フォルモサ
私を取り囲む大海原よ。
行く宛のない青色よ、何処まで続く。
島々を取り囲む大海原達よ。
息を吐きビカビカと明かりを持ち余せ。
歯ぎしりをするやうに波を打て。
なんと、音の止まぬ煩い音か。
耳障りだとも知りながらも、のうのう、と底を游ぐ魚よ。
いつ私達の元へ来るのだ。
鳴き止まぬ頭上を跳び跳ねる鳥類達よ。
何時から風に閉じ込められていようか。
綺麗なものも薄汚れて見えてしまうか。
大いに泣け。私は泣けるのだ。
頑固で冷たいからくりとは一寸ばかし違うのだ。
この器を得て迄も遠吠えをするのか。
この器は他の誰かでも良い筈だ。
例え私でなくても良いのだ。
世界が島で在れよと。
世界が大海原だけで在れよと。
世界が魚であれど私であれど。
無の虚地は個々であり孤独であろうに。