表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
14/31

決断と目覚めの予兆

「大きい! マザー・ホート! 左前方っ。現れたあれも魔女ですか」

「――なんということだ。あれほど大きな魔女が入り込むほど、結界に開いた穴は大きいのか。……あちらは」

「タプリールの教会の方ではありませんか、マザー・ホートっ! 助けに行かないのですか!」


 疾走する馬車から身を乗り出すようにして、私は思わず大きな声を出してしまいます。


「そうだ、私達にはできることはない。今は一刻も早く、マザー・カサンドラの元に向かうべきだ。果たすべき務めはそこにある。シスター・マハエラの献身を見ただろう、皆が己の務めを果たすのだ。……それにな、私は魔女に立ち向かうための奇跡を担っていないのだよ、リシュ。そして、それは貴女もだ。貴女の担う奇跡は治癒。言うまでもないだろう」


 そう話すマザー・ホートの厳しい顔。それは自らの務めを知る大人の顔でした。

 そのマザー・ホートの言葉に、私は自らを納得させようとします。目をつぶり、その言葉をなんとか飲み込もうと努力をします。


 最近の毎朝の習慣のせいか、無言で目をつむっていると、いつもの気配が首筋の後ろに感じられます。それとともに思い出されるのは、タプリールの優しい声。そして、ネロとリーの屈託のない笑顔。


 その時でした、気配が後押しをしてくれます。私の果たすべき務めとは何か、教えてくれているようでした。


「マザー・ホート! 私は戦士です。私は、人を守るために戦士をしています。だからっ。ごめんなさいっ」


 それだけ告げると、疾走する馬車の扉をあけ、私は飛び出します。


 目の前、急速に近づく地面。

 体をぎゅっと丸め、落下の勢いをすべて回転運動に変換します。

 ごろごろと転がる僅かな時間も惜しんで、地面を片手で叩きつけます。その反動で体を起こすと、私はそのまま走り出します。

 タプリールの教会目指して。


 周囲は逃げ惑う人々でごった返しています。これまでの私、パーティーメンバーからノロマだと散々バカにされていた私でしたら、完全に動けなくなっていたでしょう。しかしなぜか、今は不思議と勘が働きます。

 人の流れがはっきりと見えます。眼前を覆う黒いヴェールですらも、それを遮ることはありません。

 それは、先日のダンジョンアタックでも経験したものと、同じ感覚。


 私は、臆することなく、全力で一歩を踏み出します。

 それは次なる一歩へと繋がります。そして更に次なる一歩へ。重ねられた一歩、一歩が積み重なり、私の体が加速されていきます。

 まるで目に見えない鎖の束縛から開放されたようでした。

 これまででは考えられないほどの速度で、私は路地を駆けていきます。


 はやく。はやく。


 気分が急くほどに、体が前へ前へと押し出されていくようでした。思いの強さが、まるで祈りとでも言うように。

 そうして、教会が見えてきました。


 今まさに、大型の魔女がその呪われた手を伸ばしている、その場面に。


もし、面白い、続きが読みたいと思われましたら下の☆☆☆☆☆を★★★★★にしていただけると幸いです!

何卒よろしくお願いいたします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言] 内結界の効果が発揮されるときかな?
[良い点] 更新ありがとうございます。 むぅ、あれは聖戦士化! 知っているのか雷電!? うむ、聖戦士化 神の啓示を受けその使命遂行のために精神が研ぎ澄まされた状態を言う。 「オルレアンの乙女」と呼…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