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大魔導士「ベギ〇ゴンって何属性ですか?」  作者: 藤原キリオ
パーリーピーポー編
7/57

07:冒険者との出会い




 あの後は、本当に大変だった。

 両親に怒られ、褒められ、泣かれ、クロの両親から謝られ、チッタおばばに怒られ……。



 村に入ると衛士の人たちが慌ただしくしており、クロの顔見知りの人をつかまえ、ゴブリンが出たから倒した事を報告した。

 大そう驚いていたが、それどころではない様子で、聞けば村付近の森に魔物の集団が出たとのことだった。

 オレたちの前に現れたゴブリンは、はぐれたのか、逃げてきたのか分からない。

 ただ、その影響で、普段は見かけない河川敷のほうにも現れたのだろう、との事だった。



 しばらく訓練場へ行くのは禁止にされたが、二週間ほどで解禁された。

 但し、警戒はよりされるようになったらしく、対岸の森に、村の狩人の姿もよく見られるようになった。

 母親もちょくちょく様子を見に来る。



 クロもあれから気合を入れて剣の修行をしている。

 二人でチャンバラごっこする時は、けっこう真剣だ。

 オレも当てるつもりで威力の低いウォーターボールを投げるし(ヒール+乾かせばOK)、向こうも布を巻いた木剣でちゃんと斬り込んでくる。

 オレとしても迫られてパニックになるのは、もう避けたいので、真剣なのは助かっている。

 大人に「真面目に戦って」って言っても、こっちはガキだしね。

 手を抜いてるのが見え見えで、正直萎える。



 ともかくそんな調子で、課題と向き合い、新たな発見をし、試行錯誤する日々が続いた。



……

………



 バタン!

「おばばー!火と風をゆうごうさせたいんだけ……あれ?」


 

 チッタおばばの家に入ると見知らぬ男女がいた。

 一人は二十歳くらいだろうか、グレーのフード付きコートに、いかにも『魔法使いの杖』って感じのものを持ってる、赤髪の女性。

 もう一人は、同じく二十歳くらいの金髪の男性。背中には長弓を背負っている。



「うるさいね!また変な事言い出すんじゃないよ!なんだい、融合って!」

「だれ?おきゃくさん?」

「はぁ……ああ、冒険者のレヴィアとサルーノだ。」

「ぼうけんしゃ!?」



 頭を抱えるおばばを余所に、二人がこちらを見て微笑む。

 レヴィアというのが女性で、サルーノというのが男性だろう。



「初めまして、ぼうや。レヴィアよ」

「俺ぁサルーノだ。んで、チッタばぁさん、この子は?」

「アレクって、あたしの弟子さね」

「は、はじめまして」

「弟子!?私でも弟子になれなかったのに!?」


「うるさい!あんたは冒険者で村の客だろうが!たまに来るだけなのに、何が弟子だい!」

「いやいやぁ、それにしたってチッタばぁさんの弟子なんて初めてみたぜ!ぼうず、いくつだ?」

「四歳」

「「四歳!?」」


「アレクは三歳からあたしの弟子だよ」

「何それずるい!チッタさんの英才教育とか!」

「いやぁ小さいとは思ったけど四歳ねぇ!それで魔法使いってかぁ?あ、それとも薬師のほうかねぇ」

「いや、魔法のほうだがねぇ……」


「ん?どうしたの?珍しく歯切れが悪いじゃない、チッタさん」

「お前らが口軽そうに見えて堅いのは知ってる。これから話すことは内密にできるかい?」

「え……何それ。まぁチッタさんが内密にって言えば、内緒にするけど……」

「口軽そうは余計だぜ?ぼうずの事なんだろ?いいぜ、どんとこいだ!」



 何?俺のこと?

 何か秘密でもあったか?



