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大魔導士「ベギ〇ゴンって何属性ですか?」  作者: 藤原キリオ
サタデーナイト編
18/57

18:冒険者デビューの基本はゴブリン



 さぁ今日から冒険者デビューだ!はりきって行くぞ!



「なんかアレク無理してない?」

「空元気だな」



 そんな事ないやい。結局ビーツ同伴かつ五メートル以内に入らなければタマモに教えて貰えることになったから大丈夫だい。

 ……ごめんなさい。言ってて悲しくなってきた。香水買おうかな……。



……

………



 朝の冒険者ギルドは賑わっていた。やはり、良さげな依頼は朝一に取り合いになるらしい。

 オレたちは初心者冒険者だから、そこまでがっつくつもりはない。

 まぁ鉄級の依頼なんてどれも似たようなもので、軽めの常駐依頼といった所がほとんどだ。



「一応、方針のおさらいしておくぞ?まずは冒険者として慣れる事。そして、王都への旅費及び多少の蓄えを稼ぐ事。冒険者ランクを上げるとかは、まだ考えない。で、いいかな?」

「オッケーよ!」

「冒険者の必需品の買い出しや、装備も多少は揃えたいけどな」

「僕とアレクくんは装備大丈夫ですけど、クロさんとデュークくんは買うんですか?」



 オレの装備はおばばからプレゼントされた薄い緑のローブだ。素人目だが、かなりいいモノだと思う。武器はなし。杖を持たないのは単なる拘りだ。

 ビーツもモンスターじいさんからのお下がりで、すごそうな鞭と茶色のマントっぽいローブ。サブウェポンの片手斧は親父さんのお下がりらしい。親父さんの武勇を聞くに、これも業物だろう。



「俺は盾戦士と回復術士を兼ねてるからな。盾とメイスは欲しい。盾はマテウスさんのお下がりだから、クローディアには悪いんだけど」

「気にしないでいいわよ。お父さんも剣士だし、オーク皮の中盾くらいしかないって言ってたもん。盾戦士には不足でしょ?」

「まぁやれない事もないけどな。鎧よりも優先したいのは確かだ」

「私は王都までこのショートソードで行くつもりよ。そして刀を目指す!」



 クロはぶれないなぁ……。

 ともあれ、しばらくは金稼ぎ目的で、この『サタデーナイトの街』に居座るつもりだ。



「ちなみに休みは?」

「「「週休二日!」」」

「ですよねー」



 見た目は十歳でも、中身はおっさんなのだ。

 週休二日にこだわるのは当然なのだ。

 むしろ三日でもいい。



「じゃあ依頼を見ようか」

「うーん……。やっぱりパッとしないわね」

「ゴブリン討伐、薬草採取、外壁工事の手伝い、調合の手伝い、川魚を釣ってきてくれとか……」

「最初は無難にゴブリンですかね?基本ですし」



 基本は大事。やっぱ冒険者デビューはゴブリンだろって事になり、依頼票を受付に持って行った。



「おはようございますメェ。『魔獣の聖刀』のみなさん。ゴブリン討伐の依頼ですメェ?」



 メアリさんは昨日と打って変わって、平常モードだ。

 やはりこの人は仕事が出来るクール・ビューティーである。



「ゴブリンは西門を出た平野や、その付近の森に多いですメェ。五匹分で依頼達成となりますメェ。討伐証明は右耳。買い取りは魔石になりますメェ」



 メアリさんから依頼票の控えを受け取り、西門を出て、平野を森方向に目指す。

 四人ともちょっとした背嚢を背負い、辺りを見回しながら歩く。



「初戦で舐めちゃいけないってのは当然なんだが、それでもゴブリンだろ?各個人の戦闘を確認するってのはどうかな?」

「一人で戦うってことですか?連携を見ないで大丈夫ですか?」

「個人戦闘を外から見て、助言しあうってのはいいかもな。連携にも活かせそうだし」

「私はオッケー。どうせゴブリン五匹で終わりってことないんでしょ?」



 うん。今日いっぱい、ゴブリン討伐は続けるつもりだ。

 みんなの承諾も得たので、とりあえず個人戦と行こう。

 ちょうど森から出てきたゴブリンが目に入った。数は四匹。



「じゃあ、言い出しっぺのオレから行くわ」

「お手並み拝見と行こう」



 ゴブリンはオレたちを見つけ、こん棒片手に走ってくる。小柄なゴブリンだから速度は遅い。

 オレは五十メートルほどの距離で魔法を発動する。

 さて……あれからやってみるか!



