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ロンド・オブ・ソード  作者: 紅姫
1/4

始まり

冒険とは、心躍るものである。


冒険とは、命を懸けるものである。


冒険とは、成長する過程である。


冒険とは、己を見つめなおす場である。


冒険とは、仲間と絆を育む場である。



そして冒険とは――得てして望まないことが起きるのである。





「うわあああああゴブリン3体も来たああああ!! ちょ、死ぬ! 死ぬ!」


冒険者を始めて1ヶ月。

未だに俺はゴブリンすら倒せずにいた。


「1体ならともかく3体とか聞いてねえよおおおおお!!」


嘘である。1体すら倒せません。


「大人しく薬草取ってただけの俺に何の恨みがあるんだよ! あっちいけ!」


ゴブリン達は錆びた剣を持ってこっちに向かってくる。

対して俺の手には薬草が握られているだけ。

勝ち目など万に一つもないだろう。


腰に剣など差さっているはずもない。

薬草なんて取っている俺が剣を買うお金など持ち得ているわけがないのである。

故に丸腰。

……世界は無常である。


「はあ、はあ、はあ……よし、逃げ切ったか」


ゴブリンの走る速度は決して速くはない。

新米冒険者の俺でも逃げられるのだから。


「まったく……あいつらのせいで薬草の数が足りないじゃねえか。こりゃまた怒られるな……」


とぼとぼとギルドに向かう。

クエストは今回も失敗である。

前回もゴブリンに邪魔されて指定数集まらなかった。


「あ、そういえば前回の分合わせれば……やった! ちょうど足りる!」


今晩は野宿せずに済みそうだ。





ギルドの門をくぐり、カウンターに向かう。


「マリーさーん、今回は薬草集まりましたよー!」


「あら、ソウ君お疲れ様。はい、これが今回の報酬ね」


銅貨数枚を受け取り、袋にしまう。


「あんまり無理しないようにねー?」


「はーい、マリーさんまた明日!」



ギルドを出て宿を探す。

銅貨5枚もあればなんとか最底辺の宿には泊まれるはず……。


マリーさんの話だと5分も歩けば着くらしいのだが……あ、あった。


「どれどれ……【ボロい宿】ってまんまじゃねーか! マジでボロいわ!」


壁は木でできているがところどころはがれかけている。

これ雨漏りするのではないだろうか……。


「ごめんくださーい、誰かいませんかー?」


「はぁーい、少し待ってて頂戴ねー」


奥から声が聞こえてくる。

女の人の声だ。どこか裏返っているが。


「はあーい♡ お・ま・た・せ♡」


「……」


「あら、どうしたの?」


「……いえ、あの一晩泊まりたいんですけど」


「分かったわよぉ~。銅貨5枚ね。部屋は2階の一番奥ね♡」


銅貨5枚を渡す。残りは2枚。銀貨0。当然金貨も0。

マジで死ぬ。


「はい、これ鍵ね。あと、食事はいるかしら?」


「……はい、お願いします」


「じゃあ、銅貨2枚ね」


渋々銅貨を渡す。現在所持金0。一文無しとはこのことである。


部屋に入り、ベッド……というか木の板にねっころがる。

たらいがあちこちに置かれているのはなぜだろうか……考えたくもない。


マリーさんめ……足元見やがって。

明日、さすがに討伐クエストを受けないと死にそうだ。

ゴブリン1体なら素手でどうにかなるだろうか。


改めて自己紹介をしよう。


俺の名はソウジ。

掃除は好きでは無いし、相似などという数学界に存在するらしい概念など知りたくもない。

これはマリーさんの入れ知恵である。相似とかこの前はじめて聞いた。

もう2度と聞きたくはない。

まして遥か極東に存在したと云われる幕末の警察の隊長などでは毛頭ない。

ソウジである。現在無一文と相似、いや合同である。


明日から生きられねえええ!!

どうしよう!!


布団の中で唸ったソウジであった。



パスワード忘れて前作が削除できなくなりました。

陽炎あらため紅姫です。よろしくお願いします。

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