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大魔導士「ベギ〇ゴンって何属性ですか?」  作者: 藤原キリオ
ファンタスディスコ編
52/57

52:オロチ先生の探知魔法講座



 唐突だが、探索魔法について説明しよう。

 探索魔法とは、闇属性中級魔法の【サーチ】というものである。

 我ら『魔獣の聖刀』ではオレとビーツが使用可能。



 【サーチ】は『ある程度の大きさの生物を探知する』という魔法で、調べたところ、ねずみ程の大きさがギリギリ分かるというものだ。虫とかは無理だった。

 探知距離は個人差があるが、オレやビーツの場合は百五十~二百メートルほど。

 その距離の中に居る、人間・魔物・動物が分かる。アンデッドがどうなのかは見た事ないので知らない。



 欠点としては、大きく二つ。



 まず、探知する方向が限られる。視界は前方に扇状に広がるが、サーチの探知範囲も同じようなもので、それを意識的に後方や上方に持って行かないと、全く探知できないのだ。

 潜水艦のソナーが全周ぐるぐる回っているのを手動でやらないといけない感じ。結構、気を遣う。


 もう一つが持続性がないという事。中級魔法とは言え、サーチの消費魔力は多くない。いや、多くないと言っても生活魔法よりも全然多い。それをずっと使い続けるのは不可能。

 オレやビーツは赤ん坊の頃から魔力を知覚し、使い始めたが故に、他人より総魔力量が多い。それでも使いっぱなしには出来ない。通常、サーチは要所要所で使うものでオレたちみたいにバンバン使うような真似はしない。



 つまり、何が言いたいかと言うと、視覚による探索にしても、サーチによる探知にしても、あの時、崖側を気にしていれば魔族の接近には気付けたはず。という事だ。

 これは完全にミスである。四人ともに大ミスである。

 危険に晒したセレナ嬢には、申し訳ないで済まされる事ではない。

 今回、感謝はされたが、正直、護衛依頼としてはどうなのかと思ってしまうほどの反省点だ。



 まぁそれは王都で報告すべき事だからひとまず置いておこう。



 今回の真の議題は『フェリクスさんって【サーチ】効くの?』って事だ。

 フェリクスさんって言うか、マンティコアのデイドだが、インビジブルで透明化されたら視覚での探知は不可能。

 それでもし探索魔法も効かないとしたらマズイ。



 フェリクスさんの専売特許ならいいが、そうと決めつけるのは早計だろう。

 野生のマンティコアと遭遇してインビジブルを使われたら気付けないまま死ぬ。

 インビジブルじゃなくても、似たような能力を持つ相手だったら死ぬ。



 そんなわけで、ここは斥候界の大御所、オロチさんにご意見を伺いたいと思う。

 オロチ先生、よろしくお願いします。

 まずは議題の件についてお聞きしたいのですが。



「マスターの使ってる闇魔法ではムリ」



 マジかよ。いきなり前途多難なんだが。

 いや、しかしその言い方だと別の方法があるってことだな?



「そもそもあの闇魔法は『生物の生体反応』を探ってるんだと思う」



 ん?【サーチ】で生体反応が分かるんなら、透明化したフェリクスさんも分かるんじゃないの?

 見えないだけで、そこに『生体』はあるわけだし。



「マンティコアの透明化にくわえて、特大剣の男が光魔法使ってる。それで隠蔽してる」

「……【ミラージュ】か」



 デュークが呟く。

 光属性上位魔法【ミラージュ】。効果は『自身を自然と馴染ませる事で、気配を絶つ』というもの。持続性もある密偵向きの魔法だ。

 これにデイドのインビジブルも併用して、見えず・探らせずとしているのか。

 オロチの口ぶりからするに、【ミラージュ】は生体反応を隠し、だから【サーチ】には掛からないと。



 では、そんな敵が相手だったらどうやって探知するんだよ、と。



「かんたんな話。生体反応を探るんじゃなくて、魔力を探ればいい。光魔法を使ってる時点で、魔力は発生してるんだから」



 魔力を探知する魔法……?そんなのあったっけ……。

 他の三人と顔を見合わせるが、誰もピンと来ていない様子。



「魔法じゃない。魔力操作。大気の魔力(ミスト)を操作して遠距離の魔力反応を探るだけ」



 ……簡単に言ったけど、とんでもない事だぞ、多分。

 普通の魔法って言うのは、体内魔力を操作し、大気の魔力(ミスト)と反応させる事で発動となる。

 体内魔力ではなく大気の魔力(ミスト)を操作……?できるのか……?



大気の魔力(ミスト)は感じるでしょ?」

「感じるっていうか、あって当たり前のものだからな。改めて感じるかと言われると……」

「空気の中の酸素を感じろって言ってるようなものじゃない」



 クロがうまい事言ったがその通りだと思う。



「じゃあまずは大気の魔力(ミスト)を感じ取れるようになること。だれかに魔法使わせてその時の大気の魔力(ミスト)の流れを見ればいい」

「なるほど。魔法を使う時に変化が起こるわけだな」

「見るのは変化するところじゃない。その時の大気の魔力(ミスト)全体の流れ」



 そうか。魔法を使う時に大気の魔力(ミスト)は集束するはず。

 掃除機に空気が吸い込まれるように、大気の魔力(ミスト)も漂っていたものが一定方向の流れを得るわけだな。



「そうして大気の魔力(ミスト)が感じられたら、次は自分の魔力を広く薄く放射する」


「魔法を発動させるんじゃなくて、ただ体内魔力を出すだけか?」


「そう。体内魔力と大気の魔力(ミスト)を手元、もしくはパスを繋げた先で融合・変化・発動させたものが魔法。放射した体内魔力を大気の魔力(ミスト)と融合させることで大気の魔力(ミスト)の変化を感じるのが魔力探知」


「……ん?すごく細かいパスを何本も遠くに飛ばすイメージか?」


「イメージはその人によって異なる。アレクの場合はそうなのかも」



 なんとなく分かった。これが出来たらすごいな。

 【サーチ】よりずっと遠くの魔力を探れる。ただ魔力を持たない動物はどうだ?いや、動けば大気の魔力(ミスト)が乱れるから分かるのか。



「ちょっと!なに一人だけ分かった感じになってんのよ!」

「俺にはさっぱりなんだが」

「さすがアレクくんですね……」


「だいじょうぶ、マスターには手取り足取り教える」

「えっ、私たちは!?」

「けんとうをいのる」

「「ちょっ!」」


 

 これは全員で覚えたほうがいい技術だ。

 明日から重点的に訓練しなければなるまい。

 幸い、大気の魔力(ミスト)を感じるってやつは移動しながらでも出来そうだしな。



 ちなみにサタデーナイトのギャラン山でトロールキングを見つけたのも、オロチの魔力探知の結果らしい。

 オレ、魔物特有の同調系気配とか臭いとかかと思ってたけど違ったんだな。

 その時は確か山の麓から、山中をくまなく探知したはずだから、数キロメートル先の魔物を発見して、しかも強者だと分かったわけだ。

 やっぱオロチ先生ぱねぇっす。さすが大御所っす。



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