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大魔導士「ベギ〇ゴンって何属性ですか?」  作者: 藤原キリオ
ファンタスディスコ編
53/57

53:ゼロから始まる魔力探知実践



 翌朝、朝食をとった後、『猫の水遊び亭』をチェックアウトし、一路冒険者ギルドへと向かう。



「結局、朝市は行けなかったな」

「毎日、宿で海鮮料理食べてたじゃないか」

「いや、それはそれだよ。物見遊山で観光したいなと」

「今回は縁がなかったって事ね」

「今日も早めに王都に向かいたいですしね」



 そんな事を話しながら、冒険者ギルドに到着する。

 朝のギルドの混雑っぷりはどこも同じようだ。

 依頼ボードの前には、大学の合格者発表かと思えるほどの人。

 カウンターにも行列だ。



 さすがに朝一から買い取りカウンターに行く人はいないのか、そこだけ空いているので、オレたちはすんなり話しかける事が出来た。

 やっぱり昨日のおばちゃんとは違うな。



「すみません、昨日買い取りをお願いしたんですが」



 と、昨日おばちゃんがくれた紙を渡す。



「はいはい。……あっ、コーラルトレントの!あなた達だったの!すごかったわね~」

「おっ、お前ら来たのか」



 そう言って二階からギルマスのスパーズさんが降りて来た。

 オレたちは揃って軽く会釈する。



「買い取り報酬を渡してやってくれ。いや、改めて助かったぜ。あれだけの量が入ることなんてまずないからな。あそこにこれだけあるんなら、毎年、依頼された冒険者に頼んで採ってきて欲しいもんだ」



 人前で『護衛依頼で水神の祠に』とは言えないからぼやかしてるんだろう。

 だが残念



「あれ、今年だけの異常発生らしいです。詳しくは王都で報告しますけど」

「まじかよ!かぁ~!いや、でも多少でも居る可能性はあるよな!少なくとも他で群生地を見つけるよりはマシだろう」

「かもしれないですね」



 そう話しながら、受付嬢から買い取り額を受け取る。

 コーラルトレントと魔物もろもろの部位、そして魔石約二百個。

 しめて白金貨五枚(約五百万円)以上になった。思いの他すごいな!

