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大魔導士「ベギ〇ゴンって何属性ですか?」  作者: 藤原キリオ
ファンタスディスコ編
46/57

46:戦士たちの王者の95年版のやつ



「アレク!雷やめろよ!感電するかもしれん!」

「オッケー!デュークは守りを任せる!クロ!あんま崖側行くなよ!」

「了解!まぁ崖に飛び出しても、私、二段ジャンプで帰って来られるけどね!」

「ビーツ!いざとなったらオロチ出すかもしれん!承知しといて!」

「了解です!」



 セレナ嬢が居るんで、一度見せたとは言え出来ればオロチとかは見せたくない。あんま言い触らされたくないし。

 と言っても、この魔物の数はひどい。

 居るのがブルースライム、ロッククラブ、ソールシェルなどの弱めの敵に対して、例年、金級の冒険者に依頼しているのがよく分かる。


 おまけにロッククラブやソールシェル、バイトタートルは硬い。スライムも物理防御が高い。

 クロの武器をミスリルにしておいて本当に良かった。ビーツの鞭も効きが悪いし。

 そして唯一、絶好調なのがオレだ。開けた洞窟だから火魔法を使えるし、風魔法もいいだろう。水や土はここでは扱いづらいが火と風だけでも結構いける。

 氷の範囲魔法はただでさえ悪い足場が凍りそうなんでNG。



「ふははは!今日は海鮮焼きだー!」

「調子のんな!まだ先があるんだぞ!温存しろ!」



 デュークに怒られた。

 それもそうだな。まだ通路に入ったばっかだし。ある程度威力を弱めてクロとビーツに任せるか。



 セレナ嬢をデュークに守らせながら、なるべく右手の壁側を進む。

 オレが遠くの敵に魔法を放ち、釣られて向かってきたのを、クロとビーツが仕留める。

 素早い敵が居ないのが救いだな。



「す、すごいですわね……いえ、お姉さまがすごいのは知っていましたが」

「そうですか?去年はどうだったんです?もっと魔物が少なかったとか」



 ゆっくりと歩を進めながら、デュークとセレナ嬢が会話する。



「いえ、数は同じかこれよりすこし少ないくらいだと思います。ただ崖側に陣取って、敵を崖に突き落とすように進みました。お父様にもお聞きしましたが、例年、そうやってこの道を抜けるそうです。このように全て倒しながら進むとは思っていませんでした」



 なるほど、左側の壁がないことを利用して叩き落すのか。

 環境利用闘法だな。

 『怒涛の波紋』とかだったらフライヤさんとチロルさんが大剣・大斧だからその方が早そう。パワータイプのアタッカーならそうなるか。



「えっ、突き落としたら解体できないじゃない。もったいない」

「えっ、解体するつもりなんですの?この量を」



 クロが当たり前のように貧乏冒険者根性を出し、セレナ嬢が当たり前のように苦言を呈する。

 これだけの量の敵が居れば、冒険者的には一財産だ。

 ロッククラブの甲羅や鋏、ソールシェルの貝殻、バイトタートルの甲羅など、売れるものは多い。

 だがどれも嵩張るし重い。セレナ嬢としては当然捨てるつもりだったろうし、例年の金級冒険者にしてもそうだろう。

 だがオレたちは銀級とは言え冒険者となって二か月も経っていないのだ。盗賊の報奨金とかミスリルとかで大金を手にしているが、金銭感覚はまだ歴戦の冒険者にはほど遠い。

 とは言え、今は護衛依頼中。セレナ嬢が正しいのだ。



「クロ、気持ちは分かるが、解体するのは帰りに時間があればだ。護衛優先で行くぞ」

「あーそうね。了解」



 魔石だけでも確保したいのはオレも同じなんだけどね。

 『奉納の儀』がどれほど時間かかるかも分かんないし、帰りの様子だな。

 そんな事を話しながら死屍累々の通路を進む。



「あの大きな岩を越えると、広場のような場所になります。そこが一番の難所です」



 通路をふさぐほどの岩を指さしながらセレナ嬢が言う。

 人が通れる余裕はあるので、そこから先に進むのだろう。



「……」

「ん?どうした、ビーツ」



 ビーツがさっきからしかめっ面している。



「えっ、あ、いや、なんでもないよ」

「そうか?なんかあったら言えよ?」

「うん、大丈夫」



 なんかチートたるビーツにそういう反応されると非常に怖い。

 しかしトイレという可能性もある。伯爵令嬢を前に「トイレ行きたい」と言いづらいのかもしれん。

 そんな事を考えながら、大きな岩までたどり着いた。



「「「「うわっ」」」」



 先をチラ見して、思わず声がハモった。

 広間の作り自体は今までの通路と変わらない。右に壁、左に崖だ。しかしスペースが広い。

 そして広間の一面を埋め尽くす珊瑚。

 水気が多いとは言え、ここは海底ではない。地上だ。なのに胸ほどの高さもある珊瑚がびっしりと生えている。



「コーラルトレント……!」


「知ってるのかビーツ!……えっトレント?魔物なの?」

「うっそだろ!」



 デュークがオレに便乗する。クロもただの珊瑚だと思ってたらしい。

 ビーツは初めてみる魔物に嬉しい様子だが、一方でやっかいな敵だと思案顔だ。



「トレントほど攻撃的ではないですけど、ちゃんとした魔物です。近づいたり攻撃を仕掛けると、麻痺と毒の粉を振りまきます。それと水属性魔法も撃つらしいです。叩けば脆いので倒すのは楽だと思いますけど、この数は……」

