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スモール・マウンテン  作者: 大原英一
第三話 レイニーレイニー……レイニーブルー
33/40

【解決編】中々編

 可奈さんのストーリー、その3。

 山元が探偵事務所を訪ねてきたその日の夜、じつは可奈さんはあるアクションを起こしていたらしい。

 ニューヨークにいる叔父にメールを送ったのだ。内容はずばり、2年まえまで事務所の職員だった(と思われる)山元という男性、もしくは若林という女性をしっていますか、と。

「姪のアタシが言うのもアレですが、叔父は変人で気まぐれで、それでいてけっこう多忙なんです」

 そう言って彼女は笑った。

「はやい返事なんて期待できません。返事をくれるかさえ、あやしい」


「ところが昨日、叔父から返事のメールが届きました。問い合わせてから1週間以内という迅速さで、びっくり。

 返事の内容はいたってシンプルでした。そんなやつらは、しらんと」

「ええええええーーーっっっ!!!」

 もうアカン、オレは叫んでいた。


「どういうことですか、それ……」

「どういうことでしょうね」

 ふふ、と可奈さんは笑った。茫然自失のオレとは対照的に、余裕すらうかがえる。

「とりあえず、考えられるのはふたつ。ひとつ、山元さんが大ウソつきだということ。もうひとつ、山元さんが思い違いをしているということ。彼の言う記憶障害が本当なら、そういうこともありるんじゃないかと」

「つまり大ウソつきか、本当の記憶障害か、どちらかですね」

 オレは若干、怒気をにじませて言った。

「ええ、」と彼女は表情を曇らせた。「それで残念なんですが、大ウソつきの線のほうが濃厚です。しかもタチがわるい」


「ホントそうですよっ」

 オレは口から泡を飛ばして言った。やばいやばい、怒りの気持ちをセーヴしなきゃ。

「でも、なんで山元かれはそんな、調べればすぐバレるようなウソをついたんだろう」

 マスターが質問した。着席してから初の発言だった。


「よくわかりません」

 可奈さんは首を振った。

「ですが、ちょっとここから、気持ちのわるい話になってくるんです」

「それって石原くんが見たという、夢のこと?」

 彼女はうなずき、オレを見た。

「それじゃあ石原さんにバトンタッチしますね」

 いきなり振られて戸惑ったが、オレの話は簡単だった。いわゆる与太話だからだ。

 夢を見た。夢のなかでオレはヤマゲンだった。ほかに多々木のおっさん、女性の若林さんというキャストが登場した。

 ある日、(夢じゃなくリアルに)ポストを開けると、偶然多々木探偵事務所の広告チラシを見つけた。それで可奈さんと知り合い、その後ヤマゲンとも知り合った。


「すごいね石原くん、きみ、夢のなかの人物と本当に会っちゃったんだ」

「マスター、ここ重要です」可奈さんが口を挿んだ。「山元という男性は実在するんです。アタシも会いましたし、石原さんも」

 そして彼女はオレに、つづきを促した。


 オレはふたりに話した。ヤマゲンと吉祥寺で飲んだこと。彼とあやふやな別れかたをしたこと。そして、彼と連絡が取れなくなったことを。

 ヤマゲンの携帯番号だと思っていたものが、じつは可奈さんの番号で、じゃあオレはどうやって彼と会う約束をしたんだって話になる。

「信じられますか、こんなこと」

「もちろん」

「えっ」

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