表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
大魔導士「ベギ〇ゴンって何属性ですか?」  作者: 藤原キリオ
ファンタスディスコ編
51/57

51:反省する子(おっさん)は伸びる



 さて、買い取りが終わってギルドの正面に戻った所だが、問題がある。

 ファンタスディスコのギルドマスターに報告するかどうか、だ。



 護衛依頼だけならば王都のギルドマスターに報告すべきだ。受注がそこなわけだし。

 だが、魔族が出たという情報はすぐにでも報告すべき。フェリクスさんが「ギルドに報告よろしく」と言っていたのがファンタスディスコのギルドなのか、王都のギルドなのか分からない。

 王都でオレたちを見たと言っていたから、タイミング的にフェリクスさんは王都ギルドの依頼で魔族を追っていた可能性が高い。じゃあ魔族の件は王都に報告して実際に出現したファンタスディスコで報告しない、というのもおかしいだろう。耳には入れておくべきだ。


 しかし、話しの流れで水神様の件も話さなくてはいけなくなるのでは……という懸念がある。魔族は水神様の魔石を狙っていたわけだし。

 下手すると、ファンタスディスコのギルマスは水神様=ウンディーネと知らず、オレたちがばらす事になるかもしれない。大精霊の存在そのものが秘密のはずだ。それがどこまで知られているのか、それが分からない。



 四人で話し合った結果、護衛依頼の内容や、水神様に関する事は話さずに、魔族の報告だけしようという事になった。

 それが許されるのかどうかは知らないが、あとは野となれ山となれ。



 そんなわけで、未だざわめきが残るギルド内へ、再度突入。

 空いている受付カウンターに向かう。



「ま、まさかまだ買い取りが!?」

「いえ違います」



 どれだけ売ると思われているんだ。

 少しホッとした受付嬢に話しかける。



「ギルドマスターに報告すべき事がありまして、お会いしたいのですが」

「ギルドマスターにですか?少しお待ち下さい」



 良かった。さすがに受付で魔族のことは話したくない。

 また大騒ぎになるのが目に見えている。



 戻って来た受付嬢が言うには、どうやらギルドマスターと面会させてもらえるらしい。

 「あいつら今度はギルマスとお話しだと!?」など外野の声がうるさい中、二階の執務室に通された。

 そこで初めてお目にかかるギルマス。褐色肌で筋肉質な、いかにも海の男と言った様相の中年男性だ。



「おお、『魔獣の聖刀』だったな。まぁ座れ。俺はギルマスのスパーズだ」

「いきなり面会を申し出てすみません。失礼します」

「随分と礼儀正しいガキだなぁ。うちじゃあまず見ねえ!がははは!」



 どうやらかなり豪快な性格らしい。



「金級昇格試験で『奉納の儀』の護衛だろ?話は聞いてるぜ。あとさっきからギルドがうるせーのはお前らが、なんか買い取りに持ち込んだからだってな」

「はい。コーラルトレントを山ほど」

「おおっ!そいつはいいな!ありゃあ装飾品にも装備品にもなるし人気があるんだ。滅多にとれるもんじゃないし、色つけさせるぜ!」

「ありがとうございます」



 まぁ海辺でしか採れないだろうし、そもそも群生地なんか分からないだろうしな。

 そこまで喜ばれるなら採って来たかいがある。



「で、話しってのは?まさかコーラルトレントの報告じゃあるまい」

「ええ、最初に言っておきたいんですが、護衛依頼の報告は王都でするつもりなので、ここでお話しするわけにはいきません」

「そりゃそうだな。普通の依頼ならまだしも、金級昇格試験だろ?だったら王都ですべきだ。だがその口ぶりだと依頼中に何かあったんだな?緊急で報告すべき事が」



 見かけによらず冷静にズバズバくるな。

 だがこれで水神様関連のことは言わなくてもいいだろう。



「……魔族が出ました」



 そう言うと、ギルマスは目を見開き、とたんに険しい表情となる。



「詳しく話せ」

「巫女様……セレナ嬢を護衛しながら『水神の祠』を進んで行ったところで、魔族が空を飛んでやって来ました。交戦しかけましたが、間一髪のところでアダマンタイト級のフェリクスさんに助けられました」

「フェリクス?あいつ、この町に何の用があるのかと思ったら、魔族絡みだったのか……」



 言わないほうが良かったのか?