 

「去年はここまで群れていませんでした。なのになんで今年は……」



 こんなに数が居ない状態で難所扱いされていたのか。

 ならばこの状況はなんと言うのかと。地獄ですか?こんな綺麗な景色の地獄なんてあるんですかね。



「それと去年はコーラルトレントに隠れるようにシャドウスネークも群れていました」

「それはいい情報だ」



 シャドウスネークはオロチの進化前の魔物だな。黒と緑っぽいヘビだ。

 この密集した珊瑚の中に潜んでいるとしたら見つけるのは厄介だな。

 って言うか影の中に入られたら発見できないんじゃないか?



「オロチ」



 そう呼ぶビーツの影からオロチがニュルンと出てくる。

 セレナ嬢が「ひっ」と驚くが、オロチは一回見ているはずだ。

 単純に突然出て来たから驚いているだけだろう。本体を一瞬見たトラウマはどうだか知らないが。



「マスター、呼んだ?」

「ここに居るシャドウスネークを――」



 とビーツが言いかけたが、広間中からワサワサと現れたシャドウスネークが、我先にと崖に消えていく。

 脱兎の如く逃げている。オロチという絶対強者から。



「…………もう、大丈夫みたい。ありがとうオロチ」

「ん」



 頭を撫でられたオロチは満足そうに影に消えた。



「えーっと……あとはコーラルトレントだけかな、と」

「そ、そうだな。ビーツありがとう」

「さっすがオロチねぇ……」

「完全に上位者だからなぁ……シャドウスネークにとってのオロチは」



 気を取り直して、コーラルトレントを何とかしよう。

 ビーツ曰く、近づくのが危険という事で、手だてとしてはオレの魔法、クロの烈風斬、ビーツのムチ、デュークは一応光魔法の攻撃手段もあるがセレナ嬢を見ていてもらおう。

あとは従魔で無双……これは考えないでいいか。



「んじゃ、オレがまとめてやるわ。撃ち漏らしあったらクロとビーツでよろしく」

「「了解」」

「言っておくけど広範囲爆発とかやめろよ?一応洞窟なんだし」



 えっ、ベギ〇ゴン撃つつもりだったんだけどダメか。クンッもダメか。



「珊瑚は脆いんでしょ?烈風斬で根元から芝刈りみたいにやればいいかしら」

「そうすれば一網打尽ですね。根元から切り倒せば倒せるはずですし、魔石も珊瑚本体も残ります」

「じゃあクローディアのほうがいいか?どうするアレク」



 うーん、広範囲で威力弱めの烈風斬か……。エアカッターを扇状に広げていく感じかな。で、地面スレスレを狙うと。

 イメージは出来る。多分あれで問題ないだろう。



「ちょっとやってみるよ。みんな下がってて」



 コーラルトレントは近づかない限り襲ってこない。ならば魔法を撃つ準備はいくらでも出来る。

 なるべく体内の魔力を高め、それを広く薄く放つイメージを膨らませる。

 地面スレスレに衝撃波のようなエアカッターを、扇状に広げるように。

 拳を足元の地面に殴りつけると同時に放つ。



「パ〇ーウェイブ!」



 拳から放たれたエアーカッターの衝撃波がコーラルトレントの根元を切り裂きながら、広がっていく。



「ちょ!お前いつのまにそんな再現を!」

「あれ、風属性じゃないでしょ!テリーに謝りなさい!」

「ゲイザーも出来るんですかね!あ、あれは爆発か」



 後ろの三人が喧しい。しかし分かってもらえて何よりだ。

 一方でセレナ嬢は見たことのない魔法に唖然としていた。

 しかし、魔法一発で広間全体のコーラルトレントを始末するのはさすがに無理だ。追い打ちをかけよう。



「パ〇ーウェイブ!パ〇ーウェイブ!バ〇ンナッコゥ!パ〇ーウェイブ!」



 うん、こんなもんかな。オッケェイ!と。

 あとは倒し損ねがあるかもしれないから、みんなで確認しながら進むとしよう。

 苦笑いのセレナ嬢とテンションの上がった三人を引き連れて広間を抜ける。

 クロは「残影〇ならいけるかしら」と練習しだしたが、ご自慢の刀はどうするつもりなのだろうか。



「この広間を抜ければもう魔物は出ません。あとは水神様の元へと繋がる結界扉がある最奥の部屋だけです。私はそこから水神様の住処へと向かいますので、皆さんは部屋で待機となります」



 その言葉の通り、広間から細い通路を抜け、出た先は十メートル四方ほどの部屋だった。

 相変わらず右側は水のしたたる岩壁、左は海の見える崖。そして正面には何やら複雑な文様が描かれた扉があった。 


 

 扉に見入ったオレたちを正気に戻したのは、男の低い声。







「ようやく来たな水神の巫女―――待ちくたびれたぞ」



 それは部屋の外。崖側に浮かぶ紫の人型―――魔族だった。




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