プロローグ
高校一年生になるというのは中学生にとっては大人への更なる始まりのようでワクワクが強い。
春休みに染めた、染めたての金髪で顔は悪くないが、明るくおちゃらけた言動でなかなか恋人ができないとある青年【新川 優希】も意気揚々と学校へと向かっていた。
転生者でもある彼はとある理由でこの【青ヶ春高校】に入るための努力を欠かさなかった。
この学校は入るのは難しいがその代わりに中での校則は多少緩いことが有名で、髪の色が金色なのは大して珍しくなく、地毛が緑だとかピンクだとかいう多少おかしい生徒も多く紛れているおかげで少し目立たないくらいの髪色だ。
購買での焼きそばパンの人気っぷりは凄まじく、昼普通に購買に行くと大行列でほぼ確実に買えないので授業を抜け出す生徒が出たりする。
生徒会の権限が強く、生徒を指名して同意さえ得ることができればその人を生徒会に無条件で引き入れる事ができたり。
他にも奇抜な校長。
誰でも出入りできるわりに人のいない屋上。
学校敷地内にある伝説の木。
大規模な学園祭。
学園祭のミスコン。
等など色々なこの学校にしかない特別な物の多さからこの学校を目指してくる人は後を絶たない。
…もうお分かりだろうか。
このだっさい名前の高校、それっぽい要素をこれでも積み込んだことで一躍有名になったギャルゲーの舞台となった高校である。
それならば新川優希はギャルゲーの主人公なのか。
その答えは否である。
彼はこの世界の主人公である【去来 圭介】(デフォルトネーム)の幼馴染兼親友となる男であり、女好きでヒロインの情報を多く持っていたりその人からの好感度も教えてくれるという便利な情報ポジションの男である。
男は生まれ変わり自分の名前が新川優希だということを聞いた時にピンと来た。
そして圭介ともう一人の幼馴染でありヒロインでもある【糸勝 なじみ】を見た瞬間に確信を得た。
この世界はギャルゲーの世界だ…と。
普通、ギャルゲーの親友ポジションである人間に転生してしまった場合は悲しんだりするのかもしれないが優希は全く違った。
前世から他人の恋愛というものが大好きであり、このゲームのファンでもあった彼は恋人のような関係になるのではなく主人公と色々なヒロインの恋愛模様を遠くから眺めていたいと常日頃から思っていたため喜びに満ちていた。
そのためこの学校に通うことは必ず必要な事だった。
それすらできなければ自分のこれからのワクワク恋愛傍観ライフが台無しになってしまう。
原作が開始するのは二年生になった所からである。
それじゃあ入学当初の一年生では何もすることがないのかと言われたらそれも違う。
優希のポジションは情報屋だ。
だが生半可な調査では情報を集めることは出来ない。
ヒロインから主人公への評価や、好きな食べ物、好きなデートスポット、お気に入りの物、スリーサイズまで全てを調べ尽くして主人公である圭介へと教えなくてはいけない。
好きな食べ物や、お気に入りのものは簡単に分かるかもしれないがヒロインから主人公への評価などは簡単にわかるものではない。
それを完璧に把握するためにヒロイン達と程々にお近付きになるしかないのだ。
実際ゲーム内でも最初はヒロインとお近付きになりたかったから仲良くなるも露骨な態度で恋愛に漕ぎ着けることが出来ずにいる為皆とほどほどに接点があり、かつ恋愛対象としては見られていなかった。
同級生で幼馴染、ほんわか巨乳でピンクポニーテールの【糸勝 なじみ】
同級生で主人公と同じバスケットの部活に入ってた、短い茶髪の活発なスポーティ女子【斉藤 春夏】
一年先輩、主人公が嫌々入れられる図書委員で知り合うメガネと泣きぼくろが特徴的で緑髪でボブ、胸の大きさはヒロイン一でもある【佐久間 杏】
一年先輩で二年生の段階で生徒会長に抜擢され、クールビューティの擬人化ともいわれてる青髪ロングをなびかせている【華佳 麗】
一年後輩で優希の妹、優希には似ても似つかない金髪おさげの【新川 有栖】
一年後輩で黒髪で清楚な雰囲気だがその可愛さを使い男達を手玉に取るが中々靡かない主人公を虜にさせようと何かと絡んでくる【古津 莉恋】
DLCを除いた場合のヒロイン六人へと近づかなくてはいけない。
幼馴染と妹は優希にも近しい人間であり、調べるのも容易ではあるのだが先輩には近づくのにも時間がかかる上に先輩の情報を漁ってるのがバレてしまうとどんな目にあうのかもわからない。
後輩に至っては入学してくるまで情報収集しなきゃいけないにもかかわらず機会は少ない。
それでも主人公とヒロインのイチャイチャを見るために、優希のワクワク高校生活が始まろうとしていた。
初投稿ですのであんまりきついこと言わないでくれると助かります…
あらすじの通り、面白そうな小説があれば感想のところに送ってくださると嬉しいです。