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大魔導士「ベギ〇ゴンって何属性ですか?」  作者: 藤原キリオ
サタデーナイト編
20/57

20:大群討伐(目立つ事必死)



「遠距離攻撃を持ってるものは、エア・ホークをバンバン狙ってくれ!近接のやつは『大地の守り』と『業火の赤壁』の援護だ!回復術士はそいつらの回復を最優先!頼むぞ!」



 ドラドさんがそう言うと「おおっ!!!」とそこら中から声が上がる。

 こちらは約三十人。エア・ホークは五十匹……ん?



「お、おい!百匹くらいいねえか!?」

「だよな!ちくしょう!援軍が来やがったのか!」



 だよな。百匹……下手したらもっといるぞ?

 持ちこたえてる『大地の守り』と『業火の赤壁』がすごい。

 おそらく十五分は食い止めているはずだ。



 エア・ホークはヒットアンドアウェイで攻撃しつつ、風魔法を使い、逃がすつもりはないようだ。

 数が数だけに、ただ周囲を飛び回るだけのものもいる。



「デューク!彼らの回復と防御頼むぞ!クロはもう行っていい!援護してやれ!ビーツ!出し惜しみはなしだが人目がありすぎる!タマモだけにしておけ!」

「「「了解!」」」



 クロが本気で走り出す。後ろから「はやっ!?」とか聞こえるが気にしない。

 ビーツも走りながら「タマモ!来て!」と召喚。即座にタマモに説明し出す。「召喚!?獣人!?」とか「か、かわいい」とか聞こえるが気にしない。



「おおーーーーい!!!連れてきたぞ!大丈夫か!」



 伝令に来た『大地の守り』の斥候役が、走りながら大声を出す。



「来たか!頼む!もう持たない!」



 やはり限界のようだ。見るからに倒れる寸前。

 張り上げる声は、必死そのものだった。



「狩人ども!撃て!!! 魔法使いもだ!!!」



 そろそろ射程圏内という所で、三十人中、狩人の五人が一斉に矢を放つ。

 オレも走りながら魔力を溜める。

 人前だし、詠唱付きで右手のみで撃とうとも思ったが、緊急時だししょうがない。ビーツの従魔と違って無詠唱はそこまで珍しいものでもないだろう。



「うおおおお!!!ヴォルテックス・ライトロード!!!」



 距離五十メートルほどで止まり、両手から二筋の雷光を放つ。

 再現魔法ではない既存の雷属性魔法だ。

 雷の道が二パーティーの直上を通り過ぎて、直線上のエア・ホークを打ち落とす。かすっただけでも麻痺するだろう。



「か、雷魔法!?しかも中級だと!?」

「あいつ両手から出したぞ!?二発同時だ!」



 気にしない。次の魔法の準備に入る。

 周りの魔法使いも詠唱が終わり次第、撃ち始める。火や水が多い。

 デュークはすでに二パーティーに近くまで行き、中距離からの範囲回復魔法をかけ、そのまま近づく。



「エリア・ヒール!」

「こ、これは!助かった!」

「まだ完全回復じゃありません!防御優先して下さい!」

「ああ!分かった!」



 デュークは盾受けをメインにし、回復は他の回復術士にまかせるようだ。

 その近くにはクロ。すでに襲い掛かるエア・ホークを何匹か斬り倒している。

 しかし、空を飛ばれると待つしかないだろう、と思っていたら―――



「烈風斬!!!」



 上空へ居合切り。すると、剣先から出た衝撃波が上空の敵を打ち落とす。

 「ざ、斬撃を飛ばした!?」とか守られてる人が言っているが、それっぽく見せてる|風属性魔法《

エアカッター》ですよね?オレの目は誤魔化されんよ。

 ビーツとタマモは、鞭が届きやすいところで戦うようだ。タマモは遠距離からかと思ったが、やはりビーツの傍にいるらしい。

  


「妖火・不知火」



 タマモの五本の尻尾の先から、五個の白い火球が生まれる。

 それらは回転し、混ざり合い、大火球となってエア・ホークを飲み込んでいく。

 何その魔法!かっけえ!教えてくれ!タマモ先生!



 ……っと見とれてる場合じゃない。

 オレも撃たなければ!



