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リンドワード

「リンドワード……。その人ってもしかして──」

「そうだ、リシュ。残念なことにそのリンドワードと言う男は貴女のパーティーメンバーであるヤノスと、関係が深い」

「はい──。それで、どうされるのですか、マザー・ホート」

「確保しなければならん。生死を問わずだ。奴が魔女崇拝者だとするとその際に被害が出るやもしれん。わしは現場に同行する」

「それなら私も!」


 私は勢いで一緒に行きたいと言ってしまいます。

 ヴェールを被っていても正体がばれる危険性や、ねちねちとマウントをとってくるヤノスの性格、そして何より魔女と対峙する可能性があることなど、そのときは気になりませんでした。


「リシュ、貴女には別にお願いしたいことがあるのだ。結界を担う聖女達についていて欲しい。彼女達の魔女の吐息は、完治した訳ではないのだよ」


 マザー・ホートがすまなそうに言ってきます。たしかネロとリーの魔女の吐息を治癒した時に、言われたことを思い出します。普通は何日もかけて病は癒しいていく、と。


「発病された方々の現在の様態はどうなのでしょうか?」

「何とか動ける、といったところだ」


 私は息をのみます。身動き出来ないほどの高熱の出る魔女の吐息。今、この街に張られている結界はそれを担う聖女達が、本当にギリギリの状態で維持されていると言うのが、そのマザー・ホートの苦しげな表情からも伝わってきます。


「わかりました。すぐにそちらに向かいます」

「よろしく頼む、リシュ。貴女に任せられたら安心してわしもリンドワードの方に向かえる。案内の者を!」


 マザー・ホートが声をあげると、一人のシスターが室内に入ってきます。


「シスター・マハエラ! ご無事だったんですね!」


 私は驚きの声をあげてしまいます。それは私にこの黒いヴェールを下さったシスター・マハエラでした。


「勝手に殺さないでくださいよ、リシュさん」

「すいません、シスター・マハエラ。いただいたこのヴェール、本当に助かりました。ありがとうございました」


 私たちはこんなときだが、マハエラの軽口に思わず笑ってしまう。


「リシュ、説明したかと思うがシスター・マハエラは異端審問官だ。敵が再び結界を担う聖女達を狙ってくる可能性もある。貴女一人で治癒もそれもとは荷が重いはずだ。しっかりシスター・マハエラの言うことを聞いて欲しい」


 私はマザー・ホートの気配りに感謝すると改めてシスター・マハエラの方を向きます。


「シスター・マハエラ、よろしくお願いいたします」

「はい。こちらこそ。それではさっそく、向かいましょう。それにしても、リシュさんのこと、異端審問官の大聖女が現れたと、街中で本当に噂ですよ。ヴェールを渡した私も鼻が高いです」

「まあっ!」


 シスター・マハエラの軽口に私たちは笑いあいながら、教会を出ると用意されていた馬車へと乗り込んだ。

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