16:冒険者登録しよう!~ゴタゴタ登録編~
「やっぱ『〇〇の〇〇』ってのが一般的だな」
「竜王の系譜」
「暁の四戦士」
「ニーベルンゲンの伝説」
「魔導の道」
「クローディアと愉快な仲間たち」
「俺とお前と〇五郎」
「もうパーリーピーポーズでいいんじゃないか、と」
「大却下!」
「ピープルを複数形にするとか何事だよ」
そして二時間が経過した。
「じゃあ『魔獣の聖刀』でいいか?」
「「「異議なし!」」」
結局、無難にそれぞれの特徴を一文字ずつとなった。
オレの『魔』、ビーツの『獣』、デュークの『聖』、クロの『刀』。もう魔なのか聖なのか、分かんねえな、これ。
ちなみに『聖剣』のほうがかっこいいと思ったが、クロが断固として『刀』を譲らなかった。
「あー、やっと記入できるな。じゃあリーダー書いて」
「ん?アレクかビーツじゃないのか?」
「い、いや!アレクくんかデュークくんでしょ?」
「は?オレはビーツかデュークかと思ってたんだけど」
「ねぇ、私は?ねぇ」
更なる難題が出てきた。会議は終わらない。
「魔法使い、僧侶、戦士、魔物使い。ほら、魔物使いが勇者枠だろ!」
「む、無理ですよ!リーダーはしっかり者のデュークくんで!」
「いや、いつも仕切ってるのアレクだしなぁ」
「そんな事ないだろ?ここぞって時はいつもデュークの意見じゃん」
「そうか?まぁ俺は助言が基本だから、やっぱリーダーとは違うよ」
「アレクくんのほうが(元)年上ですしね」
「私、(元)最年長だけども?」
「「「……」」」
「それにラッキーカラー赤だし。レッド的にリーダーよね?ね?」
「ごめん、それ、むり」
「なんでよ!」
「オレたちにだって体裁ってもんがある。クロがリーダーだと、パーティー全体が変態だと思われるだろ?な?」
「諭すように言わないで!私、普通の女の子だし!」
「分かってくれ、クローディア。お前をリーダーにしたら、俺たちは村に帰らなければいけなくなる」
「即帰宅するレベル!?」
「だ、大丈夫ですよクロさん!クロさんがしっかり者だって分かってますから!」
「フォローが痛いわ!」
結局、オレがリーダーをやるはめになった。二人は賛成。一人は異議申し立てを却下された。
そんなのは無視だ。クロをリーダーにするよりはマシだと判断した。
計三時間が経過した。
やっと出来上がった登録用紙を手に、受付嬢さんの元へと行った。
「ずいぶん遅かったですメェ。拝見させて頂きますメェ」
「すみません、お願いします」
受付嬢さんは手早く、登録用紙の中身に目を通していく。
「…………まず、職業ですが、ビーツさんの『召喚士』は大丈夫ですメェ。但し、従魔証の登録もありますので、その用紙もお渡ししますメェ」
従魔は登録して、従魔証を身に着けることで、街中にも入れるらしい。
その事はビーツからも聞いていた。ビーツはモンスターじいさんから聞いたらしい。
「それと……この『大魔導士』というのは?」
「魔法使いの上位的存在ですっ!」(キリッ)
「では『魔法使い』に直しておきますメェ」
「なん……だと……」
「それと『聖戦士』ですが、パラディンは意味不明ですので消すとして……」
「なん……だと……」
「神聖国の騎士ではありませんよね?」
「……違います」
「見たところ、回復術士と盾戦士のどちらかですメェ」
「……回復術士でお願いします」
「それと『侍ガール』……意味不明すぎて理解不能ですメェ。『剣士』にしておきますメェ」
「なん……ですって……」
受付嬢さんは淡々と登録を済ませていく。オレたちに有無を言わせず。
やはり、このクールビューティー羊さんは手強い。
しかし、これで後はビーツの従魔登録のみ。長い戦いだった……。
さすがにこれに時間はかからず、ビーツがササッと書いて、受付嬢さんに渡す。
・ オロチ:ダーク・サーペント
・ タマモ:ファイブ・テイル
・ シュテン:フレア・オーガ・クイーン
「さ、三体!?しかも種族がこれ……ギルドマスター!ギルドマスターを呼んで下さいメェ!」
あんなにクールだった受付嬢さんが、ひどい取り乱し様である。
周りもざわつく。夕方近くなってきた事もあり、人が多くなってきた。
オレも紙を覗き込んだが……あれ?種族が変わってない?
「おいおい、メアリさんがあんな慌てるとか何事だよ」
「パーリーピーポーの新人らしいぞ?」
「なるほど、じゃあしょうがないか」
何がしょうがないんですかねぇ。村の謎評価が非常に気になる。
そしてメアリさんというらしいな。受付嬢さん。メリーさんだったら分かりやすかったのに。羊だし。
「どうした?騒がしいな」
二階から降りてきたのは壮年の男性。オールバックで口元には髭を蓄えている。
身長も高く、ローブの下は筋肉質なのだろう事が見て取れる。
「ギルドマスター!これを見てくださいメェ!」
「ふむ、どれどれ……んん!?」
「あ、すみません。これも見てもらえますか?」
そう言って、ビーツは懐から一通の手紙を取り出した。
「あ、あぁ。読ませてもらうよ。…………こ、これは!」
「ギ、ギルドマスター?どうしたんですかメェ?」
「……いや、まずはビーツくんと言ったね。この手紙は返そう。また使う機会があるだろうからね」
「あ、はい」
「メアリくん、この件は他言無用だ。私が保証しよう。手続きを進めてくれたまえ」
「え?は、はい。分かりましたメェ……」
その後は滞りなく登録も終了し、すっかりキャリアウーマンに戻ったメアリさんにより、冒険者のルールなどを聞いた。
帰り際、依頼ボードを見て、どんな依頼があるのかチェックしておく。
そして、夕暮れにさしかかる頃、オレたちは帰路についた。
…
……
………
「で、何だったんだ?あの手紙」
「あぁ博士が『従魔登録の時に騒ぎになるだろうから、この手紙を渡せ』って」
「ちょっと見せてもらっていい?」
「いいですよ」
『ビーツ・ボーエンは我が弟子である。
この者と従魔の素行については我が名において保証する。
ギルドにおいて身勝手に名を広めたり、悪用する事のないよう注意されたし。
――シュタインズ・ベルクトリア――』
「……モンスターじいさんって何者?」
「さぁ……」
「で、従魔三体しか登録しなかったのは?」
「あ、えーと、三体くらいなら稀にいるから大丈夫だろうって。博士が」
「全然、大丈夫じゃなさそうだったけどな、アレ」
「ははは……」
「しかも聞いてたのと種族違ったよね。もしかして進化したの?」
「あ、そうなんですよ。冒険者になったらみんなに正式に紹介しようと思ってたんです!」
「おっ!やっとか!じゃあ夕食食べたら部屋でな!」
「楽しみー!」
帰り際、門の衛兵に正式なギルドカードを提出し、仮の身分証を返却。
オレたちは『猫の祭り亭』へと戻った。




