10:盛大なネタばれ大会
「いやぁ、こんな笑ったの初めてだ。アレクに最後、全部もってかれたな」
「アレクくんが最後で良かったよ、ほんと」
「落ち込まないで、アレク!大丈夫よ!まだ足は臭くないわ!」
「うるさいよ!お前ら!」
あの後、周りからは祝福される一方、盛大に笑われ、苦笑いしかできないオレは非常に疲れた。
だが、昼過ぎに四人で集まろうという事になり、今はオレの訓練場に来ている。
ここなら滅多に大人も来ないし、子供だけの秘密会議だ。
「で、俺らを集めてどうするんだ、アレク?想像はつくが。」
「うん、ぶっちゃけ聞くけど……お前ら、西暦何年産まれ?」
クロとビーツが目を見開いている。
デュークが「やっぱりな」と呟く。
「え?え?やっぱりなって、そうなの!?」
「よ、四人とも!?そういうこと!?」
「あー、やっぱりそうか。聞いて正解だったわ」
「あぁ。アレクが聞かなきゃ俺が聞いてたけどな」
そもそも、村名の時点でオレ以外に日本人が居た可能性が高い。それは転移とか召喚かもしれないが、転生がオレ一人とも思えない。
確信に至ったのは、オレの名前を聞いて三人が吹き出したからだ。
アレキサンダーなんてキラキラネームに反応するのは日本人だからだろう。実際、他の村民は反応しなかった。この世界では違和感のない名前って事だ。
「俺の名前聞いて、公爵竜って言っただろ?この世界に『デューク=公爵』なんて解釈ないよ」
「なるほど……。じゃあデュークくんは、僕のことも分かってたの?」
「ビーツは二年前に確信した。アレクとクローディアに関しては疑ってはいたさ。大体、二百人規模の村で四人が同じ日に産まれるって不自然だしな。まぁ確定したのは今日だが」
「そっか……。僕は考えたこともなかったよ。僕以外の転生者だなんて……」
「私も……。アレクは気付いてたの?私とずっと遊んでたじゃない」
「いや、普通に幼女だと思ってた」
「幼女って。いやまぁそうなんだけど」
「ただ、クロが転生者となると聞いておかなくちゃいけない」
「な、何よ……」
オレは真剣な顔つきで、クロを見つめる。
デュークとビーツも怪訝な顔でこちらを見ている。
「クロの前世……男じゃない?」
「「えぇぇぇぇええええ!?」」
デュークとビーツが驚く。
「んなっ!ななななんでそうにゃるのよ!わわわ私、女の子よ!」
「いや、そんなテンパったら自白してるようなもんだろ。ふぅ~良かった。間違ってなくて。結構緊張したわ」
「えっ!ホントに!? クロさん、男なの!?」
「ちちちがうし!」
「じゃあクローディア。男と女、どっちが好きだ?」
「そりゃ女の子! ……って、はぁ。もういいわ。アレクよく分かったわね」
「いや、昨日までただの幼女だと思ってたぞ?でも転生者と決めつけてクロを見ると、おかしな所もあったからな」
クロは完全に女の子だった。いや、正確にはそこらの幼女より『女の子』だった。転生者だと思ったのは今日の事だが『幼女のふりをしている女性』かとも思った。
例えば、クロはいつもレギンスのようなハーフパンツを穿いている。スカートは見たことがない。
それは剣の稽古をしているせいかもしれないが、しゃがんだり、座る時にはいつも膝をつけて女の子座りをする。スカートじゃないのに。
「仮に女性だったら、オレのような幼児の前で、そこまで気を遣った仕草するか?ってのが最初の疑問。別に胡坐かいたり、股開いて座ってもいいだろ?つーことは、女性の動きを意識している男性じゃないかと」
「すごい。アレクくん、名探偵だね」
「頭脳は大人、見た目は子供だしな」
「ずっと頑張ってるんだけど、裏目に出たかぁ。はぁ……」
ともかく、間違いじゃなくて良かった。
これで女性だったら本当に失礼だしな。
「そんなわけだから、クロも男っぽくして問題ないぞ?って言いたかったんだ」
「いや!ダメよ!せっかく女に転生したんだから、理想の女を目指すわ!」
「えっ、じゃあ将来は男性と結婚――」
「それは嫌よ!気持ち悪い!ちゃんと女性と付き合うわ!」
「あっそう」
これは百合百合しいというのか、中身だけ見れば正常な男女なのか……難しいところだ。
あ、神託で言ってた『今の魂を受け入れよ』ってこういうことか?体は女、魂は男と。
そんなこんなで、それぞれの前世を確認した。ちなみにみんな、事故で死んでからの転生らしい。
結果、死んだ時期は前後あるものの、一年以内に偏っていた。住んでいた所は完全にバラバラ。
で、気になった年齢だ。オレは一番年上だと思っていたが……
「「「四十!?」」」
「うるさいわね!今は五歳の女の子よ!」
衝撃の事実。
という事で、オレ(三十六)、クロ(四十)、デューク(三十一)、ビーツ(二十八)だった。
おっさんばっかじゃねーか!
