場を見た時、それはもう気まずかった。


 何せ日向は男女からも好かれる存在だ。

 日向は普段、長い綺麗な黒髪を一つ結びにして、学校で困っている人を見つけるとすぐに助ける。

 その様子を見た男女から『王子様』と言われるほど人気がある。

 そんな日向が私をオカズにしていたのだからとても戸惑った。


 けど、私も日向をオカズにして自家発電しているし、私の好きな人が私のことを想ってシてくれるのはかなり嬉しい。

 私と日向は両想いなのだと分かり、その場で日向に告白して付き合うことになった。


「ねぇ、お姉。いつまで演じないといけないの?」


「そ、それは……」


 私と日向は恋人同士だけど、普段は仲が悪い姉妹を演じている。

 なんで、仲が悪い姉妹を演じているのかというと。


「だって、人目に付く場所で日向とイチャイチャするの……恥ずかしいんだもん……」


 そう、恥ずかしい。

 とても単純な理由。


「お姉のこと大好きだから、お姉の言うことは聞くけどさ。それでも……演技だとわかってもお姉と喧嘩したくないよ……」


「私も日向とはいつまでも仲良くしたいけど……それでもやっぱり恥ずかしいんだもん!」


 本当なら昼間もいや一日中、日向とイチャイチャしていたい。

 だけど、日向とイチャイチャしているところを誰かに見られるのはとても恥ずかしい。


「まぁ、この時間はいくらでもお姉に甘えるからいいけど」


 日向は私の言うことをなんでも聞いてくれる。

 日向にとって私の言うことは絶対だ。だから、我慢してくれていると思う。

 けど、好きな人にそんな悲しい顔をしてほしくない。

 だから、明日から少しずつ、最初は手を繋ぐところから始めようと思う。


「お姉……」


 私が熱い決意をしていると日向が口を突き出してきた。

 そこに軽く私の唇を合わせる。


「んへへー」


 私とのキスでとろけた表情になった日向に追撃するようにキスの雨を降らせる。

 昼間イチャイチャできなかった分、夜はたくさんイチャイチャするのが毎夜の日課。

 私からのキスが終わると、今度は日向が私の唇を貪る。




 そして今夜も姉妹二人きり、長い秘密の時間が始まる……。

最後まで読んでいただき、ありがとうございます。


普段は仲悪いけど、実は……みたいなの好きです。



―――――――

7/21 追記

日間現実世界(恋愛)のランキングにランクインしていました!

評価・ブックマークありがとうございます!!

とても嬉しいです!

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