ドラゴーンとの対決(シュウ)
魔力石を取り込んだ俺に待ち受けていたのは、体を焦がすような猛烈な痛みだった。
「ぐぁ〜〜、はあ、あ〜〜」
熱い、苦しい、死にたい。負の感情が脳を覆い尽くし、地べたを這いずり回る。
「はあ~、は、ぐわぁ~~~~~」
もうだめだ。俺は、
目を開けると涙で視界がぐにゃぐにゃだ。
しかし、そんな負の感情一辺倒な脳内に、微かに輝く光が差し込む。
「シュウ君」
そう、エリスの笑顔だった。
「エリス!クソ、こんな所で」
歯を食いしばり、懸命に立ち上がる。絶対にエリスを助け出す。それだけを求めて。
「うわぁ〜〜〜」
すると、体の奥から今までに感じたことのない力を感じた。
「何だこれ、力が溢れてくる」
どうやら俺は、うまく魔力を取り入れインゲンになったらしい。
そして、俺はみなぎる力を感じながら剣を抜き、その剣に魔力を込め、そして近くにあった岩を斬りつけた。
「せぇあ〜」
すると斬りつけられた岩はまるで豆腐でも切っているかのように「スパ」っと斬れた。
「すげ〜、これならドラゴーンにも立ち向かえるかもしれない」
俺は明らかに変わった自分の力を実感しながら、全速力でエリスの元へ向かった。
ドラゴーンの炎のブレスから間一髪でエリスを守った俺は、少し離れたところにエリスを地面に下す。
「シュウ君なんでここに、私は町に戻ってて言ったよね? どうしてこっちに来たの。私じゃ守りきれない」
エリスが泣きながら俺の胸を掴んで嘆く。
「安心しろエリス。俺はもう守ってもらうだけの男じゃない。必ずドラゴーンからエリスも街も救って見せるから」
静かにエリスからドラゴーンの方へ向き直る。
「よう、デカブツ。またあったな」
俺はドラゴーンの前まで突っ込み、魔力を込めた剣で下腹を斬りかかり、
「せぇあ〜」
そして俺が振りかざした剣は、ドラゴーンに当たると同時に「ポキッ」といい音を鳴らし折れた。
「ええ〜〜〜〜」
俺は目の前の光景に驚き注意を怠り、
「オエッ」
ドラゴーンが繰り出した足蹴で数メートル程吹っ飛ばされた。
「いってぇ〜、クソ、強すぎんだろ」
俺がそう呟くとドラゴーンの近くから声が聞こえた。
「ぶぁっはっはっ、何だあいつ。カッコ付けて登場した割に1撃かよ。カッコわる」
その男は俺に皮肉を言いうと、笑いを止め、ドラゴーンに命令した。
「ドラゴーン、さっさとそいつら面を殺して街に行くぞ」
ドラゴーンはそれを聞くと遠吠えを上げ、俺に向かってきた。
「クソ、どうする。このままじゃ確実に死ぬ、何とかしないと」
俺は向かってくるドラゴーンに焦りながら頭をフル回転していると、ある単純な考えが思いついた。そうだ、あの男を倒せば何とかなるんじゃ無いか。
俺はそう思うと突っ込んでくるドラゴーンの股下をすり抜け男に突っ込んだ。
「はっ、え。ちょっと待て」
「せぇあ〜」
そして俺はそのまま折れた剣で男を斬りつけた。
「えっ、うそ。俺斬られて」
そして男はそのまま地面に倒れこんだ。
「よっしゃあ、これでドラゴーンもおとな」
俺は油断し背後まで迫って来ていたドラゴーンの攻撃をもろに喰らい、そのまま意識を失った。