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side タプリール

 ゆっくりと意識が浮上していくのを感じます。


 温かい。そして優しさの感じられる光に包まれているのが感じられます。

 私が目を覚ますと、目の前には女神かと思うほど神々しい奇跡の光を身にまとったお方が佇まれておりました。顔にかけられた、黒いヴェール……。異端審問官の方、かしら。


 あまりの神々しい奇跡の光に、思わず大聖女様ですかと、私は問いかけてしまいました。

 大聖女様。それは聖女位階、その第一位階を超えた方々。

 教会本部の最高機密として詳細どころかお名前すらも秘匿され、その存在のみが伝わってくる伝説的存在。


 たしか噂では異端審問官の中にも大聖女様がおられると聞いたことがあります。

 まだかすむ私の視界に、縦に真っ二つになった大型の魔女が映ります。切り口からみて、一閃でしょう。


 私のような教会付きのシスターからすると圧倒的な強さの大型魔女。それを一閃です。どう考えても、目の前のお方は歴戦の異端審問官にして大聖女の位階におられる方に間違いありません。


 そこまで考えて、私はようやく思い出します。意識を失う前、魔女によってクロスごと弾かれ、その際に私は呪いの余波を受けたはずです。しかし、その痕跡が一切残っていません。目の前の大聖女様が呪いごと治癒してくださったのでしょう。


 私がお礼を伝えようと、再び話しかけようとしたときでした。

 目の前の大聖女様がさっと背後を確認されています。そしてその高貴なる手で、恐れ多くも私の頭をなでてくださると、大聖女様はその身をひるがえし、走って行かれます。

 その先には新たな魔女の姿が現れました。


「小型の魔女……。全然、気が付かなかった。戦闘や治癒の奇跡だけでなく、大聖女様は感知の奇跡もお持ちなのかしら」


 私が感嘆していると、大聖女様があっという間に二体の小型の魔女をその奇跡より、対処してくださいました。


「なんと神々しい光の奇跡を使われる方なのでしょう。あれは光を円盤状にされているの? あの円盤状の光に触れただけで、魔女たちが浄化の炎にその身を焼かれるだなんて。聞いたこともない奇跡です。さすが教会本部が全力でその存在を秘匿する訳ですね」


 大聖女様方のことが秘匿されるのは、魔女たちからその存在を隠すためだと聞いたことがあります。特に最前線で魔女と立ち会う異端審問官の方々がヴェールをかぶるのも、その顔を魔女から隠し、できるだけ情報を魔女に与えないためだと。

 魔女たちは私達には計り知れない方法で、それぞれの個体が得た情報の共有を行っていると言われております。


 その時でした。再び近くの建物を壊し、またしても大型の魔女が現れます。


「まだいたの! 大聖女様は?!」


 私がようやく立ち上がる頃には、大聖女様はすでに新たに現れた大型の魔女に向かっていかれるところでした。私はその勇姿を見送ると、扉に刺さったクロスを引き抜きます。


 ここには近隣の子供たちも避難してきております。

 この教会を預かるものとして、私は私のなすべきことを果たさなければなりません。大聖女様に助けていただいたこの命の限りをもって、この教会は守り抜きます。


 私は決意を新たに、引き抜いたクロスをギュッと握りしめます。


「大聖女様、お力をお貸しください」



 それからどれほどの時間がたったでしょうか。散発的に現れる小型の魔女を辛くも全て討ち滅ぼし、私が教会を守りきった時でした。

 街に高らかに鐘の音が響き渡ります。

 疲労困憊の中、私はその鐘の音を聞きます。


「これは、街を守る結界が再び展開される合図、だわ。……良かった。本当に良かった。大聖女様、私タプリールはなんとか教会を守れました」


 鐘の音に乗り展開されていく結界を眺めながら、私はひざまずき、神と大聖女様へ感謝の祈りを捧げました。

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