「ファ・イ・アー・ボー・ル!」



 右手の指に順々に小さな火球が浮かぶ。

 「ちょ!おまっ!それっ!」と外野がうるさい。



「ん~~~! フィンガー・ファイアー・ボムズ!」



 五つの火球がゴブリンを襲う。元ネタは『ドラ〇ンクエスト ダ〇の大冒険』だ。

 バァン!と勢いよく爆ぜたものの、距離があったせいか、倒せたのは二匹のみ。

 やはり、これはある程度近く、単体相手のほうがいいと実感する。

 しかし、倒しきれないのは予想済みだ。左手はすでに魔力の融合が終わっている。



「はあっ!」



 左手を下方に向け、魔力を放出。地面から土を固めた直剣が五本、姿を現す。



「ダンシング・ソード!」



 掛け声と共に剣がゴブリンへと向かう。こっちの元ネタは『ロマ〇ガ』。

 ここからは風魔法によるコントロールだ。集中力がいる。


「グギャアア!」「ギャイアア!」


 直線で刺さる剣、弧を描いて刺さる剣、波打つように刺さる剣。

 それぞれをコントロールさせた結果、残ったゴブリンは絶命した。



「ふぅ……。まだまだだなぁ」

「いやいやいや、何その無駄な再現力!」

「禁呪じゃないですか!寿命を縮めますよ!」

「いや、その設定は再現してないから」

「まったく、お前は……でもあれか?最初にダンシング・ソードで後からFFBのほうが良かったんじゃないか?」



 全くもってその通りだ。ダンシング・ソードは距離があっても風魔法によるコントロールで、敵に命中させやすい。致命傷を与えずとも戦闘は有利になるだろう。

 しかし、課題も多い。FFBはせめてフレイムボール五発くらいにしたいし、ダンシング・ソードにしても土剣じゃなくて、せめて石剣。数も五本じゃ少ない。



「そうだな。どれも要練習なんだが、みんなに見せたかったのは、オレが『この距離でこのくらいのダメージが期待できる』『発動にこのくらい時間がかかる』って事だ。見た目はアレだけど、発動距離・威力・時間は平均的なものを選んだつもりだよ」

「なるほど、あれが平均ねぇ」

「となると一番槍は、やっぱアレクに溜めからの魔法をやってもらった方が無難か」

「いつも溜められる状況とは限りませんよ。それを補う意味でのパーティーでもありますし」

「そうだな」



 オレたちは、討伐証明の右耳と心臓部にある魔石を手に入れ、さらに森方向へ歩く。

 個人戦は森の中でなく、平野で行うつもりだ。

 森の外側を歩きながら、あーでもない、こーでもないと先の戦闘から見える課題や連携時での改善点を出し合った。これがしたかったんだよ。



 それからデューク、クロ、ビーツの順で戦った。

 デュークはオレたちを背中にして、パーティー戦を意識した戦い方だった。ゴブリンの視線を遮るように体をずらす。盾受けしてからの戦闘杖での打撃。

 確実で安定した戦い方は「やっぱデュークって秀才だわ」と再認識するものだった。天才ではなく秀才って感じ。頭がいい。

 火属性の身体強化も使えているが、全体的に満遍なくといった魔力操作なので、要練習というか、要実戦といった所か。

 他の課題としてはやはり、盾と戦闘杖が本職のそれではない所。



「大盾は十歳の体じゃ無理だろうな。やっぱ中盾が欲しい」

「ちゃんとしたメイスもな。その戦闘杖、打撃用じゃないだろ」



 今度、武器屋と防具屋でも覗いてみよう。

 さて、続いてのクロだが、これはもう一言。速い!前傾で即座に近づき、ショートソードを居合のように一閃。また移動して一閃を繰り返す。

 クロは風と土属性に素養があり、お目当ての火属性がなかった時点で、速度特化に絞ったようだ。つまり風属性一本。潔いね。

 風属性の下級魔法で『体の動きを軽やかにする』というものがあるが、クロの場合はそれだけではない。


 バーニアのように足元からウィンドウォール(小)を出し、ダッシュに利用。ついでに背中にもウィンドウォール(小)を当て、前傾姿勢を維持。

 剣を振るい態勢が崩れても、ウィンドウォール(小)で無理やり、態勢を立て直す、という流れだった。

 オレたち四人は物心がつくのも早く(当然だが)魔力を枯渇させてからの総魔力量アップも実践していたので、魔力量には自信がある。

 クロの戦い方は、その魔力量に飽かせた戦い方と言える。



「実は私もチッタさんに教えてもらってたんだよ。アレクに内緒で」

「マジで!?いつの間に!」

「えへへ、チッタさんにも内緒にしてって言っておいたからね!それにほら、チッタさん、風魔法のエキスパートだし」



 確かに風魔法の事ならオレよりおばばに聞いたほうがいいもんな。でも内緒にすんなよ、おばば。

 で、課題だがやはり、速すぎるせいでパーティーの連携が逆に取りづらい事。そして、風魔法の細かい操作がまだまだだという事。

 これも要練習。要実戦だな。



 最後にビーツ。オレたちとパーティーを組む際は、基本的に従魔は呼ばないつもりらしい。



「僕自身がレベルアップしないと従魔のみんなに顔向け出来ませんし、せっかくパーティー組んだんですから、僕らに出来ることは僕らだけでやるべきだと思うんです。もちろんみんなで相談して呼ぶ時は呼びますけど、基本的に僕は『召喚士』でなく『鞭術士』だとでも思ってて下さい」



 ビーツらしからぬ意気込みである。「おっそうか」としか言えない。

 戦い方は単純に中~遠距離での鞭。運悪く近寄ってきたゴブリンの攻撃は左手の片手斧で受け、距離をとり、やはり鞭で仕留める。

 課題は魔法をほとんど使わない事。近接の手段がほとんどない事。装備品が良すぎて他がおざなりになってる感じだ。



「そうなんですよねぇ……。従魔のみんなと居る時は、ほとんど戦わせてくれないですし」

「でも鞭捌きも堂に入ってたし、結構攻撃力もあるじゃないか」

「全然まだまだですよ。博士は鞭で木を折ったりしてましたしね」

「……それと比べるのもどうかと思うぞ?」



 実戦不足は本人も感じているらしい。って言うか、やっぱ何者だよあのじいさん。

 そんなこんなで個人戦は終わり、パーティー戦で連携を考えながらやってみようと、オレたちは森に入った。

 結局、個人戦も合わせて、ゴブリン三十二匹と、ホブゴブリンを二匹討伐し、夕方には冒険者ギルドへと戻った。



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