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マザー・カサンドラ

「リシュ、貴女が無事でよかった。馬車を飛び降りるとは、無茶をする」


 私は結局シスター服のまま、マザー・ホートの元へとつれて来られてしまいました。

 私はヴェールを外すと、謝罪の言葉を口にします。


「マザー・ホート、ご心配をおかけしました」

「うむ。その顔、いい顔になったな。どうやら、守りたいものを守れたようだな」


 私の顔をじっと見て、穏やかにそう訪ねてくるマザー・ホート。

 私は無言でそれにうなずきます。


「さて、マザー・カサンドラ。こちらがタプリールの教会で手伝いをしてもらっている冒険者パーティー『万雷の乙女』のリシュだ。リシュ、こちらがマザー・カサンドラ」


 そういって、マザー・ホートが紹介してくれたのは痩せぎすの眼光鋭いシスターでした。

 ここに来るまでに散々、その噂を聞かされました。私は緊張しながら挨拶の姿勢をとります。


「マザー・カサンドラ、お初にお目にかかります。盾戦士をしております、リシュと申します」

「はじめまして、リシュ。カサンドラです。早速ですが、マザー・ホートの管轄する教区では今、黒きヴェールをかぶり光の円輪の奇跡を行使する大聖女の噂でもちきりなのですが、何か知っておりますか」


 鋭い視線でじっと私の目を見つめてくるマザー・カサンドラ。


「……たぶん、私の事、だと思います」


 私は一瞬迷いますが、意を決して告げます。そしてそのまま祈ります。内結界の奇跡の発現を。

 自分自身の中にある扉を開き、その奥にあるざらりとした気配に祈りを捧げます。


 気配はいつものように私の祈りに応えてくれます。溢れ出た光が、左腕に結実します。

 光が一つの円へと、まとまっていきます。


 私は現れた光の盾をゆっくりとマザー・カサンドラとマザー・ホートに見える様に差し出します。

 最初に口を開いたのはマザー・ホートでした。


「やはりな。貴女が私の教区の魔女たちを排除してくれたのだな。おかげで結界の再構築を完成させるまでの被害を最小限に抑えることが出来た。本当にありがとう、リシュ」

「マザー・ホート……。私は、ただ、守りたかっただけです。きっと、これはラーラ神のお導きだったんだと思います」


 私の左手を握りしめ真摯に感謝の言葉を伝えてくるマザー・ホート。私はなんと答えるか、戸惑ってしまいます。

 ですのでただただ、素直な気持ちを伝えることしか出来ませんでした。何より、魔女たちを倒せたのも、その存在の位置へと導いて貰ったから、というのが大きいです。


 じっと私達のやり取りを聞いていたマザー・カサンドラが口を開きます。


「リシュ、そなたはやはり聖人修道会に参加すべきだ。その力は大聖女と呼ばれるにふさわしい。そして何より、危機はこれだけでは終わらないのだ」


 じっと私の目を見つめ、話しかけてくるマザー・カサンドラ。

 私はその強い視線に、思わず息をのみました。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 更新ありがとうございます。 [一言] キャップ!やっぱりキャップじゃないか!
[一言] 報酬を全く公平に分配しないセコい守銭奴パーティーに居るより遥かに世のため人のためですわ。
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