§24 強靱種は頑丈でした
その後展望台に上ってカウフォードの街を見て見る。
展望台と言ってもそこまで高くはない。
せいぜい建物の六階くらいだろう。
でもカウフォードの街は平らだ。
時の鐘と消防の見張り台くらいしか高い場所が無い。
あとは所々に残る森林部分の木くらいだ。
だから結構よく見渡せる。
「学校も寮も見えるね」
「その向こうの同じような建物は何?」
「上位高等学校。その向こうの広いのが上位大學と研究機関なのだ」
ちなみにアン先輩は手すりの上に立って向こうを見ている。
危ない事この上なく見えるが、強靱種はここから落ちても怪我をしないとの事だ。
他の人も特に気にする様子も無い。
「つまりあと十年くらいここの街にいる訳だね」
「上手く行けばだな。落第したら簡単に出て行けるぞ」
「アル、厳しい」
「でも現実だろ」
そんな事を言いながら眺める。
ここは教育や研究のための街。
だから普通の街のようなごちゃごちゃした感じが無い。
その分すっきりして綺麗だとも、味気ないとも言える。
でも俺としては嫌いじゃ無い。
むしろ俺本来の世界にいた時よりも今が楽しい。
まあ、まだこの世界に来て半月程度だけれど。
木製の建物が計画通りきっちり建っているところはまるで映画のセットのようだ。
街としては端正で、それでいて無機質では無いいい感じ。
「さて、そろそろ下りましょうか」
ヘラがそう声をかける。
「なら下で待っているね」
「同じく」
ラインマインとアン先輩は次の瞬間、手すりの向こう側へ飛び降りた。
おい、と一瞬どきりとする。
すぐに強靱種だからこれくらいは大したことないのだろうと気づいたけれど。
それでもちょっと急ぎ気味に下へと下りる。
三段抜かし位くらいに階段を走り下りて地上へ。
「早かったね」
下で待っていたラインマインにそう声をかけられる。
ラインマインは見た限り異常は無い。
これくらいの高さを飛び降りるのは全くもって平気な模様だ。
「いや、平気なのはわかっているけれどさ」
「やっぱり心配なのか?」
アン先輩がそう言ってにやりとする。
「まだこの世界に慣れきっていないからさ」
「まあそういう事にしておくのだ」
「ところで帰り、寄りたい場所ある?」
ラインマインに聞かれる。
「食料品の店に寄りたいかな。今日食べるものを買っていないし、それに何か面白い物が無いか色々見て見たい」
「わかった」
「何か面白い物を作ったら必ず報告するのだ」
アン先輩がそんな事を言う。
「どうせ実験室でないと火も使えないしね」
どんな料理を作るにしろ、火気厳禁な寮では無理だ。
だから今日は材料を買っておいて、明日実験室で色々やってみればいい。
でも安全性は気にしておこう。
日本ほどの食品の安全性は無いだろうし。
まずは熱を通す物からやるとか。
そんな事を考えているころ、やっとアル達が下りてきた。
「それじゃ帰るよ」
俺達は公園を後にした。




