§73 順調ではありません
五の鐘が鳴った。
つまり二刻近く探している事になる。
今のところ収穫はほとんど無い。
物の発見は四点だけだ。
○ 握りこぶし大の何に使うか不明な金属製の機械
○ プラスチックと思われる小片
○ 同じくプラスチック製と思われる容器
○ 鉄製と思われる金属製の缶(三百五十ミリのドリンクサイズ)
つまり成果は無いに等しい。
「なかなか見つからないものですね」
「今日は調子が悪いのだ」
でもこの調子では本当に日が暮れるまで探しても……って感じだな。
何か他に方法は無いかなあ。
「アン先輩、探知魔法って何か無いんですか」
「あれは対象をかなり具体的に絞らないと無理なのだ」
やっぱりそうか。
まあアン先輩の魔法とレマノの魔法は同じ系統だしな。
「そもそもこの穴、なんで出来たんだろうね」
「隕石みたいなのが落ちたとしたらもっと深い穴になるだろうしな。底が平らというのも妙だ。ひょっとしたら既に何かを掘り出した後なのかもな」
確かに何かの発掘調査後というのが一番しっくりくるかな。
「でもこんなに穴を掘る方法ってあるのかな?」
「おそらく大魔法級の転移魔法だな。この部分の土を何処かへ転移させたんだろう」
「ここに埋まっていた何かごと、かな」
「かもな。でも掘ったまま埋め戻したりしていない。つまりまだ何かある可能性があるという事だろう」
なるほど。
アルの推論はなかなか納得出来る。
ならば、だ。
取り敢えず掘ってみるか、思い切り深く。
何処が可能性が一番高いかはわからない。
なので取り敢えず目分量で穴の中心に近いところを選ぶ。
ちょうどまわりとちょっと違う色の土があったのでそこにした。
そこを出来るだけ深く掘ってみよう。
まず円状に掘って、それをどんどん深くしていく。
「ホクト、何をしているの」
ラインマインに聞かれた。
「取り敢えずある程度深く掘ってみようと思って。もしかしたら特定の深さに遺物が固まっているかもしれないしさ。地層みたいに」
「なるほど、じゃあ手伝うね」
そんな感じで二人で掘り始める。
ラインマインの作業効率は俺の数倍。
あっという間に土の山が出来て、身長よりちょっと深いくらいまで掘り進んだ。
「これ以上だと土を上に上げる方法が必要だよね」
確かにそうだな。
そう思った時だ。
「穴から出て、今すぐ!」
メルがいつにない声で叫ぶ。
何だろう。
まずは俺から出て、そしてラインマインがジャンプで出ようと軽く屈伸。
足に力を入れたように見えた瞬間、ふっとラインマインの姿が消えた。
「あれー」
下に落ちていく感じ。
「ラインマイン!」




