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大魔導士「ベギ〇ゴンって何属性ですか?」  作者: 藤原キリオ
シェケナベイベー編2
55/57

55:ウンディーネパニック!



「……え……ウンディーネを従魔にって……可能なのか?……うそだろ?……」



 ユーヴェさんは勢いよく席を立ち、執務室内をうろうろと早歩きしている。

 手を頭に乗せ、ブツブツ言いながらだ。

 しばらく混乱から治りそうもないので、オレたちは素直に待ち続ける。



 そこへガチャッと、ノックもせずに執務室の扉が開いた。



「おーい!ビーツが来ておるらしいな!」



 と現れたのは白い髭を伸ばし、ローブをまとい、鞭を腰に下げた老人の姿。

 「博士!」「シュタインズさん!」「「モンスターじいさん!」」と、オレたちはそれぞれの反応を示す。

 混乱していたユーヴェさんも「シュタインズ様!」と、まるで救いの神が来たかのような反応だ。



「博士!どうして王都に!?」

「いや、スライムを従魔にしたと聞いて居ても立ってもいられなくてのぉ。三日前には着いていたんじゃ。で、お前たちが来たら呼んで貰えるようにしておった」



 フットワーク軽いな。モンスターじいさん。

 そしてオレたちの対面のソファーに座り、ビーツと話し始める。



「で、本当なのか?スライムを従魔など――」

「ちょ、ちょっとお待ち下さい、シュタインズ様!」

「なんじゃユーヴェ。これは召喚士界の一大事――」

「い、いえ、分かっておりますが、すでに事態が先行しています!水神様を従魔にしたらしく……!」



 そこで、また部屋の空気が固まる。



「……は?……水神様ってファンタスディスコの?……例のあの?」

「ええ、その水神様です!大精霊ウンディーネです!」



 そうか。モンスターじいさんは先代のギルドマスターだから、ウンディーネの事は知っているのか。



「ゴクリ……ほ、本当か、ビーツよ」

「は、はい」



 ビーツは苦笑いで頭を掻きながら答える。



「いやいやいや!ビーツの召喚士としての才能は知っておる!幼子の頃から見ておるしの!しかし!だ、大精霊!?精霊を従魔にした事例もないのに!?大精霊!?」

「ですよね!シュタインズ様もそう思いますよね!ありえませんよね!」



 なんか師弟のテンションがヤバイ事になってる。

 じいさんなんか血圧上がりすぎて死ぬんじゃないかな。

 もうあれだ。手っ取り早く納得してもらう為に、クラビーとマモリを召喚した方がいいんじゃないか、と。クラビーはビーツのローブの中だけど。

 オレたちは目を見合わせて、ビーツにGOサインを出す。



 「マモリ、来て」と召喚石を出し、シュンと現れたのは青い髪の少女。



「ん?どうした我が主よ、昨晩ぶりじゃの」

「ごめんね、マモリ。マモリを従魔にした事を報告しないといけなくて」

「別に構わんぞ。どうせ暇じゃしな!」



 と、和気あいあいとしている向こう側で、ギルドの重鎮二人が口を大きく開けたまま止まっている。

 呼吸してるのかな?

 それを無視するように、ビーツがマモリに二人を紹介している。



「博士は召喚士としての師匠なんだよ、で、ユーヴェさんは冒険者としての、えっと上司かな。召喚士としても先輩なんだ」

「そうか。わしはウンディーネのマモリじゃ。我が主の従魔となった。よろしく頼むぞ」


「…………はっ。わしはシュタインズと申します。まさか大精霊様とお会いできるとは……」

「…………はっ。わ、私はユーヴェと申します。我らエルフにとって大精霊様にお目通りできる事は何よりの誉れ……」



 やっと息を吹き返した二人が自己紹介をする。

 でもそうか、エルフってのは自然信仰って言うか、やっぱ精霊に対する気持ちが強いんだろうな。



「ははは、堅苦しくせんでよいわ。お前らは我が主の師匠と先達なんじゃろう?気楽に話してくれ」

「「は、はい」」

「ちなみに紅茶と茶菓子はあるかの?」

「はっ!た、ただいまお持ちしますっ!」



 ユーヴェさんがダッシュで隣室へと向かった。その速さたるや、さすがは元アダマンタイト級である。

 その後、重鎮二人とビーツとマモリの話しに華が咲く。

 オレとクロとデュークは、完全にいらない子状態である。

 これ、金級昇格試験の報告だって忘れていませんかねぇ。



「ん?ああ、昇格だ昇格。当たり前だろう。ただビーツ・ボーエンはやはりアダマンタイト――」

「じゃろう?やはりわしの見込んだ――」

「いやいや、金級で大丈夫――」

「このマフィンうまいのぉ――」



 などなど、昇格などそっちのけで話が終わる様子がない。

 ユーヴェさんの仕事が心配になってきた頃、さすがに長居しすぎたのかギルド職員が部屋を訪ね、泣く泣くお開きになった。

 モンスターじいさんは建国祭まで王都に残るらしく、その間、なるべくビーツに会いたい旨を伝えており、従魔談義をするならとユーヴェさんも乗り気だった。

 いや、ユーヴェさんは仕事しないとマズイだろう。



 とりあえず、マモリを従魔にした事で、水神の祠の魔物は今後、減少するであろうという事。

 今後、魔族が水神の巫女を狙いに来るかもしれないので注意が必要な事。

 デカルト伯爵とスパーズさんには報告済みだが、スパーズさんにはウンディーネの事は伏せてある事。

 これらをユーヴェさんに伝えておいた。



 そして、受付にて依頼報酬の受け取りとギルドカードの更新を行う。

 依頼報酬自体は昇格試験という事もあり、銀級の並み程度でしかない。

 が、ギルドカードは金色に輝き、さすがにテンションが上がる。



「すごいわねー!これ」

「キラッキラだな」

「目立ちますねぇ」



 そう話しながらギルドを出ると、もう完全に日は沈んでいた。

 何時間話していたんだ、と。

 ユーヴェさんの仕事は何時間止まったんだ、と。



 こんな時間で、しかも建国祭の影響で人が多い。

 宿はとれるのかと心配しながら、前回も泊まった『猫の安らぎ亭』を目指す。

 『猫の安らぎ亭』はミスリル級パーティー『森林の聖風』の六人も使っている風呂付きの安宿。

 ギルドから離れているが穴場の優良宿だ。



「いらっしゃいませにゃー!」

「四人ですけど空いてますか?」

「おお!ラスト一部屋が四人部屋だけど大丈夫かにゃ?」

「よかった!お願いします!」



 ギリギリセーフだったらしい。

 とりあえず食堂で夕食をもらい、部屋で休む。

 さて、明日から何をするかな。



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