「一回り違うの……」
「い、いや!今は同じ五歳ですよ!クロさん!」
ビーツの言うとおり、今は同年齢なので、敬語とかやめようって話になった。
でもビーツは前世から丁寧語っていうか、下っ端気質らしいので、これで素だと。
そして、話は転生してからの事と、これからの事になる。
「で、みんなどうするの?現代日本チートでもやるの?って言うか、チート持ってる人いる?」
「アレクじゃあるまいし、持ってないわよ」
「俺もだな。アイテムボックスとか欲しかったんだが……」
考える事は同じか。でも――
「いや、オレの六属性ってチートじゃないぞ?多分」
「えっ!?どう見てもチートでしょ!」
「だって珍しいってだけで六属性魔法使い自体は何人も居るんだろ?世界に一人ってわけじゃない。
それに素養レベルが一か二って事は、人一倍練習して、やっと使いこなせて、それでも消費魔力は多いんだ。いわゆるチートじゃないんだよな」
「言われてみれば、器用貧乏って感じだな」
「使うのに制約があるタイプのチートとも違いますしね」
チートって言ってもいろいろあるが、オレの中では『世界のルールを破るくらいの力』ってイメージだしな。
ちょっと違うんだよなぁ。
「そう考えると、チート持ちはビーツだけか」
「ちょっと!デュークくん!」
「え、何何? ビーツ、チート持ってるの!?」
「あ、いや、僕、召喚士なんだけど――」
「「召喚士!?」」
おばばから話には聞いている。召喚士とは、この世界での『テイマー』『魔物使い』のことだ。
オレが最初聞いた時は『イフリート』とか召喚獣のイメージだったが、どうやら違った。
テイムした従魔を『召喚魔法』により呼び出すらしい。
大抵の場合、その従魔を騎獣とする(竜騎士など)。もしくは、ゴーレムなどを呼び出し壁役とする。
従魔契約には召喚士としての才能と、相応の魔力が必要らしく、召喚士の数自体も少ないとの事。
「普通は魔物一~二体を従魔にするもんらしいけどな。ビーツはもっと何体も出来るらしい」
「「何それ!チートじゃん!」」
「い、いや、そう……なのかな……?」
ビーツ株が爆上がりですわ。こいつチートですわ。
ちなみに「見せて!」って言ったら「また今度」ってやんわり断られた。恥ずかしいもんじゃないだろうに。
「まぁ、ビーツの従魔は近々見せてもらうとして、話戻すけど、どうするの?現代日本チートでもやるの?」
「マヨネーズとか、すでに誰かやってそうですけどね……」
「風車とか、水車とかな。まぁ俺はやるつもりないよ。確実に目立つ」
「私もないなー。せっかくファンタジーなんだし、文化破壊って感じで嫌」
オレも同意見。現代日本の知識を大っぴらにするのは、どうもなぁ。
目立たない程度って言うか、オレたちだけが楽しむならアリだけど。
で、ならば転生したこの世界でどう生きるのかという話しになった。
「僕は博士とも話してるんですが、世界を巡って、色んなモンスターに出会おうと思ってます」
「私はとりあえず王都かなぁ、神託で言われてたし。ちょっと気になる」
「俺は実は、教会のほうから結構誘われてるんだけどな……」
だろうな。神官の息子で、神童とか言われてたら、目ぇ付けられるだろう。
「でも、出来れば断りたいんだよ。どうせ上層部のなんやかんやとか、権力争いとか、政治絡みとかあるんだろう?お決まりだ。ビーツじゃないけど、修行の名目で、世界を回るのも面白いと思ってる。せっかくこの世界に来たんだしな」
「みんな村、出ちゃうんだね……。まぁ私もだけど」
「ちなみにアレクくんは?」
「オレ?オレはベギ〇ゴンが撃ちたい」
「「「ブーッ!」」」
いきなり吹くなよ、失礼なやつらだ。こっちは真剣だぞ?