「アレクは六属性魔法使い(セクストゥープル)なのさ」

「「はぁぁあああ!!??」」



 あ、そう言えば珍しいって、最初におばばが言ってたな。

 そんな内緒にしなきゃいけない事なのか……。



「あんたらなら『内密に』の意味。分かるだろ?」

「え、えぇ。そりゃ言えないでしょうけど……ほんとに!?」

「いやぁ、ばぁさんが三歳から弟子にしてんだ。そりゃ納得だわぁ。こりゃ確かに内密だなぁ」



 二人は分かっているらしい。



「ねえ、なんでないしょなの?」

「いい機会だから、アレクにも説明するよ。ちょうどこいつらもいるしね」

「あ、ひょっとしてダシにされた?」

「だなぁ。ま、こいつぁしょうがねぇだろ」



 おばば曰く、オレが六属性魔法使い(セクストゥープル)というのが世間に広まった場合、結構危ないらしい。

 国や権力者が確保にし動く可能性がある。最悪の場合、暗殺者が来る可能性があるとの事。まじかよ。

 今は村のごく一部しか、オレが六属性魔法使であることを知る者はおらず、それもチッタおばばが口止めしているらしい。

 でも来年の『神託の儀』で確実に周知されるだろう、と。



「『しんたくのぎ』ってたしか、五歳になったら、そようレベルがわかるっていってたやつ?」



 ちなみに素養レベルとは五段階で評価される属性魔法適正のことらしい。五が最高。

 高くなればなるほど、その属性魔法が行使しやすくなる。覚えが早かったり、魔力操作しやすかったり。

 属性魔力の操作がしやすいって事は、消費魔力を抑えたり、発動が早かったりと利点があるわけだ。

 でも、レベル五の人が使う魔法を、レベル一の人が使えないってわけじゃない。難しいってだけ。

 大切なのは適正があるかないか。レベル零か、レベル一以上かってこと。俺は全属性がレベル一以上が確定している。



「そうさ。王都の神官が来るからね。そこで属性適正がバレたら、まず洩れるだろう。まぁ『だまってろ』とは言うつもりだがね」

「うわぁ……チッタさんに脅されるのね、かわいそうに」

「いやぁ、あいつら結構強かだからな。話が洩れる確率は高いぜ」



 なんか知らぬ間に大事になってたんだなぁ……。魔物とは違う方向で怖くなってきた。



「オレは……どうすればいいの?」

「おっ!すげぇ!事の深刻さが分かんのか!やっぱ天才だな、ぼうず!」

「この子の理解力は昔っからだよ、サルーノ。で、アレク。あんたがしなきゃいけない事は簡単さね。一つが、将来の道を選ぶこと。村に残るか、村を出るか。出るんなら何をしたいか。冒険者、魔法ギルド、王宮勤め、商人とかでもいいね。『何ができるか』じゃなくて『何がしたいか』だよ」



 将来の職業……。四歳でもう決めるのかい。

 いや確かにこの世界の成人は十五歳だし、公的に働けるのは十歳からと聞いた事がある。

 そういや、両親がいろいろな職業について語ってたな。おばばの入れ知恵か?



「もう一つが、単純に強くなることだ。自分で『こうしたい』って思った時に、それが通せるようにね」

「その言い方だと、チンピラや盗賊になりそうだがなぁ」

「アレクなら分かるさ。だろ? 何も強さってのは魔法に限ったことじゃない。体も意思も、ってね」

「……うん。わかるよ」



 この世界は『いびつ』だ。命の危険がすぐ傍にあり、文明も文化も低い。でも魔法でいろいろ出来る。出来てしまう。

 弱肉強食ってわけじゃないけど、強さこそ正義って感じがしないでもない。

 精神的に強くなりやすい反面、歪みやすい世界なんだろう。だからこその『強さ』か。



「ま、すぐに決めろって話じゃないさ。ちょうど良く冒険者どもが来てるんだ。あんた話したことないだろ?いい機会じゃないか」

「やっぱりそうきたわね。ほらダシにされた」

「別に話を聞くだけさ。今日は宿屋に泊まって、探索は明日だろ?」

「まぁいいじゃねぇか、レヴィア。将来の後輩になるかもだぜぇ?」



 確かにすぐには決められないな。

 それに冒険者に会うことなんて滅多にないし、話したことなんてない。

 両親から多少の話は聞いたけど、現場の生の声って感じだしな。



「うん!よろしくおねがいします!」

「はぁ、しょうがないわねぇ。じゃあ冒険者らしく、対魔物の魔法の扱いとか教えましょうか」

「森とかダンジョンとか、探索魔法もいいぜぇ?俺は狩人だしな」

「ダンジョン!? あるの!?」

「始まったよ、アレクの悪いくせが……。ハッハッハ」



 その日は、冒険する上で普段使ってるいろいろな魔法の話や、実際に裏庭で魔法を使ってるうちに夕方になった。

 オレが六属性使った時には、サルーノさんがはしゃぎ、レヴィアさんが若干うなだれていた。

 やっぱり魔法使い的には羨ましいものらしい。

 いや、レヴィアさんの魔法も見たけど、すごいからね?足元にも及ばないとはこの事だよ。

 サルーノさんの探索魔法もすごかった。どういう原理か、さっぱり分からん。


 道のりは険しく遠い。そう実感した日だった。



■裏話

ゴブリン騒動の裏側はとあるリーダー的な魔物が群れを出るという話しになり、その群れの魔物と対立。

波紋が周囲の魔物に伝染し、パニックになった結果、村の近くに出没した。

この話しは語られません。

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