謎の少女
俺が見張りを始めて2時間近く経ち、そろそろエリスを起こそうと思った頃、草を踏む音を聞いた俺は音が聞こえた方に向けた。
「誰だ」
「ひぃ~」
俺が光を向けると中学生ぐらいの少女が怯えた様子で立っていた。
「えっと、君は?」
「あの、えっ~と」
俺はそう少女に問いかけたが、少女が裸足で今にも倒れそうだと分かって咄嗟に話を変えた。
「とりあえず水でも飲む?」
「はい!」
そうして少女は目を輝かして水を飲み始めた。
少女が水を飲み終えた後、寝ていたエリスをを起こして少女に何があったのか聞いてみた。
「実は私、2日ほど前に誘拐されてしまったんです。それで今までダンジョン近くの洞窟に閉じ込められていたんですが、昨日隙を見つけて逃げてきたんです」
少女の話は突拍子過ぎて付いていけなっかた。まさかいくらファンタジー世界でも今女の子を誘拐する奴がいるなんて想像できない。でも、
「マジかよ、誘拐とかただ事じゃないぞ」
「うん、それにこんな小さな子を誘拐するなんて許せないわ」
「よし、今からそいつらぶっ倒しに行こう」
「そうだね、じゃあ早速向かおうか。ねえ君その逃げてきた洞窟ってどこかな?」
「2人ともちょっと落ち着いてください」
そうして俺とエリスはその少女に止められた。
「じゃあ、どうするんだよ。このまま大人しく街へ帰るのかよ」
「そうよ、それじゃあ私の気が収まらないわ。それにこんなかわいいい子を誘拐なんてするやつら放っておいたら次何をしでかすかわからないは。てことで、さっそくそいつら倒しに行くわよ」
「だから落ち着いてくださいってば〜」
そう言って少し泣きそうになった少女を見て、俺たちは黙ることにした。
「とりあえず王都まで行きましょう。そうすれば私の家族が保護してくれるはずですから」
「王都? な~エリス。王都への道順分かる?」
俺がそう聞くと、エリスは鞄から地図を出して俺と少女に見せてきた。
「今がここで王都がここだから歩いて10日ってほどかしら。それにしても王都って、もしかして貴族のお嬢様だったりするの?」
「はい、一応私はこの国の第1王女のルーシアと言います」
「あ、俺はシュウって言ってこの隣のお姉さんはエリスって言うんだ」
「ちょっとシュウ君。何普通に自己紹介してるの、相手は王女様よ。王女様」
エリスは驚いたように、俺に言ってきたが正直関係ない。
「いや、そう言われても俺の国には王族とか貴族とかいなかったしな。それに王女様て言っても、1人の女の子だろ。俺年下の女の子に敬語使えるほどプライド捨ててないぞ。あ、でも王女様的には平民に敬語で接されるにいや? やっぱ敬語とか使った方がいい?」
「いえ、助けてくれる恩人に敬語なんて使わせるわけには」
ルーシアはそう言うと、エリスの方を見て上目遣いで言った。
「エリスお姉さん、どうか私のことは王女ではなく友人として接しってください」
あれ?なんかエリスの目が少しやばくなったような。
「分かったわルーシアちゃん、それと私のことはお姉ちゃんって言って」
「えっと、お姉ちゃん?」
「きゃ〜、可愛い。任してねルーシアちゃん私が必ず王都まで送ってあげるから」
そう言ってエリスがルーシアに抱きついた。
それとエリスはお姉ちゃん属性だったらしい。
「エリス落ち着いて、とりあえずルーシアは疲れてるだろうしエリスの寝袋使って寝てくれ、後エリス見張り交代な」
「うん、分かった」
そうしてルーシアと俺は眠り、エリスは見張りに付いた。