 弱い魔物ばっかだけど、量があるからね。



「で、あの袋なんだが……」



 そう、スパーズさんが切り出した。

 間髪入れず「それは無理です。回収します」と告げる。



「いや、お前ら、なんであんな袋を荷物入れに使ってるんだよ。耐久性・収縮性・防汚性が半端ねえぞ。あの布で王侯貴族の服を作ったっていいだろうさ」

「王侯貴族ですか……」

「おお、少なくとも庶民が手を出せる布じゃねえ。俺の予想では――」

「あーあー、その話はやめましょう。ともかく袋は回収します!」

「お、おぉそうか。まぁ残念だが仕方ねーか」



 危ない、危ない。

 予想だろうが『アラクネ』とか出てきたらマズイ。

 なんせジョロは従魔登録してないし、ビーツの従魔にアラクネが居るのを知っているのは、セレナ嬢と王都ギルマスのユーヴェさんだけだ。



「もう王都に戻るんだろ?またこっちに来ることがあったら顔出せよ」

「はい、その際はよろしくお願いします」



 オレたちは揃って挨拶して、ギルドを出た。

 そのまま南門まで直行し、港町ファンタスディスコを後にする。

 少し歩いて、町から離れたところでスレイプニルのサガリを召喚。オレの風呂馬車も作成し、お手軽馬車の出来上がりだ。



 ファンタスディスコから王都まで、サガリの馬車ならゆっくり行っても二泊三日だ。

 今はまだ朝だし、途中にあるプチョヘンザ村に寄るつもりはないので、進めるだけ進めば、一泊二日。

 明日の夕方には王都に着くかもしれないな。



……

………



 サガリの馬車に揺られながら、昨日の魔力探知について皆で話し合う。

 これは全員が使えた方がいい技術だと思うし、今までの【サーチ】よりも使い勝手が良い気がする。



「そうは言ってもオロチの説明が意味不明なのよねぇ」

大気魔力(ミスト)を感じて、体内魔力を放射して、操作……だっけ?」

「とりあえず一人ずつ魔法を使ってみて、大気魔力(ミスト)を感じるところからだな」

「攻撃魔法より補助魔法のほうがいいですかね、持続性ありますし」



 それから一人が自分に補助魔法を使い、三人がそれを見て大気魔力(ミスト)を感じる特訓を続けた。

 ところが一時間が経ち、二時間が経っても、誰一人としてピンと来ない。

 体内魔力の発見にも丸一日かかったから、それくらいかかるのか?いや、普段から魔法を使ってるわけだから、もっと簡単だと思うんだが……。



 ちなみに特訓中の周囲の警戒に関しては、サガリ任せである。

 途中に適度な休憩をはさみ、馬車を走らせ、ちょうど中間地点あたりで野営する事にした。

 そこでも特訓は続ける。クロがだいぶ飽きているが有用性は分かっているので文句は言わない。



 そうして大気魔力(ミスト)を探し続けてしばらく



「……ん!?」



 補助魔法を発動させたデュークの右手の周りに、かすかな揺らぎを感じた。



「ちょっとデューク、もう一回頼む!」

「えっ!お前まさか!」

「アレクくん!?」

「うそでしょ!?」



 再度、自分に補助魔法をかけるデューク。

 そして一度意識したその感覚は、確かに大気魔力(ミスト)の動きを感知した。



「よし!」

「まじかよ!」

「どうやった!どうやったのか教えなさい!」

「やっぱり最初はアレクくんかぁ」



 そしてオレから皆にアドバイスするわけだが



「えっとな。まずオロチが大気魔力(ミスト)を感じてから、体内魔力を放射って言ってただろ?それは無理だと判断した。って言うか、何もない状況で大気魔力(ミスト)を感じるなんて無理だと思った」


「えっ、前提を否定するのかよ」


「あくまでオレの場合はって事だ。それで、最初から細~いパスを何本か出して、デュークの周りに張ってみた。デュークが魔法を使ったら、そのパスに反応があったってわけ」


「それは大気魔力(ミスト)を感じたって言えるの?あくまでパスへの反応なんでしょ?」


「いや、それで大気魔力(ミスト)の存在が認識できた。一度気付けば、もう魔法を使わないでも大気魔力(ミスト)があるって感覚で分かるよ」


「ちょ、ちょっとやってみましょう!」



 それからはオレが自分に補助魔法を使い、皆にそれを見てもらう。

 一人が抜ければ後は続くのみ。

 ビーツ、デュークと成功し、最後はクロだった。



「なるほど。川の流れの中で水滴を感じる感覚ね」

「いや、国語辞典をペラペラめくって英語が出てくる感覚だろ」

「えっ、光の中に闇が混じる感覚じゃないですか?」



 感覚は個人差だからとやかく言うまい。

 温泉の湯気の中で硫黄の臭い成分を探す感覚だろ、常識的に考えて。



 そして訓練は体内魔力の放射へと続く。

 これは、オレやクロの得意分野。普段から細かい魔力操作を使ってるからね。

 ビーツやデュークは少し遅れて続いた。



 最後に放射した体内魔力を、細いパスで何本も遠くに飛ばし、大気魔力(ミスト)と融合、探知として操作するわけだが、これがまた難しい。

 王都に着く、ギリギリまでやったが、目を閉じてすっごい集中し、近場の魔力を感じるのが精一杯だった。

 しかしこれは鍛えれば使えると確信する。

 今までの【サーチ】よりも広範囲を低燃費でより詳細につかめるものだと。

 ある種の達成感を胸に、オレたちは王都シェケナベイベーに帰って来た。



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