第1話 パーティ
「いったたた・・・」
気が付くとゲームや異世界転生物でよく見る、冒険者が最初に飛ばされるような小さな街で見事に尻もちをついていた
――あのクソ女、私の美しい体に傷が付いたらどうすんのよ!
とりあえず立ち上がり周りを見渡す。
私、本当に異世界に転生したんだ。っていうことはやっぱり死んだって事・・・だよね
「こんにちはミミ。ボクはこの世界の案内人、ピノだよ。よろしくね」
周りを見渡そうと横を見ると、目の前にはシベリアンハスキーをキャラクター化したような犬がぷかぷか浮いていた
「───っ。あんたがあのバカ女神の言ってたピノって奴ね。で、まず何から始めればいいの?」
「うーん、なんか君、色々と凄いね。なんだろう、適応力?状況を受け入れるの早くない?」
不思議そうに、頭を傾げながら聞いてくるピノ
「何当たり前な事言ってるの?今日本ではこんな感じの漫画とかアニメたくさんあるのよ。まぁ、犬のあんたじゃ分からないか」
ピノをバカにしながらポケットを探る
――よかった、ポケットに入ってた鏡はそのまま残ってた。
ミミはポケットから出した丸くて小さい持ち運びの鏡を開き、身だしなみを整える
こんな状況になっても私は何でこんなに可愛いんだろう?
――ってあれ?
「あれれ、おかしいなぁ。大抵僕を見ると『可愛い〜もふもふしたい〜』とか言われるんだけどなぁ」
「ああぁぁああああ!!!ねぇ、この世界ってお化粧道具とかある?!もちろんあるわよね!乙女の必須アイテムだもんね?!」
「全く、マイペースだな君は。あるわけないでしょ。逆に君の言う漫画やアニメで化粧して戦ってる女戦士とかいるの?」
ピノはさっきバカにされた事をやり返すかのように、ニヤッといやらしく笑いながら告げる
「いやああぁぁぁぁああああ!終わった・・・お化粧がない私なんて・・・私なんて・・・・・・。ん?いや、私スッピンでも可愛いじゃん!何よ、心配させるような事言うんじゃないわよ、この犬風情が〜」
もふもふの毛が生えた背中に小さく、しなやかなで柔らかい手がバシッと当たる
「ゲホッ、本当、君の案内人はとても骨が折れそうだね・・・」
「あれ、お前新しい転生者だろ!」