「ヴォルテックス・ライトロード!!!」



……

………



…side:セルティック(冒険者ギルドマスター)



「無事で何よりだ。疲れているところ悪いが、さっそく報告を聞こう」



 執務室に入ってきたのは『大地の守り』のリーダー、セーク。『業火の赤壁』のリーダー、リルリカ。

 救援部隊のリーダーとした『白銀の盾』のドラドの三名だ。



 『大地の守り』と『業火の赤壁』は共に銀級パーティー。昨今のギャラン山周辺の異変調査に出向いたばかりだった。

 そこでエア・ホーク約五十匹と戦闘。一人を伝令に出し、街へと行かせない為に食い止めた。

 さらに敵増援があり、その数は約百三十匹。街に飛んでこなかったのは、運が良かったとしか言いようがない。

 領主のサタデーナイト伯爵に伝え、衛士を急ぎ控えさせてもらったが、杞憂に終わって何よりだ。



 話は救援時のものとなる。三名は興奮した様子で話し始めた。



「『魔獣の聖刀』だっけ?あの新人たち。あいつらヤバすぎですよ。さすがパーリーピーポーだわ」

「聞けば二、三日前に登録したばかりとか?」

「私はパーリーピーポー村からの護衛任務で一緒に来ましたが、あれほどとは……」 



 ビーツ・ボーエンがすごいのだろう、と私は予想していた。父はこの街でも有名だった元・金級冒険者。さらにシュタインズ様の弟子でもあるという。

 登録された従魔を見ても、おそらくどの召喚士も従えたことのないであろう魔物が、しかも三体だ。まさに規格外の新人と言える。



「いや、召喚士の坊主は確かにすごい。あの従魔だって見たことないし、めちゃくちゃ強い」

「最初は狐の獣人かと思いましたよ。とんでもなく美人だし」

「ビーツ本人の鞭捌きも中々のものでした。しかし――」



 聞けば、他の三名も桁違いらしい。

 最初に救援に辿り着いたのはクローディア・チャイリプスという少女剣士だと言う。



「いつの間にかそばに来て、エア・ホークを斬ってたんだ。防御に専念してたし、まったく気付かなかった」

「しかも斬撃を飛ばしてましたよ?おそらく風魔法でしょうが、あんな魔法知りません」

「私は後ろから見てましたが、とんでない速さでした。あれが十歳の少女とは……」



 エア・ホークの迎撃に入ったクローディアに続き、近接攻撃部隊が到着したことで二パーティーも安堵したらしい。

 しかし満身創痍、重傷者まで出ていたとの事。回復部隊が到着したのは、そのすぐ後だ。



「一発だったな。あいつの回復魔法はハンパねぇ」

「広範囲であの回復量ですからね。しかもそれから盾戦士として我らを守った」

「あれで私の仕事はほとんど取られたようなものですよ」



 回復術士のドラドが苦笑いする。確かにデューク・ドラグライトは回復術士となっているが、見た目は盾戦士のそれだ。

 両方が高レベルで実践できていると言うのか。にわかに信じがたい。しかし本当に信じがたいのは、その先の話だった。



「でも一番、活躍したのは誰だって言えば、やつらのリーダーだろ」

「雷魔法……しかも中級魔法ですよ?何匹のエア・ホークを落としたか……」

「皆さん気付いてます?あれ、無詠唱で両手で二発ずつ撃ってますよ?」

「「「はぁ?」」」



 雷魔法は風魔法と土魔法の中級魔法がないと扱えないとされている。その雷魔法の中級。さらに無詠唱。さらに両手で発動?何の冗談だと言いたくなる。

 おまけにそれを連発したらしい。ドラドが確認した所によると、両手同時で四発。つまり計八発の中級雷魔法を使ったことになる。

 私は登録時に「なぜ、このパーティーのリーダーはビーツ・ボーエンではなくアレキサンダーという少年なのだろう」と思った。

 おそらくビーツ自身の性格もあるのだろうが、それだけではなかったわけだ。私の目も節穴だな。ボーエンの名とシュタインズ様の手紙に目が狂ったか。



「報告は分かった。ドラドは明日にでも討伐数を出してくれ。さすがに全部の数は分からないだろうがな」

「分かりました。聞き取りはすでに私のメンバーが始めています。明日に持ってきます」

「ああ、頼む。セークとリルリカも災難だったが無事で何よりだ。調査依頼は出来なかったが、エア・ホークの緊急依頼として処理しよう」



 三名が執務室を出た後、私は頭を悩ませていた。

 『魔獣の聖刀』は登録したばかりとは言え、その力を見せた。はっきり言って四人ともが鉄級冒険者の力ではない。

 しかし、十歳で登録したばかり。冒険者としての経験がなさ過ぎる。かと言って、低級の依頼ばかりさせるわけにはいかん。宝の持ち腐れだ。

 今回の報酬はそれとして、何かしら手を打ったほうがいいだろう。



 おまけに今回『大地の守り』と『業火の赤壁』にやってもらうはずだった、ギャラン山周辺の調査も結局出来ていない。

 いままでの魔物の活性化と、エア・ホークの群れが下りてきたのを見るに、何かが起きているのは確かだ。時間の猶予はない。

 これをどうするか……。



 私は机の書類に目を移す。

 今日も帰りが遅くなるのだろう。

 ため息をつき、頭を抱えながら、書類に向かうのだった。



ちなみにこの世界に盗賊やスカウトといった職業はなく「狩人」がそれに当たる。

武器は弓の者が多いが短剣や剣を使う者もいる。

ギルドに登録できる職業の種類が限られているという事。

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