ドラゴーンとの対決(エリス)
「行かせないわよ、シーザック」
私はそう言って、シーザックとドラゴーンの前で剣を抜いた。
「なんだお前、どこから出てきた」
私の出現に少し驚きながらも、シーザックは特に焦る様子もない。
「あら、お前とは随分と他人行儀じゃないかしら。知らない中ではないじゃない?」
私はシーザックに話しかける。今は何でもいいから、少しでも時間を稼いでシュウ君を逃がさなきゃ。
「は、何を言っておるお前みたいな奴・・・。いや、思い出したぞ。お前は確か、あの女のそばにいたガキだな。はっはっ、これはいい、お前を殺せばあの女の苦しむ顔が見れそうだ。いけドラゴーン、あいつを殺せ」
「ガァオーーー」
ドラゴーンは遠吠えを上げると、自らの羽で突風を起こし、私を吹き飛ばした。
「はぁっ」
私はドラゴーンの突風に飛ばされながらも、空中で体を回転させて着地する。
「シーザック、何故あなたがこんな所ににいるの。あなたはアリサ姉さんに捕まり、牢獄にいるはずでしょ」
「ふっ、そんなの脱走したからに決まっているだろう。あの女に付けられた怪我のせいで10年程時間は食われたがな」
「そう。なら今度はアリサ姉さんじゃなくて私が、あなたを捕まえるわ」
「ほざけガキが。行けドラゴーン、今度こそあいつを殺すのだ」
「ガァオーーー」
そしてシーザックの声に、ドラゴーンが雄叫びをあげ突進してくる。
「なっ、はやい」
ドラゴーンは私の前まで来ると、右腕の爪で私に斬りかかる。
私は反射的に剣でガードするもその威力は凄く、そのまま吹き飛ばされる。
「ぶはぁっ〜」
口から血反吐が出る。舐めていた。ドラゴーンの隙さえ付ければシーザック自体はどうにかなるのに。ドラゴーンの強さがこれ程だったなんて。これじゃ応援が来る前にアルクの町が。
「まだ、倒れるわけにはいかない」
私は剣を杖にして立ち上がるも、そこにはドラゴーンが息を溜め込んでいる光景だった。
「はっ、おしまいだガキ」
シーザックの声が微かに聞こえ、
「ぶはぁっ〜」
私めがけて炎のブレスが飛んで来た。
「シュウ君無事に逃げれたかな」
私は最後にそんな事を呟く。ごめんねシュウ君。せめて君だけは生きて・・・。
そして私の意識は薄れ・・・ていかなかった。
「ふぅ〜、何とか間に合った。全く、1人であいつを倒そうだなんてエリスはカッコつけすぎだよ」
そこには今まで頼りなく放って置けない、弟のようにしか感じていなかった男が、
「後は任せな。必ずエリスもアルクの町も守ってみせるから」
とてもカッコよく見えていた。