 いや、でも言わないわけにもいかないしな。



「魔族はそのまますぐに逃げまして、フェリクスさんは魔族を追って行きました。それでギルドに報告しておいてくれ、と。ここのギルドか王都のギルドか分からなかったんですが、早めに報告したほうがいいと思ったので」

「そうか。魔族絡みの話しは国内全てのギルドで対処すべき事だ。実際、通達も出てるしな。お前らの判断は正しい。こっちもすぐに動くぜ。現場に戻って来ないとも限らないからな」



 良かった。どうやら大丈夫らしい。



「で、魔族の見た目とか情報を教えてくれ。何か聞いたりしてねえか?」

「見た目は紫の肌に銀髪……は、魔族共通だと思いますけど、短髪でやたらと筋肉質。身長はギルマスより少し高いです。武器を持たずに拳に魔力を込めて戦うタイプです。十魔将の一人【最硬】のガルゴルドと名乗っていました」

「おいおいおいおい!すげえ情報満載じゃねーか!大手柄だぞ、お前ら!」



 ギルマスは途端にテンションが高くなり、情報をメモに走らせる。



「つまり魔族の狙いは巫女様……いや、水神様か?」

「……すみません。それは王都に報告すべき内容になるので」

「おいおい。狙いが分かれば対策が打てるんだぞ?と言うか、よくよく考えるまでもなく狙いは明らかだがな。で、巫女様は無事なのか?」



 まぁ言わなくても狙いは想像つくよな。だが水神様=魔物≠大精霊だってことは言うわけにはいかない。

 そしてセレナ嬢は無事なんだが、今後も無事かと言われると分からない。

 そもそもなんでガルゴルドは、わざわざ結界扉の前のタイミングで襲ってきた?事前にセレナ嬢を拉致して扉の前に連れて行き、結界扉を解除させる事も出来たのでは……?

 奉納の儀が年に一回だから、そのタイミングでしか扉が開かないと思っていたのか?

 しかし、そうでないとすると、すぐにでも拉致される可能性がある。危惧はしておいた方がいいだろう。



「今回はご無事ですし、フェリクスさんが追って行ったばかりなので大丈夫かもしれませんが、今後は分かりません。伯爵様と相談した方がいいかもしれないです」

「……そうだな。それはこちらから動こう。それと、魔族の情報に関しては俺の方からも王都や他のギルドに飛ばしておくぞ?お前らの報告より先になってしまうがな」

「オレたちも明朝、ここに寄ってからすぐに王都に向かうつもりです。魔族の報告はお願いします」

「依頼報告の前に情報を流す形になって悪いな。ユーヴェさんには報酬に色つけるよう、ついでにお願いしておくぜ」



 これで話すべき事は全て終わり。

 オレたちはギルドを後にした。



 すでに夕日も落ちようとしている。

 この町に来てからずっと連泊している『猫の水遊び亭』へと帰り、海鮮の夕食を堪能した後、部屋へと戻って一息つく。

 セレナ嬢じゃないが今日はめちゃくちゃ疲れた。

 が、武器や防具の手入れはしなければいけない。誰が言い出すでもなく、各自で淡々と整備する。



「なんだか今日の依頼は色々と考えさせられる感じだったな」

「色々って?」



 話し合いの流れになったので、今日の反省会を行う。

 鉄は熱いうちに打ったほうがいいだろう。

 以下、反省点



①ビーツさん、従魔反応があったらすぐに報告して下さい

  

 ⇒今回は町の守り神を従魔にする可能性があったし依頼主の反感を買う可能性大だったので言いにくかったらしいが、そんなの関係なしに今後は相談するように。



②水場+洞窟で攻撃手段が限られる


 ⇒オレの雷魔法、氷魔法、爆発系魔法が禁止となると有効打が限られる。なんか新技を考えよう。



③崖側から飛んで来た魔族に気付かない+フェリクスさんも気付けない


 ⇒探索魔法や警戒方法の見直しが急務。フェリクスさんについては後述。



④魔族と戦ってみた結果、手も足も出ず


 ⇒これはヤバイ。どげんかせんといかん。マジで。



 とりあえずこんなところだ。

 経験不足な点もあるが、それ以上に強さが足りない。

 特にオレの魔法とクロの物理攻撃が効かないと、もう従魔任せにするしかない。



「鍛錬はもちろん必要だけど、戦術を根本的に見直したほうがいいと思う」

「今まではアレクの魔法ブッパからのクローディアの速攻でどうにかなってたからな」

「僕はもっと補助魔法を使うべきだと思いました。デュークくんのバフとか、僕のデバフとか」

「初速は落としたくないんだけど、それやるなら遅攻戦術も必要よね」



 そんな事を話しながら、宿屋の夜は更けていく。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